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2話 初めまして私の味方

少女は彼女が進むままに走り、知らない来たことの無い路地を進み、進み、誰も来ないような薄暗い路地の奥の奥の喫茶店の扉を開き少女と共に入った。


そこには数えるほどしかいない客と喫茶店のマスターがいた。


(ここ……来たことがある。いつだったけ……)


マスターと客は彼女の傷だらけの姿に驚くことなく、カウンターの裏に彼女と少女を促した。




喫茶店の地下。少女はは困惑していた。


少女は地下にいた人に用意された椅子に座り、異様な光景を思い出し、周囲を見渡し、幻覚ではないことを再確認する。


「やあ、初めまして。彼女から聞いている。同じ高校の友達だと」


上にいたマスターが少女のいる地下に降り、親しげにそう言った。


地下には秘密基地のような広い空間と幾つかの部屋の扉。


「あれを見てしまっては敵に目を着けられる可能性があったから連れて来た。そうだな?」


「その通りです。ボス」


彼女にボスと呼ばれたマスターがそう聞き、彼女がそう答える。


「……えっと。ここは……?それと、何で血だらけに……あれは何だったの……?」


少女が疑問を吐露すると、傷に包帯を巻き付けた彼女が説明し辛そうな顔で少女以外のこの場にいる人々に目を向ける。


マスター含めた10人ほどの人間は何の動きも見せ無い。肯定、否定をしない。特段反対な意見や仕草も無い。


彼女は軽く息を吐いて椅子に座る少女と対面する。


「私は……いや私達は超能結社。とある世界転覆を狙う超能力者達の組織と敵対してる。超能力って言うのは……見せた方が早いね」


そう言って言葉を切ると、彼女は近くにあったマグカップに触れ、それは変容した。


水のように崩れ、氷のように固まり、形を変えてマグカップは小さなナイフと化した。


「常軌を逸した力。超能力と、私達はそう呼んでいる。私の場合は今みたいな超能力で、私達には1人一つ違う超能力を持ってる。って言う感じかな。無論敵の組織も、私達も、同じように今みたいな能力を持ってる」


「もしかして、ヒーローみたいな感じなの?」


彼女の説明に少女は-−–


(……あれ?)


「そんな輝かしい感じじゃ無いよ。どちらかと言えば工作員の方が近い」


「と言う訳だ。彼女の知り合いだからこそ、君は組織の者共に人質にされる可能性がある。事情を説明したのは君が今どんな状況なのかを円滑に理解する為。どうするかは我等が考える。だから君の親御さんには、今日は友人の家で泊まる等の説明をして欲しい。恐らく数日はこの地下室から出られない可能性がある」


マスターが少女にそう説明し、少女は息を呑んで頷いた。


少女が頷くと、安心したかのように地下にいた人達は各々が別に動き始め、少女は取り残されたかのように一人になった。


そして思い出したかのように少女はスマホを取り出し、今日は両親に対し友人の家に泊まるという虚偽の報告を出し、両親はそれに承諾した。




少女は何かすることも無く椅子に座っていると、不思議な印象を感じる少年が上の通路から地下室に現れ一直線に椅子に座る少女に向かい口を開く。


「ふむふむふーむふむ。キミ、能力あるね」


「……そうなの?」


少年の言葉に周囲にいた人達が軽く驚いたような顔を少女に向けた。


「でも目覚めて無いね。だからキミに眠る能力の名称言っとく。名前、舞台装置」


「舞台……装置……?それって……?」


「さあ?キミに分からなければボクにも分からない。だーれも分からない」


不思議な印象を感じる少年は可笑しな仕草をしながら地下室に幾つかある部屋の1つに入って行った。

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