閑話①
ノイズは依頼を選ばない(選べない)
「……で、これが依頼内容?」
紙切れ一枚を持って、カイが眉をひそめた。
「はい」
受付嬢が疲れた声で言う。
「“猫を探してください”です」
「猫」
レナが復唱する。
「猫?」
俺も聞き返す。
「猫だ」
ユウが頷いた。
沈黙。
「……戦争帰りだぞ、俺たち」
カイが言う。
「帝国のSとやり合ったって噂、もう街中に広がってるぞ」
「だからです」
受付嬢は即答した。
「危険な依頼は、あなた方に回せません」
「逆に安全すぎるだろ!?」
「猫は危険です」
受付嬢は真顔だった。
「逃げますし、引っかきますし、見つかりません」
「説得力が微妙にあるのやめて」
フェリスが紙を見る。
「報酬は?」
「安いです」
「受ける」
フェリスが即答した。
「受けるの!?」
カイが叫ぶ。
「街の信頼回復だ」
フェリスは淡々と言う。
「異端は、まず日常に戻る」
「猫で?」
「猫で」
十分後。
「……いた」
ユウが路地裏を指す。
全員で覗き込む。
そこには、明らかに人慣れしていない猫がいた。目つきが悪い。逃げ腰。
「よし」
カイが拳を鳴らす。
「捕まえるか」
「待って」
レナが止める。
「力で行くと逃げる」
「じゃあどうする」
「……静かにする」
全員で無言になる。
猫、余計に警戒する。
「逆効果だよね」
俺が言う。
最終的に、パンくずを使って俺が近づき、盛大に引っかかれた。
「痛っ!」
「ほら言った!」
カイが笑う。
「シオン、血出てる」
レナが治癒魔術をかける。
「……これ、戦争よりきつくない?」
俺は猫を抱えながら言った。
猫は満足そうに喉を鳴らしていた。




