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閑話①
野営飯、失敗する
「今日は私が作る!」
その宣言を、誰も止めなかったのが悪かった。
鍋の中で、何かがぐつぐつ言っている。
色は完璧。匂いも悪くない。
「見た目は、最高ですね」
シオンが言う。
「でしょ?」
レナは胸を張った。
一口目。
「……」
「……」
「……」
全員、黙る。
「え、なに?」
「味、薄い?」
レナが焦る。
「いや」
カイが言った。
「薄いとかじゃない」
「複雑だ」
ユウが続ける。
「方向性が迷子だな」
フェリスは冷静だった。
「……シオン?」
レナが最後の希望を見る。
「普通に食べられます」
シオンは完食していた。
「え、マジで?」
「はい。胃が覚悟してるので」
「なんの覚悟だよ」
カイが突っ込む。
フェリスは無言で二杯目をよそった。
「……隊長?」
「食べられるものは食べる」
その理屈が一番怖かった。




