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姿を消したあと、妊娠に気づきました〜ヤンデレ化した天才魔術師様が私を諦めない〜  作者: 菜々@12/15『不可ヒロ』1巻発売


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父親の魔力を継いだ息子


 レオルドの前に出した、小さなブルーの宝石がついたネックレス。

 その宝石をツンと指で触れるなり、レオルドは覚えたばかりの呪文を唱えた。

 まだ5歳だというのに、この記憶力の良さはやっぱりクラヴェル公爵家の血筋なのか。天才――という言葉が頭をよぎる。



「……できたっ!」


「え? もう?」



 宝石がキラリと一瞬光ったあと、レオルドはそのネックレスを上に掲げて飛び跳ねた。

 私の目にはわからない違いがあるのか、成功したと言いきっている。



「ほら! 魔力が入ってるでしょ?」


「ごめんね、レオルド。ママにはよくわからないわ」


「そうなの? じゃあ、僕がつけてみるよ!」



 そう言ってレオルドがネックレスを渡してきたので、首につけてあげる。

 その瞬間、ずっと漂っていたレオルドの高い魔力が、フッと完全に消えた。

 どんなに低い魔力でも、魔術師には会えばすぐにわかる。

 でも、この状態のレオルドに会っても魔術師だとは思わないだろう。




 あんなに高い魔力が、ゼロになった……!?




「どう? ママ」


「すごいわ! レオルド! 本当に魔力がわからなくなったわ!」


「ほんと? エヘヘ。よかった〜」



 ニコッと笑う愛らしい天使の頭を、これでもかというほど撫でてあげる。

 レオルドは照れて嬉しそうに体をモジモジさせていた。

 実力は大人並みでも、中身はまだまだ可愛い子どもだ。



「レオルド。これからは、ずっとこのネックレスをつけていてほしいの。ママとの約束よ」


「うん! わかった!」



 小指を絡めて約束の印を交わす。

 レオルドは少しヤンチャなところがあるけど、約束はしっかり守れる子だ。




 これで、高い魔力を持った人物がいると不審に思われずに済むわ。

 今までは不安で街に連れていったことはなかったけど、いつまでも森の中に閉じ込めておくわけにはいかないし……そろそろ、外の世界も教えてあげないとね。




 私たちの様子を見守っていたニコラとシンに視線を向けると、2人が同時にコクッと頷いた。

 さすが長年の友人。私の考えていることがわかったようだ。

 私の考えを理解していつも協力してくれる2人には、本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。




 ありがとう。ニコラ、シン。




 2人に笑顔を向けてから、レオルドに声をかける。



「レオルド。明日、一緒に街に行きましょう」


「街!? ほんとに!? いいの? やったぁ〜!!」


「そのかわり、街で魔法を使ってはダメよ?」


「うん! わかった!」



 嬉しそうに飛び跳ねるレオルドを、ニコラもニコニコしながら見つめている。

 レオルドだけではなく、実は私もここに来てから一度も街に行っていない。

 久々のお出かけが楽しみすぎて、顔がニヤけてしまいそうだ。




 みんなで一緒に街に行けるなんて嬉しいわ。

 ……あ! そうだ。

 私の分も、魔力を消すネックレスを作ってもらわなきゃ。




 一緒に持ってきていたピンク色の宝石がついたネックレスをテーブルに置き、レオルドにお願いする。



「レオルド。この宝石にも同じ魔法をかけてもらっていいかしら?」


「うん! ママのだね。ちょっと待ってて……あれ?」


「?」



 宝石に触れて同じ呪文を唱えたけれど、先ほどのように宝石が光らない。

 レオルドのキョトンとした様子を見れば、魔法が成功していないことがわかる。



「なんでだろう? さっきみたいにできないよ」


「おかしいわね。何か発動条件があったのかしら?」


 

 2人で再度本を確認すると、最後のほうにあった一文を見逃していたことに気づく。



「あ。この魔法、連続しては使えないのね。意外と魔力を消費するのかしら」


「次できるのは3日後だって。ママ、だいじょうぶ?」


「大丈夫よ。ママにはまだこの魔法紋が残っているもの」




 だいぶ薄くなってきてるけど、あと2日くらいは保つわよね。

 こんなに楽しみにしているんだし、街に行くのはまた今度……なんて言えないわ。




 たとえ魔法紋が消えてしまったとしても、誰かに私の魔力探知をされない限りは何も問題はない。

 姿を消して6年。もう死んだことになっている私の魔力を探知している人なんて、いるはずがない。


 それに、この近くの街は私たちが住んでいた街からだいぶ遠い場所にある。

 かなり田舎だとシンやニコラから聞いているし、たとえ魔力のある人に私が魔術師だと気づかれたとしても、私の顔を知っている人はいないはずだ。




 大丈夫。レオルドの魔力がわからないなら、それで十分よ。

 たとえ魔法紋が消えても、問題ない。


 


「約束通り、明日街に行きましょう」


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