第八話 脅威の片鱗
ここブライラスにやってきて三日目の夜、総司は自然と街の西に聳えるガフォート山に目が向いていた。
街を色々見て周り、街の西部へと至った時、不意になにか嫌なものをあの山から感じていたのだ。
それから、かの山に向けて意識を向けると、その嫌な感じが更に増していった。
今までなぜそれを感じていなかったのか? 不思議に思いつつ総司はヴァロナ商会本社ビルの展望台で、かの山を睨み続けていた。
「総司様? 眠れないのですか?」
不意に、そう背後から声をかけられて総司は振り返る。
メディアとオラージュが二人で連れ立って、展望台の総司の側へと歩いてくるのが見えた。
「あ……、メディアさん。オラージュさん……」
「……魔王様――、何やら心ここにあらず……、といった感じでしたが?」
「……ん」
総司はそう言ってかの山へと視線を戻した。
その様子を見てオラージュは目を細めて、総司の隣へと歩み寄り、同じようにガフォート山へと視線を向けた。
「……魔王様? あの山がなにか?」
「いや……、気のせいかも知れないけれど――、気持ち悪さを感じるんだ」
「不快な気配……、ですか?」
その言葉を聞いて、更に目を細めて山を睨むオラージュ。
「こんなの……、今までなかったんですが――。変ですね? なんか病気かな……?」
「――不快……。魔王種の――、中枢神核の防衛反応?」
そのオラージュの言葉に総司は首を傾げる。
「それって……、僕に備わった特殊な感覚とかいう話ですか?」
「……いえ、どちらかと言うと――、生命核である中枢神核が、反存在を知らず知らずのうちに感じ取っている、という感じですか……」
そのオラージュの言葉に、メディアが苦い顔をして呟く。
「ちょっと……オラージュ。それって――、幻魔への反応ですわよね? それに……、もしあの山に幻魔が居るという事でも、魔王様がこの距離で反応するのはおかしい話ですわ……」
「まあ……、そもそも幻魔は天災や天変地異によって出現しますので……、それが最近発生していないここ一帯で感じられるのもおかしい話です……」
三人は遥かガフォート山を睨む。そして――、
「調べてみましょうか?」
メディアが静かにオラージュに言う。オラージュは頷いて総司を見た。
「何やら嫌な予感が致します。あの山に調査に向かったほうがよろしいかと……」
「ふむ……、たしか今ルーチェさん――」
総司はオラージュの言葉に頷きつつあの酒飲みを思い出す。オラージュはため息を付いて言った。
「ヴァロナ様とお酒を飲みにいっていますので、――おそらく明日の午前中辺りまで役立たずになるかと……」
「……それは……」
総司は苦笑いして頭を掻いた。そんな二人にメディアは言う。
「あの二人は放っておいて……、今からでも調べに行くべきですわ。私も胸騒ぎがしますし……」
「僕達三人で……ですか?」
その総司の言葉に、オラージュとメディアが頷く。
「幻魔の事はまだ確定事項ではないですし……、そもそもわたくしとメディア様がいて、魔王様のサポートがあれば、大体の事は出来ますので……」
「そうですわ……、このメディア、今日こそは総司様のお役に立ってみせます!」
その二人の言葉に、総司は今から、かの山へと向かう決意をした。
――そして、その先に起こる事件は、のちの大きな戦いの片鱗だったのだ。
◆◇◆
夜の空を、総司はメディアに飛翔の術式をかけてもらって、自身の翼で飛行するオラージュと並走して、三人でガフォート山へと向かった。
眼前にガフォート山が大きく見えてくるにつけ、総司は大きな不快感を感じ始めた。
「やはり……、この山には何かあります」
その総司の言葉に、オラージュとメディアは頷いて、そして山の中腹あたりへと向かった。
そうして、中腹におり立って森林地帯を進んでいった三人は、ある地点で歩みを止めた。
