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仮面シメジーJ(カケス)  作者: クロシメジ
第1章 伝説の仮面シメジー
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第1話 黒シメジブラザーズバンド

さあ、バンドの練習だ!ピーコック、モンド、ガル、パラキ&キートとメンバー達は、それぞれやりたい放題。個性的なシメジ達なのでキャラクターを楽しんでくれればと思います。

「俺さ、次の日曜日にやる星空マラソン大会出るから練習は出れない」


そう言ったのはクロシメジブラザーズバンド

通称「クロブラバンド」のベース担当の「ピーコック」だ


ここはショッピングモールの一角の楽器屋にあるレンタルスタジオ

いろんなバンドマンたちが練習に来ている中、クロブラバンドのメンバーも

ここで2週間後に行われる単独ライブの練習をしていた。


ピーコックはそれだけ伝えると

にこにこと楽しそうに、持参したスポーツドリンクに口をつけた


「マラソン大会・・・・?なんだ?何かいい景品があったのか?」


同じバンドのメンバードラム担当の「モンド」が

愛用のスティックを磨きながら、そう聞き返した


「さっすがモンド!わかってるね!今回は幻の日本酒「乙姫」が優勝賞品なんだぜ!」


モンドの質問にウインクをし、親指を立てて

少し気持ち悪いくらいの笑顔で答えるピーコック


モンドはそんなピーコックから目をそらし


「そういう限定品がなければ、マラソン大会なんぞにお前がよろこんで参加するわけがないだろ?」


ふっと鼻で笑って

もう十分すぎるくらいきれいになったスティックをまた磨きだした

別に彼は潔癖症なわけではない

ただキラキラピカピカしているものが好きなだけである

「マラソン大会なんて汗臭くなるものに出るなんてナンセンスよ!」


鏡を見て化粧を直しながら

ボーカル担当の「ガル」がピーコックに向けてそう言い放った



「ほしいものがあったら買えばいいじゃない?ピーコックがほしいなら私が買ってあげてもよくってよ?」


ガルはこの街では有名な財閥の令嬢である

本人も「ガール・DE・ガル」というファッションブランドの

デザイナー兼社長で多忙な生活を送っている

このバンドの活動は資金面をガルが全部担っている


「わかってねーなぁ、こういうものは自分の力で手に入れるから価値があるんだよ!」


「そういうものかしら?私にはよくわからないわ」


やや呆れ気味にそういうと、ガルは再び鏡に視線を戻し

化粧を直し始めた


ピーコックは思っていた

アイシャドウが濃すぎだと

もう少し薄化粧をしたらいいのではないかと

化粧のにおいがちょっときつくて狭いスタジオだとちょっと苦しいと

だが、練習できるのはガルのおかげだとわかっているので、その言葉をぐっと飲み込んで

残りのスポーツドリンクを一気に飲み込んだ


「ガル様!ガル様!ピーコックに買ってあげないなら僕らに買って!」


「ガル様!ガル様!僕たちお酒はいらないからお肉が食べたい!!」


パラキとキートンが

ガルのそばで回りながらねだり始めた


この2人は双子で、バンドではギター担当

ガルには区別がつくらしいが

一卵性だから見た目はどっちがどっちか全くわからない



「さっきあなた方の身長よりも高いグラスに入ったパフェを食べたばかりでしょ?夕食はまだもう少し先よ!」


「えー!練習したらおなかが空きましたぁ」

「僕もおなかが空きましたぁ!!」



少し子供っぽい2人だが

これでもガルのボディーガードだ


最初は3人しかいなかったメンバーだが

ある日ガルが

「今日から私のボディーガード兼このバンドのギターとして採用したわ♪」と言って

この双子を連れてきた


ピーコックはなぜ、この双子がガルのボディーガードをしているのか

双子のボディガードとしての腕前もわからないが

いろんな組織や人から狙われているガルが

今日まで何ごともなく無事でいるのだから、この2人はちゃんと仕事をしているのだろう


ただ1つわかるのは

この双子のあごと歯が尋常じゃないくらい丈夫だと言うこと


前にガルの家にピーコックとモンドは招待されて、食事をご馳走になったとき

パラキとキートンの前に出たのは

ほぼ丸ごとと言っても過言ではないぶりとズワイガニの入った鍋

そしてそのほぼ丸ごとの魚介類をたった一口で食べる双子を目の当たりにしてから

ピーコックはこの双子のことが少し怖かった

何があってもかまれるようなことだけは避けたいと思っていた


ピーコックはただ思う

この3人の関係がどうであっても構わない

ギターの腕がもう少し上がればバンドとしてはありがたいと

食ってばかりいないでもう少しちゃんと練習してほしいものだと


「しかし、そんなに珍しいものだけを集めてどうするんだ?その優勝賞品の酒だって、手に入れたって、どうせ飾っておくだけなんだろう?」


ガルにまとわりつく双子を遠い目で見ているピーコックに

モンドはため息交じりで聞いてきた



「手に入れることに意義があるんだよ!限定品だぞ?この世に数個しかないんだぞ?

それが自分のものになる、それが快感なんじゃないのか?」


「はぁ・・・・まったくそういうところは血筋なのかなぁ・・・」


「・・・?なに?」


「いや、なんでもない」


モンドは視線をそらして、椅子から立ち上がり

スティックを持ちドラムへ戻って行った

時計を見れば休憩し始めてから30分が経っていた


「うわっ!結構時間経ったな!ライブまで時間ねーし!練習するぞ!」


「相変わらず無駄に熱いわね、ピーコックは」


「早く終わってごはんー!」

「今日は肉―!」


「ふっ、そういうピーコックが一番間違えるからな、お前がしっかり練習しておけ」


「うるせー!そんじゃ1曲目から通してやるぞ!」


こうしてクロシメジブラザーズバンドは

メジャーデビューを目指して

使用時間いっぱいになるまで音楽を鳴らし続けるのであった


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