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白タヌキ物語

作者: 中迫 虹人

むかーし昔あるところにお爺さんとお婆さんが

いました。



毎年 雪が降る前に

お爺さんとお婆さんは、山のてっぺんの神が祭られている社檀へ お参りに行くのが年終わりの決まりゴトでした。



その年の呉

いつもよりも早く雪が降りはじめ大雪に見舞われました。



そんな中 今年は止めておこうと一度は考えた二人ですが毎年の行事なので行くコトにしました。



外の状態を見て

いざ山のてっぺんの社祠へ。



思ったよりも大丈夫に思われた雪が山に入ると

凄く積もっており中々

前に進めません。


困り果てたお爺さんとお婆さんは、引き返すコトにしたのです。


家に帰ると同時に

また雪が降りはじめ

吹雪になり今頃 二人で山のてっぺんの社檀に行っていたら……。


そう思うと二人は顔を見合わせ引き返して良かったと思いました。


吹雪は収まる気配を見せぬまま朝になりました。お爺さんが雪掻きをしようと戸を開けると

一匹の白タヌキが倒れていました。


お爺さんは慌てて抱え

お婆さんに言うなり中に入れイロリで温めてあげり、お婆さんは温かいミルクを飲ましてあげ

二人で介抱をしてあげました。


介抱が無事に終わると不思議にお爺さんとお婆さんは思いました。


白タヌキは社祠の近くに棲息しており、山から下りるコトはないはずなのに何故か痛手をおっていたこと。



弱っていた白タヌキも元気になり事情は知らずとも白タヌキが元気になって、たいへん お爺さんとお婆さんは喜びました。



ですが白タヌキは昔からの言い伝えで

この地方では、雪を降らす元凶とも言われ忌み嫌われていました。


そんな白タヌキを助けたお爺さんとお婆さんは

村人達に知れ渡れば反感を買いタダではすまないでしょう。



気にも止めず一心不乱に助けて介抱してくれた命の恩人に白タヌキは心打たれ感謝を込め雪を降らすのを止めました。



でも白タヌキの役目は

雪を降らすコトなのでした。


意に反していると雪達に抗議されました。


白タヌキは、お爺さんとお婆さんのコトを思うと雪を降らすコトが出来ず雪達に謝りました。


「もう私は雪を降らすコトは出来ません…」


それだけ伝えると白タヌキは雪達の前から消えました。


白タヌキは最後に

お爺さんとお婆さんに

会いに行く為 村に下りました。


そんな姿を見た村人が

白タヌキを殺そうと

鉄砲で打ちました。


その弾は見事に当たり

白タヌキは倒れました。


何を逃れる為に白タヌキは、もう雪を降らせないと誓いつつも身を護る為に降らせてしまったのです。


息を引き取る前に

お爺さんとお婆さんに

会わなくては……


その想いとは裏腹に

白タヌキは生きたえたのです。



そんなコトは露知れず

久しぶりに降る雪に

驚きながら胸騒ぎを感じお爺さんとお婆さんは

白タヌキを探しました。



お爺さんとお婆さんが見つけた時には、すでに遅く安らかに眠っていました。


二人は立ちすくみ

泣きながら白タヌキを

抱き起こし、大粒に変わりつつある雪と共に悲しみに包まれました。


その後お爺さんとお婆さんは山に登り てっぺんの社檀に白タヌキとお供え物を預けました。


その年の明け

雪は白タヌキを讃え

いつまでもいつまでも

降り続け まるで花が散るかのように綺麗でしたとさ。

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