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第二.五話
借り物の剣
夜明け前、野営を畳んでいる時だった。
「なあ、シオン」
カイが荷物をまとめながら言う。
「お前、武器どうしてる?」
「拾い物とか、その場しのぎとか」
正直に言うと、カイは溜息をついた。
「だと思った。これ、持っとけ」
差し出されたのは片手剣。使い込まれているが、手入れはいい。
「貸すだけだ」
「合わなきゃ返せ」
「折るなよ。死ぬなよ」
三拍子そろった忠告。
軽く構えてみる。悪くない。
ただ、俺の動きに半拍遅れる感じがある。
「……これ、俺の動きについてこない」
「だから貸しなんだ」
カイが笑う。
「王都までの繋ぎだ」
「それまでに、自分の剣を見つけろ」
フェリスが横から言った。
「借り物で前に出るな」
「だが、丸腰で出るな」
矛盾しているようで、正しい。
「了解です」
剣を受け取った。
これはまだ俺の武器じゃない。ただの間に合わせ。
でも、丸腰よりずっといい。




