第五話
王都と、数えられる力
王都アルフェインは、人の音で満ちていた。
なのに俺たちの周りには、きれいに空白ができる。
「人が多いのに、近くない」
レナが言う。
「冒険者ギルドだ」
フェリスが先導した。
ギルドの掲示板に、ランク表がある。
S、A、B、C、D、E、F、G。
「最高がS、最低がG?」
俺が言うと、
「そういうこと」
カイが頷いた。
「だいたいはEかDで止まる」
受付は事務的だった。
目を上げて俺たちを見て、眉がわずかに動く。
「登録か?」
「情報だ」
フェリスが答える。
職員は一呼吸置き、言葉を選ぶように言った。
「……例の“異端扱い”の連中か」
「監視対象だ。依頼は回せない」
ここで“正式名称”は出さない。
代わりに「異端扱い」「監視」という生々しい現実が来る。
その時、声がした。
「……おい」
昼に会った冒険者だ。鎧の男。
彼は苦笑して言った。
「俺はDだ。中堅ってやつ」
「今、依頼で急いでる」
カイたちを見て、一瞬だけ表情が柔らかくなる。
「……あの時は助かった」
「話してる暇はないが」
踵を返す前に、短く言った。
「また会ったら、よろしくな」
それだけで十分だった。
世界が少し広くなった気がした。
ギルドを出ると、背後で囁き声が聞こえる。
「異端が来たらしい」
「五人組だってさ」
俺は剣の柄に触れた。
この街は、俺たちを歓迎しない。
でも拒絶もしきれない――その中途半端さが、一番厄介だった。