オラージュが真剣な表情で総司を見て言った。
「……ここのあたりですか?」
「はい……、すぐ先です――」
そう呟く総司を見て頷き、オラージュを先頭に森の更に奥へと進んでいった。そして――、
「洞窟……ですね」
その先にかなり大きな洞窟が口を開けていた。
総司はその奥から、不快な気配が煙のごとく立ち上っていることを感じ取った。
三人は意を決してその奥へと歩みを進めてゆく――、闇を照らすための光術をメディアが使って、その光を頼りにその奥へ奥へと進んでいった。
そして――、かなりの距離を進んだ先に薄赤い光が見えてきた。
「……」
三人はその先こそが目的地だと理解して――、そして歩みを進めた。
――そして、三人は驚愕の光景を見たのである。
「ちょっとまってくださいまし……、こんな事――」
「な……」
総司とメディアはその光景に息を呑んだ。
目前に街一つ軽く入ってしまうほどの大空洞が広がっていたのである。
「……ここって山の地下ですよね?」
「ええ……、本来ならば火山構造ができているはずの場所――、それが……」
その大空洞の各所に、魔力光で輝く溶岩流が流れ、それによって大空洞の全体を明るく照らしている。
そのあまりにも広い大空洞は、溶岩と岩盤しか見ることが出来ず、それ以外には何もなかった。
――いや……。
「総司様……」
オラージュが静かに呟いて指を指す。他の二人はその指差す方向を見て――、そして驚きで目を見開いた。
「あ……」
総司が小さく呟く。その視線の先に、小さな人型のナニカが蠢いているのが見えた。
「下級幻魔……」
オラージュがそう呟き――、そしてその呟きが切っ掛けであるかのように、目前の光景が異様な変化を始めた。
「――!」
三人の目前で小さな子鬼――「下級幻魔」が、何も無い空間から滲み出てくるかのように現れ始める。
その数は見る間に増え始めて――、もはや数えるのも億劫なほどに、目前の大空洞全体を埋め尽くしたのである。
さらに、それに呼応するように、更に巨大な幻魔も無数に生まれ始める、それこそは――。
「中級幻魔まで?!」
さすがの数にメディアも引いた様子で驚いた。三人はそのまま黙り込んで、そのあまりに異様な光景を眺め続けた。
「……これは、まずいですね」
オラージュがやっとその言葉を口から絞り出す。他の二人も頷いて言った。
「ここまでの大規模な幻魔群は――、ブライラスにとって危険きわまりないですわ」
「……はい……、なんとかしないと――」
三人は黙ってお互いを見つめる。オラージュが頷いてメディアに言った。
「現在の、結晶化仮想魔源核を申告してください――、メディア様……」
その言葉に真剣な表情で答えた。
「現在は五ですわ……」
「こちらは六……、何とかなりますか――」
二人は頷いて総司を見る。
「魔王様――、今から我々で幻魔群の処分を行ないます。魔王様はメディア様のお側から離れないようお願い致します」
「……あ、はい」
そのオラージュと総司のやり取りを見てメディアは言った。
「……大丈夫よオラージュ、総司様は私が護ります」
その言葉にオラージュとメディアが笑い合って頷いた。そのまま視線を幻魔の群れへと向ける。
「では……、お掃除を始めましょうか? メイドとして……」
そう言ってオラージュは不敵に笑った。
◆◇◆
総司は、飛翔の術式でメディアと空を並走しつつ、一人翼を広げて幻魔群の中心部へと向かうオラージュを見る。
そんな総司にメディアは微笑んで言った。
「……総司様は――、オラージュの固有権能を見たことは?」
「え? いや……。ただ以前――」
総司はそう呟いてかつてを思い出す。あのオラージュとルーチェが一騎打ちをした直後の事である。
オラージュは笑いながら総司に言ったのだ。
――先程の魔王様の見解は少し誤解がありますね。
――誤解、ですか?
