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異端(仮)  作者: vastum
王国編
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第三話

通りすがりの村と、増えたひとり


 王都アルフェインへ向かう街道の途中、カナン村という小さな村に立ち寄った。

 全員、初めての場所だ。


 なのに、村に入った瞬間、空気が変わった。


「……来たぞ」

「噂の四人組だ」

「近くにいると何か起きるって……」


 ひそひそ声。隠す気がない。


「知り合いいます?」

 俺が小声で聞くと、


「いない」

 ユウが即答した。

「噂が先に歩いただけだ」


 そして村人の視線が、俺に移る。


「……増えてる?」

「新顔がいるぞ」


 四人への警戒に、俺への“異物感”が混ざる。


 村の中心、井戸のそばで揉め声がする。


「水路が詰まりかけてる」

「でも触るな、前みたいになる」


 フェリスが一歩前に出て、低く言った。


「触るな。放っておく問題だ」


 でも俺は、つい口を挟んだ。


「ちょっと見るだけなら」

 止める声が同時に来る。


「やめとけ」

「噂通りの動きするな」

「制御できないなら余計に」


 分かってる。

 でも、放っておけば困るのも分かる。


「三分」

 フェリスが許可した。

「何かあったら、すぐ引け」


 水路の詰まりは単純だった。泥と根と、魔石の欠片。

 取り除けばいい――そう思った。


 力を入れすぎた。


 バキッ


「……あ」


 壁にひび。水が噴く。押さえ込もうとして、押さえ込めてしまった。

 逃げ道を失った水圧が地中を崩し、下から小型の魔獣が引きずり出される。


「魔獣だ!」

「だから触るなって言った!」


 俺は反射で剣を抜いた。借り物の片手剣。

 一歩、振る。余計な動きがない。魔獣は倒れた。


 被害は小さい。死人はいない。

 でも村人の恐怖は大きい。


「ほら見ろ」

「やっぱり危険だ」

「関わるからこうなる」


 フェリスが前に出て、淡々と告げる。


「こちらの落ち度だ。修理費は払う。手配もする」

「二度と関わらない」


 完璧でも、空気は戻らない。


「……異端旅団め」

 誰かが吐き捨てた。


 即席の蔑称が、妙に耳に残った。


 村を出る。

 背中に視線だけがついてくる。


「……やらかしたな」

 俺が言うと、カイが笑った。


「歓迎だ」

「これで“仲間”だ」


 俺は剣の柄に触れた。借り物なのに、手が離れない。


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