7 始まりの街-3
防具と、武器の修復を楽しんだ後は、
神殿のプライベートルームで一旦休み、
夜の狩りを、7時から3時間行った。
結果、ゴブリンの代わりに
ファングバットという蝙蝠が出てきた。
ゴブリンが昼行性で、ファングバットが夜行性となっているらしい。
そして、
牙蝙蝠の牙や、牙蝙蝠の翼といったアイテムを入手する事が出来た。
そして、10時過ぎになったので、神殿のプライベートルームに戻って、ログアウトした。
そして、目が覚めると見慣れた天井だった。
昼から、10時までゲームをやっていても、咎める人は誰も居なかった。
何故ならば、自分以外は、今は誰もいないから。
祖父や祖母は、遠くに住んで居るし、
父や母は自分を放置して海外で忙しく仕事に追われる日々だろう。
お金は毎月振り込まれているので生きてはいるだろう。
更に兄弟もいない一人っ子。
何時も自分以外居ない家も慣れてきた。
急いで軽食を摂り、明日に備えて、眠った。
次の朝、
早々に、洗濯、掃除、朝食をすまして時計をふと見る。
時間は9時頃を示していた。
「さて、装備を貰いに行きますか。」
そして、ログインした。
プライベートルームから出ると、ちらほらとプレイヤーを見かけていた。
昨日覚えた道を通って、リニーのお店に行く。
すると、リニーともう1人、女性プレイヤーがいた。
「おはようございます。
あの…、昨日頼んだのって出来ていますか?」
「ヨミ、おはよう。
昨日言った通り、もう出来てるよ。
『錆びた金属塊』もキイが修復したから。
あ、この子がキイだよ。」
「はじめまして。
キイと言います。武器を主に作っています。」
「はじめまして。
ヨミと言います。魂魄師をやってます。」
そして、フレンド登録してから、本題に入った。
「そうそう。
はい、防具。結構自信があるなぁ。」
そういって渡されたのは、
狼のフード〈頭〉DEF+20、MDF+15
狼のコート〈胴〉DEF+20MDF+15
狼のグローブ〈手〉DEX+25
狼のスカート〈腰〉DEF+20MDF+15
狼のブーツ〈足〉AGI+30
だった。
着替えのボタンを押して、早速着替えると、
何とも暖かそうな装備だった。
フワフワなコートに、狼の耳付きフードがくっついていて、スカートは、膝上丈。
そして、ブーツは膝下。
グローブは、手首の辺りまでで、動かし易い。
「本当に、代金は良いんですか?」
恥ずかしいといった事よりも、此処まで良い物を作ってもらえた事が嬉しかった。
「だから、フレンド記念だからって言ったでしょ。
次からは、ちゃんと代金は貰うよ。
まあ、知らないプレイヤーよりも、断然安くするけれどね。」
「次は私だね。
錆びた金属塊だけれど、片方は、失敗しちゃったわ。ごめんなさい。けれども、もう一つはしっかり出来たよ。お代は、私も要らない。
一個無駄にしたし、私のスキルもよく上がったからね。」
そういって、キイから渡されたのは、
霊刀『白桜』〈長剣〉STR+120
「ありがとうございます。
錆びた金属塊は、拾い物なので、またあったら持ってきましょうか?」
「是非ともお願いね。
NPCよりも高価に買い取るから。」
「これからもお願いします。」
霊刀『白桜』を装備して、今度は、東へ向かう事にした。