第2話
「ん?何よ?」
「さっき校門からこの教室を覗いた時にな、なんか凄く目立つ頭をした女子が居た気がしたんだ」
そう、それは数十分前の出来事。俺は確かにその人物を目撃した。見間違いでも白昼夢でも無い、確かに現実に存在する人物がそこに居た筈だ。
「目立つ頭?」
「あぁ。遠くからでもしっかり確認できる金髪だったぞ」
俺が金髪というヒントを与えると、桂見は手の平をパンと鳴らして思い出したかのようなアクションをする。
「あぁ、そうそう! そういえばアンタは知らないんだったっけ?」
「?」
「転校生。始業式が終わってから紹介されたからアンタはまだ面識ないわよね」
「転校生?」
「そう、しかも海外からの帰国子女っていう希少キャラよ。この一週間その子の話題で持ち切りだったんだから」
「マジかよ‥‥‥」
帰国子女って事は海外からの転校という事になる。確かにそれならあの容姿は納得できるが、俺が処分を受けている間に凄い奴が転入していたんだな‥‥‥
そりゃ、誰も俺の登場に驚く奴も居ない。そんな希少種が現れたとなってはこの平凡な学校だと大騒ぎの筈だ。俺の謹慎なんて誰も触れはしないだろう。
「言っとくけど、日本には慣れてるけどまだ高校ってやつに慣れてないんだから虐めたりしないでよね」
「何もしねぇよ。大体そんな目立ちそうな奴、構うのも鬱陶しい」
「構わないのもどうかと思うけど、まぁ変な学校の文化を教えるのは絶対に駄目よ」
桂見が言っているのは恐らく俺の日頃の行い、遅刻に始まりサボりに喧嘩という間違った文化の事だろう。
別に俺はそれを教える気もなければ、仲良くする気も更々無い。ただ、気になっただけ、それだけだ。
「で、そのビックリ転校生は何処に居るんだ?」
「休憩時間だしどっか出てるんでしょ。その内戻って、」
と、不意に桂見が言葉を止める。不自然な行動が気になり桂見の顔を見ると、その目は俺の机を凝視していた。
「何だよ?この机はやらないぞ」
「いらないわよ。それよりも、まずアンタに謝るわ。ゴメン」
そういって桂見は俺に頭をペコリと下げる。
「な、何だよいきなり」
「いや、あのね‥‥さっき構うのも鬱陶しいって言ってたけど、早々に構ってもらうわ」
訳の分からない桂見の言葉に顔が怪訝となる。一体何を言いたいのか分からないが、どうやらこの机が鍵のようだ。
とりあえず、俺も机を眺めるが、何て事のない平凡な机だ。落書きもなければ教科書一つ入っていない当たり前の状態‥‥‥‥
「‥‥‥あれ?」
俺の鞄とは別に、反対側にもう一つ鞄がかけられている‥‥‥‥