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溜め込んでたものは勢いに任せて吐き出す

ノリで書き始めたのでゆるーく続けていきたいと思ってます。

ビルの合間から除く空は清々しいほどの青だというのに、それに目もくれず人々は早歩きで日々を送る。

平日は会社と自宅を往復し、休日は体力回復のため延々と寝続ける。

「ーーやってられるか!!」

会社の先輩に仕事を押し付けられ続け、精神的にも肉体的にも限界を迎えた茅野沙穂(かやのさほ)は気がついたら叫んでいた。

沙穂に仕事を押し付けてきた先輩は驚いたように目を見開き、近くに居た上司も手を止め何事かとこちらを見ている。

先輩の表情は驚きから、徐々に怒りへと変わっていく。

「茅野さんさぁ、いきなりその言葉遣いは何なの? ここ職場だよ? できないなら、できませんって言えば良いよね? そんなことも言えないなんて、社会人何年目?」

苛立ち混じりのその言葉に、今までの沙穂だったらすぐに謝っていただろう。しかし、もう限界だった。

「失礼しました。その仕事は先輩の業務ですので、できません。今後もご自身の仕事はご自身でお願いします」

笑顔で言いきり、上司に向かって歩き出す。後ろで先輩が何か騒いでいるが、もう気にならない。

「すみません、1ヵ月後に退職します」

今度は、上司の顔が驚きに染まっていった。


驚く上司を尻目にトトトッと退職届を作成し、有給が何日残っているか確認し、引継ぎのスケジュールを立てていく。

たった1人の後輩に全てを押し付けるようで申し訳ないが、沙穂はもう限界だった。

(ーーあのムカつく顔はもう見たくない!)

先ほどの先輩の顔を思い出すだけで、腹の底から苛つきが込み上げてくる。


仕事を押し付けてくる直属の先輩は、中途採用で入社した時の教育担当だった。次第に沙穂が仕事を覚え始め、1人で動けるようになると少しずつ仕事を押し付けてくるようになってきた。

年齢も一回り以上離れている先輩に、気の弱い沙穂は強く出ることも上司に相談することもできないまま数年。遂に限界を迎え、叫んでしまったのだった。

「-ー茅野さん、ちょっと良いかな?」

先ほどまで驚きで固まっていた上司が、小さく手招きをしながら別室へ来るように声をかけてきた。

素直にそれに従うと、応接室で上司の前に座るよう促される。

「さっきの退職の件だけと……」

神妙な面持ちで、上司は話し出した。

「いきなりどうして退職をしようと思ったの?? 会社としては茅野さんは貴重な人財だし、任せている案件とかもあるからできれば辞めないで欲しいんだけど」

昨今は人財の流出を防ぐためにこうして引き留め交渉があると聞いていたが、耳障りの良い言葉を並び立てているだけのようにしか感じなかった。優しそうな雰囲気を醸し出すこの上司とて、沙穂の連勤と残業が続いているのを見て見ぬ振りをずっとしてたのだ。

言葉の端々に、お前が辞めると俺の仕事が増えるだろという本音が空けて見える。新卒の頃はこの本音が見抜けず、ツラい思いをしたことが幾度とあった。

(もう、そんな言葉に騙されるような歳でもない)

どんなに良い言葉を並べられても、それが上辺だけの言葉だとわかっていれば気持ちが靡くことはなかった。

「申し訳ないのですが……」

周りが定時退社をするなか押し付けられた仕事、先輩の仕事が終わらず理不尽に叱責されたこと、この会社での記憶が頭を駆け巡る。

「どんなに引き留められても、私は辞めます」


区切りが良いところで投稿していくつもりです。

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