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異端(仮)  作者: vastum
戦争編
33/103

閑話①

ノイズは依頼を選ばない(選べない)


「……で、これが依頼内容?」


 紙切れ一枚を持って、カイが眉をひそめた。


「はい」

 受付嬢が疲れた声で言う。

「“猫を探してください”です」


「猫」

 レナが復唱する。


「猫?」

 俺も聞き返す。


「猫だ」

 ユウが頷いた。


 沈黙。


「……戦争帰りだぞ、俺たち」

 カイが言う。

「帝国のSとやり合ったって噂、もう街中に広がってるぞ」


「だからです」

 受付嬢は即答した。

「危険な依頼は、あなた方に回せません」


「逆に安全すぎるだろ!?」


「猫は危険です」

 受付嬢は真顔だった。

「逃げますし、引っかきますし、見つかりません」


「説得力が微妙にあるのやめて」


 フェリスが紙を見る。


「報酬は?」


「安いです」


「受ける」

 フェリスが即答した。


「受けるの!?」

 カイが叫ぶ。


「街の信頼回復だ」

 フェリスは淡々と言う。

「異端は、まず日常に戻る」


「猫で?」


「猫で」


 十分後。


「……いた」

 ユウが路地裏を指す。


 全員で覗き込む。


 そこには、明らかに人慣れしていない猫がいた。目つきが悪い。逃げ腰。


「よし」

 カイが拳を鳴らす。

「捕まえるか」


「待って」

 レナが止める。

「力で行くと逃げる」


「じゃあどうする」


「……静かにする」


 全員で無言になる。


 猫、余計に警戒する。


「逆効果だよね」

 俺が言う。


 最終的に、パンくずを使って俺が近づき、盛大に引っかかれた。


「痛っ!」


「ほら言った!」

 カイが笑う。


「シオン、血出てる」

 レナが治癒魔術をかける。


「……これ、戦争よりきつくない?」

 俺は猫を抱えながら言った。


 猫は満足そうに喉を鳴らしていた。


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