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閑話③
ユウは見ていないようで全部見ている
「ユウってさ」
俺は歩きながら言った。
「何考えてるか分かんないよね」
「考えている」
ユウは即答した。
「それは知ってる」
「言わないだけだ」
「なんで?」
「言語化すると遅れる」
ユウは淡々と言う。
「判断は速さだ」
「不便じゃない?」
「便利だ」
ユウは言った。
「お前が前に出る時も、止めないで済む」
「止めてよ!?」
「止めても出る」
ユウは断言する。
「なら、外側を見る」
俺は苦笑した。
「……信頼してくれてる?」
「している」
ユウは即答した。
「だが、過信はしていない」
「それ、傷つくんだけど」
「ちょうどいい」
ユウは前を見たまま言う。
「お前は、少しだけ危ない」
「だから、見ている」
それがユウなりの優しさだと、俺はちゃんと分かっている。




