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仮面シメジーJ(カケス)  作者: クロシメジ
第1章 伝説の仮面シメジー
4/21

第4話 怒りとこぶしと白衣の男

ピーコックが手にするはずだった「銘酒 乙姫」

突然、空から現れた謎の白いシメジは、それを奪って立ち去ってしまう。目の前で賞品を奪われてしまったピーコックは「うぉぉぉ」と怒りの炎を燃やし、白いシメジを求め街中を走り去ってしまう。その頃モンドは、白衣を着た男からある物を受け取っていた。果たしてピーコックは、白いシメジを見つけることができるのか?そして、モンドが受け取ったものとは?

ピーコックは走った

当てもなく、怒りのままに走り出した


自分の手に入る前に奪われた銘酒「乙姫」

これを手に入れるため毎日ランニングをした

筋力アップのためのトレーニングもした

禿げたいけ好かないオヤジにも勝った

もう少しで自分の手元に来るはずだった賞品を目の前で奪われた

ピーコックの怒りは計り知れなかった



「ちくしょう!ちくしょう!!俺の・・・俺のものなのに!」


目には悔し涙が浮かんでいる


「くそ!誰なんだあいつは!何者なんだ!どこに行ったんだ!!」


空を見上げ月に向かって叫んだ

そしてまた当てもなく走り続けた



しかし、いくら怒りが強いとはいえ、ピーコックはマラソン大会に出た後なのだ

体力の限界が来て、ピーコックは足を止めた


後ろを振り返ってみると

マラソン会場はもうとっくに見えなくなっていた

ずいぶん遠くまで来てしまったらしい


体力が切れ、当てもなく走っていたピーコックは

さっきとは打って変わって重い足取りで

街の中を歩いて行った


その時である

近くから「キャー」という女の悲鳴が聞こえた

何事かと思い、ピーコックはその声が向かうほうに向かって歩き出した



「キャー!助けて!」


「いやー!!!きゃー!!」



しばらく歩き出した先にあったのは

さっきまで平和だった街とは正反対の光景だった

ビルは燃え上がり

地面は揺れ

恐怖に震えた人たちが逃げ回っていた


「いったい何が起こってるんだ!!」


地面の揺れが激しく、ピーコックも立っているのがやっとだったが

悲鳴がするほうに向かって歩いていくと

そこにいたのはさっき自分が受け取るはずだった賞品を

目の前で掻っ攫っていった

気味の悪い白いシメジの集団が

こん棒のようなものを振り回し、道路をかち割って

ミス乙姫を追いかけていた



「見つけた!」


ピーコックは走った

残り少ない体力を振り絞って白いシメジたちに向かって走って行った


どんどん縮まる距離

だが、白いシメジたちはピーコックが近づいてくることに気づかない

あと2M、1Mそして・・・・



「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!俺の乙姫を返しやがれぇぇぇぇぇ!」


あと数センチまで近づいたピーコックは

上半身を思い切りひねり、そして白いシメジたちの1人に

渾身の力を込めたこぶしを一発食わらせたのであった




顔面を思い切り殴られた白シメジは

きれいに宙を舞い、道路に倒れこんで、動かなくなった

それを見た仲間の白シメジたちが

ミス乙姫からターゲットをピーコックに代えて

持っていたこん棒を振り回しながら

ピーコックに襲い掛かってきた


一発殴っただけでは怒りが収まらないピーコック

どこにそんな体力があるのか

怒りが彼を動かすのか

ピーコックは収まらない怒りをこぶしに込め

白シメジたちを殴り倒していった




しかし、それも一時のこと

体力の限界はやはり訪れる

隙を突かれたピーコックは

白シメジの持っているこん棒で腹を撃たれ

そしてひるんだところでほかの白シメジから顔面を思い切り殴られた

立つ体力も奪われたピーコックは

その場に座り込んでしまった



その頃モンドは

マラソン会場で人と会っていた

ぼさぼさ頭に無精ひげでくわえ煙草

一見だらしのないその男は

先ほどモンドが電話で話をしていた相手である



「ほら、持ってきたぜ?でもな、まだ実験もしていない試作品みたいなものだ、効果がどのくらいあるのか、副作用があるのか、その辺のことはまだ何もわからねぇ。それでも使うのか?」


そう言って男はモンドにドリンクを3本渡した

モンドはそれを受け取ってかぶっていた帽子の中にしまい、そのままかぶりなおした


なぜ帽子の中にしまうんだ?という突っ込みはなしの方向でお願いしたい

彼にとって帽子とはポケットであり鞄であり収納ボックスなのだ



「あぁ、使うさ、試している暇はない、実践が実験みたいなものだ」



「そうか、じゃあこれも渡しておくこれがなきゃ意味がないからな」



男はそう言ってモンドにベルトを渡した

一見普通のベルトだが、バックルの部分に鳥をかたどったような紋章が刻まれていた


「あぁ、そうだな、これがなければ変身できない」


モンドはベルトを受け取ると

また帽子の中にそれをしまった


しつこいようだがもう一度言う

彼にとって帽子とはポケットで・・・・・・(略)


「そう、そのドリンクはあくまでも増強剤だ、本体はそのベルトだ」


「わざわざこんなところまで出向いてもらって悪かった、じゃあ気を付けて帰ってくれ」


「おー、お前こそ気をつけろよ!それと、ピーコックだっけ?そいつによろしくな!」



男は無精ひげをなでくわえていたたばこを地面に落として火を消しながら

モンドに手を振った


「たばこは灰皿に捨てるものだ、というか、もうたばこなんてやめろ、煙が迷惑だ」


「へいへい、うるせぇなぁモンドちゃんは」


男はハハッと笑いながらモンドに背を向けて自宅に向かって歩き出した


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