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転生先は異世界でした。  作者: U1
第一章 旅立ちまでの話
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もらえるものならもらっとく

結果だけを言うなら、私は成功した。鉄を作り出すイメージをしてそれが装填されるのを感じてから、ゆっくりと構えて引き金に手をかけた。

鉛の塊である弾丸が飛ぶには、色々な作用が必要なのだがこれは魔法だ。引き金が起こす力を最大限に引き出して、それを装填された弾丸にぶつける。弾丸は勢いよく飛び出していった。フェディオさんとルーエが高い歓声をあげて、それはすぐに私の悲鳴にかき消された。


さて、誰が予想したであろう。

とんだ弾丸が、狙いだった木を打ち抜いてさらに遠くに行くなんて。少なくても私は予想していなかった。木の半ばで止まれば理想、と考えていたのに。

呆然としていると、なにやら固い物が当たる鋭い音が聞こえた。

「こわしたかっ!?」

慌てて撃った方へ走る。あの先には確か離宮を囲む門があったはずだ。外敵を阻むそれは並大抵のことじゃ壊れないらしいが、今回はどうだろうか。

心臓がばくばくと鳴る。入り口である門の、離宮側を眺めるが何も壊れていない。ほっと息をついて弾丸を探すと、それはすぐに見つかった。足下に落ちていた弾丸を拾うと、魔力が切れたのだろう。糸がほどけるようにそれは自然に返っていった。

「エーリ様っ!」

ルーエが息を切らしてこちらに向かっていた。

「大丈夫だった!」

思わず破顔してそう伝えると、ルーエはほほえんで私の頭を撫でた。私が眼を瞬くのも気にせずに、ルーエは驚くことを言った。

「当たったのがこれで良かったですね。これは、アレージュノ様が結界の媒体にしている物です。簡単には壊れませんから。」

「え、そうなの!?」

「あら、アレージュノ様から聞いてませんか?」

「まったく…」

兄妹二人は知っていたという。というか、気づいたのだとか。魔力が高い二人はそういう物を察知する力も強いらしい。

「ここは皇女二人が住んでいます。それなのに中に護衛が誰もいないのは、そういう訳なんですよ」

「ちなみに、いつから…?」

「貴女が、ここに入れられてから」

ほほえみを浮かべるルーエからは、アレージュノ様への敬愛が見て取れた。

私も胸がいっぱいになった。しかし、頭の片隅から無機質な声が聞こえる。

『これは、単純な好意なのか?』

疑心暗鬼な自分が、実は嫌いではない。だが、申し訳なかった。自分はここまで良くしてもらっているのに、やっていることと言えば完全にニートだ。この世界の成人は17歳。そろそろ恩返しをするころだろう。私は静かに決意をより固くした。

ルーエは私の頭を未だなで続けている。このひとにも伝えなければ。決意と、感謝を。


「エーリ様、大丈夫でしたか?」

戻ってみると、フェディオさんは呑気に椅子に座っていた。おい。

「ここには王妃様の結界が張られてるそうじゃないですか。なら、大丈夫でしょう?」

ルヴェイトにでも聞いたのだろうか。ジト目で睨む私に気づいたのか、そんな言葉を口にした。

「大丈夫でしたけどね。驚きましたよ…」

「そうですね。僕も驚きました」

フェディオさんは銃をくるくると玩んでいた。何で彼が持っているんだろうと疑問が浮かんで、すぐに思い出した。そういえば、走ったときに放りだしたんだった。

「あんなに威力が出るとは…」

恍惚とした表情のフェディオさんに、私は少し恐怖を抱いた。

これは武器。しかも、恐ろしい威力を持っている。魔獣だって、人だって殺せる。

だけど私は、まっすぐフェディオさんに向かった。

「それ、ください」

フェディオさんは少しだけ目を瞠った。だが、すぐに目元をゆるませる。

「それは、もう貴女に差し上げた物です」

差し出された黒光りするそれを、私はしっかり受け取った。

これは、きっと役に立つ。外に出るのなら。

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