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姿を消したあと、妊娠に気づきました〜ヤンデレ化した天才魔術師様が私を諦めない〜  作者: 菜々@12/15『不可ヒロ』1巻発売


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再会


「リュカ……様?」


「アミーリア……。本当に、君なのか……?」



 突然現れたリュカ様は、ゆっくり私に近づいてきた。

 私の顔や髪、体を確認するように上から下まで見たあと、そっと私の頬に触れる。

 頭が真っ白になってしまった私は、微動だにせずその場にただ立っていることしかできない。




 どうして……リュカ様が……。




 どうして? と思いながらも、頭の片隅ではその答えがわかってしまっている。

 リュカ様は、ずっと私を捜していたのだ。

 6年経った今でも、私の魔力探知を続けていたのだ。



「会いたかった……アミーリア……」



 そう呟きながら、泣きそうに顔を歪めるリュカ様。

 あの紙に書いてあった冷酷な魔術師の姿など、そこにはなかった。

 私の知っている、思いやりのある優しいリュカ様だ――そう思った瞬間、リュカ様の瞳から光が消えて、空気が闇に包まれた。



「……やっと見つけた。もう、離れない」


「え……」



 その言葉を最後に、自分の意識が遠のいていくのがわかった。

 足に力が入らず、倒れかけた私をリュカ様が支えてくれる。

 完全に意識を失う直前、リュカ様の背後でこちらを見ているニコラの姿が見えた気がした。




 *





「ん……」



 どれくらい気を失っていたのか。

 目を覚ますと、そこは見覚えのないベッドの上だった。

 大きさ、ふかふかな感触、肌触りの良いシーツで、貴族の使う高級なベッドだということだけはわかる。



「ここは……?」



 陽が落ちたのか、部屋の中は薄暗くてよく見えない。

 それでも、家具や部屋の広さでどこかのお屋敷の一室だということはわかる。




 ここはどこ? リュカ様は……いない。




 部屋の中には私だけだ。

 周りに誰もいないとわかって、ホッと息を吐く。




 私、リュカ様に連れてこられてしまったの?

 レオルドは……ニコラたちは、どうしてるの?




 まさか、魔法紋が消えた瞬間にリュカ様が現れるとは思っていなかった。

 あの場にいたのが私1人だったからよかったものの、もしレオルドと一緒にいたら危なかった。

 レオルドの姿を見られなくてよかったと思う反面、私だけどこかに連れてこられてしまった事実に不安になる。




 どうしよう……ここはどこ?

 リュカ様は、なぜいきなり私をここへ……。




 みんなが心配しているはず。早く家に帰らなくては。

 そう思ってベッドから降りようとしたとき、自分の足の異変に気づいた。

 足首に、金色の光の輪っかがついている。




 ……え? これ……レオルドが鳥に使っていた拘束魔法?




 異変は、それだけじゃない。

 服も先ほどまで着ていた服とは違い、真っ白のワンピースに着替えさせられている。




 何これ……まさか、全部リュカ様が?



 

 拘束魔法がかけられているとはいえ、足は動く。

 その状態のままベッドから降りて少し歩いてみると、数歩ほどで足が動かせなくなった。

 部屋の扉までは全然届かない位置までしか行けないようだ。




 逃げられないようにされてる……?




 監禁――という言葉が頭に浮かび、ゾッと背筋が凍る。

 私が使える魔法をいくつか試してみたけれど、拘束魔法が外れる気配はない。



「そんな……」


「無理だよ。それは俺の魔法だ。簡単には外せないよ」


「! リュカ様!」



 扉が開く音なんてしなかったのに、気づけば背後にリュカ様が立っていた。

 優しい口調で顔も笑っているのに、どこか怖く感じてしまうのは……拘束されているからなのか。



「裸足だと床が冷たいだろう? ほら、ベッドに行こう」


「!」



 そう言って、リュカ様が私を抱き上げてベッドに連れていく。

 そのまま優しくベッドの上に下ろすなり、リュカ様は私の顔をジッと見つめた。



「まさか、本当に生きていたなんて。君の父親が、君を一緒に殺すとは思っていなかったけど……やっぱり思ったとおりだ」


「あの、リュカ様……。急にあんなことになって、申し訳ございませんでした」


「君のせいじゃないよ。すべてはドーファン宰相や、それを手伝った魔術師たちのせいさ」


「!」




 リュカ様は、やっぱりすべてをわかってくださっていたんだわ。




 自分たちを信じてくれたことに、感謝の気持ちが湧き上がる。

 それと同時に、ずっと何も伝えられずにいたことを申し訳なく思う。



「私のこと、何も伝えられずに……すみませんでした」


「身を隠すためだったんだ。仕方ないよ。ただ……俺にだけは、言ってほしかったけどね」


「そう……ですよね。本当にすみません……」


「謝らなくていい。君が生きていてくれたなら……それでいいよ」


「リュカ様……」



 愛おしいものでも見るように、優しく私を見つめるリュカ様。

 昔と変わらない温かい彼の姿。

 でも、その彼に拘束されている今の現状がうまく結びつかない。




 えっと……私、逃げられないようにされてる……のよね?




「リュカ様……この拘束魔法、外していただけませんか?」


「どうして?」


「どうしてって……私、家に帰らないと」


「家に帰る?」



 その瞬間、ニコニコしていたリュカ様が急に真顔になった。

 声も低くなって、異様な圧を感じる。

 こんな冷めきった表情のリュカ様を見るのは初めてだ。



「家に誰か待っている人でもいるの? まさか、男?」


「え? い、いえ……」



 たしかに男といえば男だけど、なぜかそう答えてはいけない気がする。

 ビリビリとした嫌な空気に、手が震える。




 何……? 怖い……。


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