――ええ、わたくしがルーチェに固有権能を使用しなかったのは、命を奪いたくなかったからではりません。
――単に、あの狭い場所では扱えないものだったからです。
そう言ってかつてのオラージュは総司に笑った。もちろん「――もし使える固有権能であってもルーチェに対しては使わなかった事は確かですが……」と付け加えて……。
「ならば……、しっかり見ておくべきですわね。アレはうまく扱えば強力ですから――」
そう言ってメディアは総司に笑った。
そうして、主たる総司が離れた場所から見守るその視線の先で、幻魔群の中央上空に至ったオラージュが静かに幻魔群を見下ろした。
「さてと……、皆様の、永遠のお休みの時間ですね……」
そう言って、オラージュはその両手を胸に当てる。
「仮想魔源核――開放……」
【system LOGOS:――分割神核機能・個別世界律限定適用を開始致します】
【system LOGOS:――個体識別符名・天魔七姫将、オラージュ・ヴェルゼビュート】
その瞬間――、オラージュの背後の翼が四枚羽根に変化する。
「固有権能行使……」
【system LOGOS:――固有権能・暴食死翼(Gluttony Death Wing)】
その固有権能が起動した瞬間、オラージュの背中にある四枚の翼が光の粒子へと変換され始める。
そのまま、さらに光の粒子が別の形を再構成し、その姿を、――オラージュに柄を向けた巨大な大剣四本一組――、計四組の異様な翼へと変化させたのである。
さらにその四本一組の剣翼に青黒いオーラが纏われる。そうして、その剣翼一枚一枚が、まるで昆虫の半透明な虫羽根にも見える姿に変化した。
――そして最後に、その剣翼の青黒いオーラがその翅翼の中央部に、頭部に角を生やした骸骨を描いたのである。
それはまさしく――、蠅の王の四枚翅翼そのものに見えた。
その光景を総司は呆然と眺める。――メディアは静かに語り始める。
「あの四枚の剣翼――、【暴食死翼(Gluttony Death Wing)】こそがオラージュの本来の武器。いつも召喚している両刃長剣は、アレの機能を制限して生み出しているものですわ」
「……」
「剣翼が纏う青黒いオーラが見えますか? アレは魂食いの呪霊ウイルス――。接触したものの生命核に侵入して、その構造の結合力――、生命力を餌に増殖侵食して、ボロボロにしてしまう。そうして侵食された生命核は限界まで脆くなって、少しの傷で死亡する脆い生命となる。――そして、それは反生命――、マイナスの生命である幻魔とて変わらない」
オラージュはその両手に両刃長剣を生み出すと、その切っ先を離れた位置で這い回る中級幻魔へと向けた。
「右剣翼一番――、発射――」
その瞬間、オラージュの背後右側にあった剣の一本がそれだけで飛翔、旋回してオラージュが切っ先を向けた中級幻魔へと衝撃波を纏いつつ音速で飛翔した。
そして、そのままその中級幻魔に突き刺さって――、
ドン!
衝撃波と砕けた金属片が、魂食いの呪霊ウイルスとともに破砕を周囲にもたらす。
中級幻魔は爆散し、周囲の下級幻魔もオーラを纏った金属片の嵐に粉々に砕けていった。
その一帯がキレイに円形の幻魔のいない土地になる。
オラージュは更に、その両の剣でそれぞれ中級幻魔を示した。
「右剣翼二番――、左剣翼一番――、発射――」
そして、命令通りに――、まさに地球の兵器である誘導弾――、空対地ミサイル弾のごとく大剣は空を奔った。
ドン! ドン!
