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夢の中で
新しいお話です。ちょいと長めですが、よろしくお願いいたします。
薄暗い空間のなかで、うっすらとシルエットだけが浮かび上がり、声が聞こえてくる。
「早く、君に逢いたいよ」
「僕も、早く君に逢いたい」
「会いに来て。ずっと待っているから」
時折、夢で見る子供がいる。
おかっぱ頭で着物姿の子供。
知らないはずなのに、とても懐かしい、その子。
逢いたくてたまらない、あの子。
もうすぐ行くよ。もう少しだけ、待っていて。
そうしたら、もうその手を離さないから。
絶対に離さないから。
待ってて。