日記
…これは、とある日記の内容だ…
夢を見ていた気がする。
不思議と遠い昔の記憶のような。
なんとも言えない懐かしい夢。
あいにくと内容は忘れてしまったようだ。
いつか、思い出せるだろうか。
昔の記憶のようだと言ったがそれは正しくないだろう。
私にはどうしても夢のようなことを経験したことはないからだ。
読んだ者は何故だと問うのだろうか。
何故ならば私の身体は自由に動かないからだ。
今の私は生きているのが奇跡としか言いようがない。
ちょうど去年のこんな日だった。
秋の訪れを感じさせる涼しさと残暑が混ざり合うこんな日。
大きな事故だった。
詳しくは知らないが大勢の人が亡くなったらしい。
そうだ。今の私にはこの部屋が、この本が全てなのだ。
そうだ、もしかするとあの夢はもう誰にも語られることのない昔の私の記憶なのかもしれないと思ってしまう。
また、同じ夢を見た気がする。
この前よりもはっきりとしていただろうか?
やはり内容は思い出せない。
なんなのだろうか。私は死ぬのか?
久しぶりに本を読んだ。
あの夢の手がかりを探すために。
色々な本を読んだ。久しぶりに楽しかった。
何も手がかりは得られなかったが、確かに光を見つけた。
あれから随分と経った気がする。
私は今から死ぬのだろうか。
あの夢は結局何だったのか、何もわからなかった。
答えは出ないままだ。