人生そんなもんなアリとキリギリス
匿名希望です
サービス残業が200時間を超えたアリの巣では、今日も皆が死に損ないのゾンビの行進の如くご飯を運んでいます。
まるでネクロマンサーのように、キリギリスのヴァイオリンの音色に揺れて動くアリ達が、今にも倒れそうになりながらも、必死で働いておりました。
「キミたちはどうしてそんなに働いているんだい?」
キリギリスがヴァイオリンのテンポを上げると、アリの足がもつれて次々と倒れてゆきます。
「もうすぐ冬が来る。だから食料をためてるのさ」
「ハハッ! 冬が来る前にキミたちが過労死してしまうな」
キリギリスは元気よく軽快な音色を奏でました。
「じゃーねー」
キリギリスがゆっくりとアリの行列の横を通り過ぎていきました。
冬が来ました。
10年に一度の大寒波とニュースでは大騒ぎです。でも去年も5年に一度のなんたらって騒いでいました。
「っつっっむい!!」
コンビニで買った肉まんを食べながら、キリギリスが雪の中を歩いています。ですが、もうお金はありません。食べ物もありません。
「寒くてヴァイオリンが弾けない……」
キリギリスが凍えていると、アリの巣を見つけました。
「アリさん、食べ物を恵んでくれよ。死んじまう」
「死ね」
それは一言で終わりました。
キリギリスは途方に暮れました。
「しゃーない……」
キリギリスはある場所へ向かいました。
「ストラディヴァリウス、3億8000万円でどうだい?」
キリギリスはヴァイオリンを売りました。
「アリさーん!」
キリギリスがロールスロイスに乗り、アリの巣へとやってきました。助手席には金髪爆乳キリギリス姉ちゃんを乗せています。
「死ね!!!!」
アリの叫び声が真冬の空へと吸い込まれていきました。
匿名希望でした。