二つの炸裂が生まれて、そうして幻魔を確実に減らしていった。
その姿はまさに、空を飛翔してその対地ミサイル弾で地上兵器を焼き払う攻撃機や、攻撃ヘリそのものであった。
オラージュはその左右翼の剣が失われる前に、幻魔のいなくなった地帯に着地する、そのまま最後の左右二本の剣を敵集団に打ち込んで、――そして、背後の蝙蝠羽根が光とともに元の姿を取り戻したのである。
「まだまだいますし……、仕方がないのでもう一度――」
そうしてオラージュは、再び仮想魔源核を開放して――、【暴食死翼(Gluttony Death Wing)】を再展開する。――さらなる破砕が始まった。
「す、すごい……」
総司は呆然と呟く。メディアは満足そうに笑うと、今度は自分の胸に手をおいて言った。
「それでは総司様――、次は私を見ていてくださいましね?」
その言葉に総司は頷き――、メディアは自信に満ちた瞳で言葉を発した。
「仮想魔源核――開放!!」
【system LOGOS:――分割神核機能・個別世界律限定適用を開始致します】
【system LOGOS:――個体識別符名・天魔七姫将、メディア・アスモダイオス】
「固有権能行使!!」
【system LOGOS:――固有権能・紅蓮竜炎(Crimson Dragon Flame)】
その瞬間――、メディアの背後に骸骨の巨竜が頭を持ち上げて現れる。その喉あたりに、真紅の燃える球体があって、その虚ろな眼窩には小さな赤い火が灯っている。
「焼き払いなさい……」
メディアがそう命令した瞬間、骸骨巨竜の喉の球体が輝いて、紅蓮の炎を放射状に吐き始める。それは相当な広範囲を扇状に焼き払って、中級幻魔も含めて肉から炭へ、炭から灰燼へ時間をかけて焼却していった。
「まあ……、私の固有権能は、比較的広範囲ではありますが、オラージュのような瞬間的爆発力はありません」
「これが……、メディアさんの――」
総司はかつて、円卓会議場でメディアが、この固有権能を使おうとした事を思い出して苦笑いした。
(まあ……、これは確かにキルケさんの言う通り、狭い部屋では使っちゃダメだよね……)
メディアの方は、総司の苦笑いに気づいてはおらず、得意げに固有権能を披露し続けたのである。
◆◇◆
そうしてしばらく大空洞内の掃除を続けたオラージュとメディアは、数回の固有権能使用の後にほぼ幻魔を壊滅に追いやって、再び一つに集まっていた。
総司が二人に言う。
「これでもう大丈夫ですかね?」
「……いいえ、わたくしの予想では――、ここからが本命だと……」
オラージュのその言葉に疑問を得る総司だが、その答えはすぐに提示された。
ゴゴゴゴ……。
いきなり地面が揺れだして、近くの大地を裂いて全長数十メートルはあろうかという、見たこともないほど巨大な幻魔が現れる。
それを見て、オラージュは納得の表情で頷いた。
「え? あれは……」
「……あれは上級幻魔でございます」
そのオラージュの答えに、総司は驚きの目を向けた。
「それって確か……」
「ええ……、おそらく魔王様は、この巨大な反生命の存在を感知して、気分が悪くなっていたのでしょう」
「……」
天災や天変地異の間しか現界しない中級幻魔以下の幻魔と違い、上級幻魔と幻魔竜王は一度出現したらそのまま世界に存在し続ける。
そして、その存在は中級以下の呼び水となって、大陸に災厄を撒き散らすのである。
メディアはオラージュに向かって言う。
「オラージュ……、私の固有権能は昇格しても上級幻魔に対する有効打になりにくいですわ。だから……」
「ええ……、それは仕方がないですね……」
オラージュは、メディアにそう答えてから、今度は総司の眼を見つめて言った。
「魔王様――、わたくしに魔王権能のうちの昇格効果を使用していただけないでしょうか?」
「え……、あ!」
そのオラージュの言葉に、何かに気づいた様子で総司は頭を縦に振った。
すぐさま総司は、オラージュに対して手のひらを向けた。
「魔源核――開放」
