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姿を消したあと、妊娠に気づきました〜ヤンデレ化した天才魔術師様が私を諦めない〜  作者: 菜々@12/15『不可ヒロ』1巻発売


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怪しい動きをするレオルド


「……レオルド。何を探しているの?」


「えっ」



 魔女の話をした次の日。

 レオルドは、寝室の床に何冊もの魔法書を広げてパラパラとページをめくっていた。

 目の動きとページをめくる早さを見れば、何かの魔法を探しているのが丸わかりだ。



「べっ、べつに何もさがしてないよ!」


「……じゃあ何をしてるの? そんなに早くページをめくったら、本が読めないわよ?」


「えっと……本をめくって遊んでるの!」


「…………」




 レオルドったら……私に隠し事?

 


 

 表情や声で、嘘をついているのはバレバレだ。

 でもレオルドが隠し事をするのはめずらしいので、嘘に気づかないフリして話を合わせてみる。



「そうなのね。でも、本でそんな遊び方をしたらいけないわ。大事にしないと。遊びたいなら、外で遊びましょう?」


「あ。えっと……ぼく、その……」


「ん?」


「今は、本を見ていたいの! 本が好きなの! だから……だから……ママはあっち行ってて!」


「!」



 グイグイと背中を押されて、寝室から追い出されてしまった。

 鍵がないのにガチャッという音が聞こえたので、どうやら魔法でドアが開かないようにしたらしい。

 そこまでして私に見られたくないなんて、嫌な予感しかしない。



 

 ……まさか、魔女対策用の魔法を探しているんじゃないわよね?




 昨日、私はハッキリと「魔女の前で魔法は使わないで」と伝えた。

 一応「うん」という返事はもらったけど、レオルドの納得いっていない不貞腐れた顔を思い出し、不安になってくる。




 どうしよう……。

 私が怯えたせいで、余計にレオルドが魔女へ対抗心を燃やしてしまっていたら……。




 もう一度しっかり話し合う必要があると思い、ドアをノックしようとしたとき――キッチンにいるニコラに呼ばれてしまった。



「アミーリア!」


「……何? ニコラ。今、ちょっと……」


「ダニィおばさんが高熱を出して寝込んでいるらしいの! シンが野菜届けに行ったら、うまく返事もできない状態らしくて……」


「! 大変! すぐに薬を作るわ!」



 ダニィおばさんとは、街と森の間にある小さな集落に住んでいる年配の女性で、この辺の土地や街についていろいろ教えてくれたり、出産のときにたくさんお世話になった方だ。

 シンに頼んで、たまに野菜や薬を届けてもらっている。




 レオルドとの話はまた今度だわ。

 高熱なんて……大丈夫かしら。早く解熱薬を作らないと!




「アミーリア。どのくらい時間かかるかしら?」


「材料は揃ってるから、調合するだけよ。すぐできるわ!」


「わかったわ。アミーリアの薬を飲めば、熱はすぐ下がるから安心ね」


「でも、早く届けてあげないと……!」



 私の作る薬は、薬草に自分の魔力を足した魔法薬だ。

 魔力なしの薬よりも効果を出せる分、魔法薬は市場ではそれなりの高値で売れる。

 でもそれは私が魔術師であることを証明してしまうため、こうして仲の良い人にだけこっそり普通の薬として渡している。



「もうすぐできるわ。ダニィおばさんの様子も見たいし、私もシンと一緒に行ってきてもいいかしら?」


「ダメよ! 薬には魔力が残ってしまうんでしょ!? 薬を運ぶときは、アミーリアは一緒に行かないって約束じゃない」


「でも、街までは行かないし……。あの集落には魔力を探知できる人はいないわ」


「ダメダメ!! たまたま寄った遠征中の騎士団や商人たちに、薬を見られる可能性だってあるんだから!」



 

 うっ……そうよね。

 この薬が魔法薬だって気づかれたら、誰が作ったんだって調べられちゃうもの。

 私が生きてるのがバレるんじゃないかって、心配してくれてるのよね。




「わかったわ」


「はぁ……まったく。アミーリアは、薬のことになるとすぐ自分を疎かにするんだから」


「ごめんね。気をつけるわ」



 ダニィおばさんにこの薬が効くのかしっかり確認したかったけど、ここはシンに任せたほうがよさそうだ。

 私は作った薬を小瓶に入れて、シンに手渡した。



「もし5分以上経っても何も変わらなければ、すぐに教えて。あと、咳の仕方とか喉や体に痛みはないかとか、話ができたら聞いてきて」


「わかったよ」


「念のため、他にも薬を作っておくわ。よろしくね。シン」


「うん」



 無表情のシンは、私から薬瓶を受け取るなり颯爽と森の中を駆けていった。

 感情がわかりにくいけど、マイペースなシンがあんなに全力で走るなんて、彼なりにダニィおばさんを心配しているのがよくわかる。


 


 よし! じゃあ、ダニィおばさんはシンに任せて……私は他の薬を作らなきゃ!




***




「…………ん?」



 ふと気がつくと、私は真っ暗な部屋の中で寝ていた。

 大量の薬作りに疲れて、レオルドを寝かしつけながら一緒に寝てしまったらしい。

 どっちが先に寝たのか覚えていないくらい、記憶が曖昧だ。




 久々にたくさん魔力を使ったからなぁ……。

 レオルドはちゃんと寝てるかしら…………あれ?




 隣を見ると、ニコラが気持ち良さそうにスヤスヤ寝ていた。

 間で寝ているはずの、レオルドの姿がない。



「レオルド!?」




 どこに!? まさか、またリュカ様のところに……!




 慌てて立ち上がろうとしたところで、寝室のドアがカチャ……と静かに開いた。

 やけにコソコソした様子のレオルドが、私を見てビクッと肩を震わせている。



「わっ、ママ!? 起きてたの!?」


「レオルド! どこに行ってたの?」


「え? っと……お、お水のんでた!」


「……そう」



 どこか不自然な態度だけど、とにかくレオルドがここにいることにホッと胸を撫で下ろす。

 レオルドはあまり会話をしたくないのか、「じゃあ、ぼく寝るね!」と言ってササッと布団に潜り込んだ。




 ……何かおかしいわね?

 隠れてイタズラでもしてたのかしら?




 まぁ、詳しいことは明日聞けばいい――そう思いながら、私もまたベッドに横になった。


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