表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

ぼくのともだち

作者: せいじ
掲載日:2024/08/11

 僕にしか見えない、そんな世界がある。

 ある時、その事に気が付いた。

 僕にしか見えない、僕だけが見える世界がある事に。


 その事に気が付くまで、僕は幸せだった。

 変な奴とか、おかしな奴とか言われるけど、別に気にならなかった。


 だって、僕は普通なんだから。


 でもある時、みんながおかしかった。


 遠足のバスに乗っていた時だ。


 何かが、バスに居た。


 その何かが、僕に、いや、みんなにささやいていた。


「そっちは危ないよ、行っちゃダメだよ」


 だから僕が、その何かの代わりに皆に知らせた。


 危ないから、引き返そうと。


 みんな、きょとんとしていた。


 また、はじまったと笑っていた。


 それでも僕は、真剣だった。


 その何かも、真剣だったから。


 でも、ダメだった。


 いくら僕が言っても、みんな笑うだけだった。


 それでも言うと、今度は怒られた。


「おかしなことを言うな」

「みんな、お前を気味悪がっているぞ」って。


 先生にも言った。


 でも先生は、冷たい目で僕を見下ろすだけだった。


 そういうのは、またにしてねと。


 それでもと先生に言いつのると、今度は怒られた。


 嘘つきはどろぼうの始まりよと、頬をたたかれた。


 かるくだけど、痛かった。


 僕は、黙った。


 もう、目をつぶるしかなかった。


 でも。


 ダメ!


 その何かが、僕の手を引っ張った。


 気が付いたら、僕は病院に居た。


 バスは対向車と正面衝突し、崖から転落したんだと、後で看護師のお姉さんに教えてもらった。


 無事だったのは、僕のほかは数人だけだったと。


 先生も、もう会うことは出来なくなった。


 その何かは、もう居なくなった。


 あの時確かに、何かは僕に叫んでいた。


「伏せろ」と。

「でも、みんなが」

「いいから、伏せろ」

 そう言うと、その何かは僕の手を強く引き、僕の上に覆いかぶさってきた。


 記憶があるのは、そこまでだった。


 その何かは、まだ生きているのだろうか?


 どうして、僕を助けてくれたんだろうか?


 あの時、どうすれば良かったのか?


 どうすれば、皆を助けることが出来たのか?


 僕は寝返りを打とうとして、点滴が腕に付いていたことに気が付いた。


 寝返りを打つことを、僕は諦めた。


 僕は顔だけ、横を向いた。


 少し、びっくりした。


 その何かが、そこに居たからだ。


「大丈夫?」


 その何かは、僕にたずねてきた。


「うん、大丈夫だよ」


 その何かは、はにかんだ笑顔を見せてくれた。

 ただ、うれしそうだった。


「ねえ、君は?」


「君のそばに居るよ」


 その何かは、いつの間にか居なくなった。


 

 僕は病院を退院した。


 両親は一度だけお見舞いに来たけど、それから退院するまで一度も来てくれなかった。


 でも、寂しくなかった。


 僕には、見えない友達が居たから。



 これが僕と、ともだちの出会いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