【system LOGOS:――中枢神核機能・世界律管理者権限をもって従神核への拡張機能を実行致します】
【system LOGOS:指示をどうぞ:▶】
「魔王真名――、ジードの名において権能を行使する!! ――其の使命は目前にあり、穿ち難い壁が在っても示す号令は変わらず! その神核の根源を解放し――、その真なる奇跡を我に示せ! 【叙進】!!」
その瞬間、オラージュのその身の各所に輝く文様が浮かび上がり始めた。それを理解してオラージュは言う。
「【昇格】の効果適用を確認――。魔王様……、メディアとともに避難を――」
その言葉を聞いた総司は、メディアと目配せをすると空に飛翔して、大空洞の外殻へと離れていった。そうする間にも上級幻魔はオラージュに向かって歩を進めている。
それを一瞬睨んだオラージュもまた、その背の翼で――、上級幻魔と十分な距離を離すべく飛翔した。
「ふむ……、この辺ですね――」
そうして地上へと降りたオラージュは、再びその両手を胸に当てた。
「仮想魔源核――開放……」
【system LOGOS:――分割神核機能・個別世界律限定適用を開始致します】
【system LOGOS:――個体識別符名・天魔七姫将、オラージュ・ヴェルゼビュート】
その瞬間――、オラージュの背後の翼が四枚羽根に変化する。
「固有権能行使……」
【system LOGOS:――昇格型弐式固有権能・鏖殺神剣(Divine Sword of Absolute Death)】
――その瞬間、オラージュのその背に【暴食死翼(Gluttony Death Wing)】が展開される。
「全剣――、展開後待機――。【暴食死翼(Gluttony Death Wing)】再装填――」
十六の大剣の群れがオラージュの周囲に規則正しく並ぶ、すると再びオラージュの背に【暴食死翼(Gluttony Death Wing)】が現れる。
「全剣――、展開後待機――。【暴食死翼(Gluttony Death Wing)】再装填――」
その、十六の大剣の群れもオラージュの周囲に規則正しく並ぶ、――三度オラージュの背に【暴食死翼(Gluttony Death Wing)】が現れる。
「全剣――、展開後待機――。【暴食死翼(Gluttony Death Wing)】再装填――」
さらに、十六の大剣の群れがオラージュの周囲に規則正しく並ぶ、――さらにオラージュの背に【暴食死翼(Gluttony Death Wing)】が現れる。
「全剣――、展開後待機――。――全剣六十四本の展開を確認――、全剣融合開始――」
そのオラージュの号令に従い、光と化したすべての大剣が一つになってゆく――、そして――。
「【鏖殺神剣(Divine Sword of Absolute Death)】装填完了――、方位角、射角、調整開始。目標――、前方上級幻魔、及び周辺幻魔群――」
オラージュ・ヴェルゼビュートは、その左手を肩に添えて、その右手をまっすぐに伸ばして、迫る上級幻魔へその指先を向ける。
その傍ら、少し上空に浮かぶのは――、全長20mもの超巨大両刃長剣である。その切っ先は上級幻魔へと向けられ、その刀身中央部には頭部に角を生やした骸骨が描かれていた。
「――着弾地点定義全行程終了――。貫徹し、粉砕し、諸共壊滅せよ――!!」
――発射!!
その瞬間、その超巨大大剣――、剣の形をした弾道ミサイル弾は、衝撃波を纏いつつ高速で上級幻魔へと飛翔し――、その頭部からその胴に至るまで貫徹して、そのまま閃光と衝撃波と、絶対死の大破壊を周辺に広げながら爆発したのである。
その轟音と衝撃波と土煙が、退避していた総司たちにまで届く。
その衝撃波の中で静かに佇むオラージュ・ヴェルゼビュートは、その頭を静かに下げて言ったのである。
「――どうぞ安らかにお眠りください――」
こうして――、ガフォート山の下の大空洞に潜んでいた幻魔の群れは完全に消滅した。
そして、これは次なる戦いにつながる序曲でしかなかった。