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閑話⑤
フェリスはちゃんと見ている
夜。
見張り交代の時間。
「隊長」
俺はフェリスの隣に立つ。
「起きてたんですね」
「隊長だからな」
「……あのさ」
少し迷ってから言う。
「俺、前に出すぎてます?」
フェリスはすぐには答えなかった。
「出すぎている」
やがて言う。
「ですよね」
「だが」
フェリスは続ける。
「出なければ、場が崩れる」
俺は黙る。
「だから」
フェリスは言った。
「私は、止める準備をする」
「……止めてくださいね」
俺は笑う。
「止める」
フェリスは即答した。
「死なせはしない」
その言葉は、命令じゃない。
約束だ。
夜風が静かに吹く。
異端は今日も寄り道中だ。




