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姿を消したあと、妊娠に気づきました〜ヤンデレ化した天才魔術師様が私を諦めない〜  作者: 菜々@12/15『不可ヒロ』1巻発売


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リュカ視点③


 ナディア・ドーファンがまた婚約の申し込みをしてきた――そう俺に報告した執事は、呆れた様子で尋ねてきた。



「さすがに数年空けてきましたね。シュラール家のことと無関係であることを示すためでしょう。……どうされますか、リュカ様?」



 あの女と結婚などするわけない。

 そんなことわかりきっているはずの執事が、わざわざ俺に確認してくる理由。

 それは、簡単には断れない話だということだ。



「賛成しているのは誰だ?」


「クラヴェル公爵家以外の魔術師の家系、すべてです」


「……そうか」



 やはり、みんなシュラール家の二の舞を恐れている。

 ここで反対したなら、次は自分の家が潰されると思っているのだろう。




 全部の家を敵に回すとなると、あとあと面倒だな……。




 俺はアミーリアの生存を確信している。

 あと数年もしたら、アミーリアはまた俺の元に戻ってくるはずだ。

 そのときクラヴェル公爵家が孤立した状態だと、のちに俺の妻になるアミーリアに苦労をさせることになってしまう。




 アミーリアと結婚するためにも、ここはあの女との婚約を受け入れる必要があるな。




 なんとも矛盾した行動だが、今はそうするのが無難だろう。

 結婚の際、反対してきた者を俺の力で黙らせることは簡単だが、そんな状態で結ばれることをアミーリアは望まないはずだ。

 それに、ここで魔術師全員を敵に回すと両親にも迷惑をかけることになる。



「婚約は受け入れる。この家に住むのも許可してやる。だが、結婚はしないし俺があの女に触れることも絶対にない。あの女がいつまで耐えられるのか、静かに見守るとしよう」


「……かしこまりました。婚約のお話を受けると、ご両親にお伝えしておきます」


「ああ」

 


 こうして俺は、あの女との偽りの結婚を許可した。

 プライドの高いあの女が、俺と結婚したと言いふらすことは容易に想像できたが、どうでもよかった。




 周りにどう思われようが、関係ない。

 アミーリアが現れるまでは……自由にさせてやる。




 その前にあの女が我慢の限界を迎え、俺に愛想をつかして家から出ていけばいいのに――そう願っていたが、あの女の執着は思っていた以上のものだった。

 結婚式にも出ず、夫婦として外に出ることもなく、触れることも会話すらもないこの生活を、あの女は3年も耐えている。


 離婚したと言いたくないだけなのか、いつかは……と期待しているのか、その本心は知ったところではないが。




 いくら待っても無駄だ。

 アミーリア以外の女など、カケラも興味はない。

 もし本当にアミーリアが死んでいたとしたら、そのときは容赦なくあの女と父親を殺すだけだ……。




 そんなことを考えながら、毎日アミーリアの魔力を探した。

 きっともうすぐ、彼女の魔力を感じられると信じて。



 


 そうしてアミーリアの失踪から6年後――とうとう、その魔力を探知することができた。

 懐かしく愛しいその魔力を感じた瞬間、俺は隊長として参加していた討伐隊の会議中だったにも関わらず、転移魔法を使い彼女のもとへ向かった。




 アミーリア……!!



 

 パッと到着した場所は、見たこともない街だった。

 あまり栄えてはいない田舎の街だとひと目でわかる。その街中に、俺の目の前に、驚いて目を丸くしたアミーリアが立っていた。

 

 服や髪など少し印象が変わっているが、昔と変わらない美しいアミーリアを前にして、俺の凍っていた心が溶かされたような感覚になる。



「アミーリア……。本当に、君なのか……?」



 生きていると信じていたとはいえ、見つけるまでに6年もかかってしまった。

 その間、本当は父親と一緒に死んでしまったのではないかと、何度も不安に押し潰されそうだった。

 今目の前にアミーリアがいることが、奇跡のように思える。




 よかった……本当によかった……!




 こんなにも温かい気持ちに包まれたのはいつぶりだろうか。

 こんなにも幸せを感じられたのはいつぶりだろうか。

 アミーリアがいるだけで、俺はこんなにも満たされる。




 もう二度と、君と離れたりなんかしない。

 君は……俺のものだ。

 



「……やっと見つけた。もう、離れない」

 

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