君の名は
ボク達四匹はニンゲンに捕まった。
狭い半透明の檻に閉じ込められて上から見下ろされている。
「うーん、名前つけないと管理しにくいなあ。」
・・・管理?ボク達を丸々肥え太らせて食べる為に?
ニンゲンは一匹づつ持ち上げてお腹を見る。
「どの子を見てもよくわからないなあ・・・」
ちょっと!
恥ずかしいし柔らかい(甲羅に比べて)お腹をまじまじ見るのやめてよ~
じっとお尻の穴を見るはダメ~!
イヤーン!!ヘンタイ!
身をよじりたくても甲羅を掴まれ動けない。
手足と尻尾をグリグリ回す。
ヘロヘロなんだけど、仕様だから仕方ない。
「総排泄口(いわゆるお尻の穴)の位置は・・・判断つかん。
雌雄の判別はもうちょっと先だな・・・」
ニンゲンが呟く。
お腹をじっと見られた子は恥ずかしさにいたたまれない。
穴があったら入りたい・・・
あ、あった。甲羅という穴が・・
しばらく甲羅にこもってじわっと外を窺う。
そして・・・
カメダッシュ!
つられてみんなでカメダッシュ!
一斉に同じ方向にカメダッシュ。
だから・・・ボクもう限界だよ~
一番最初にダッシュを止めるのはボク。
すぐに止まるのを見てニンゲンは呟いた。
「ふむふむ、この子、めっちゃビビりやなぁ。
一番小さくてまん丸。ビビり・・・
玉・・・ビビり・・・ビビ○ダマ・・・
語呂が悪いなあ。進化系はマルマ○ン。
丸いマイン・・・うん!君はマイン!
マイン!君に決めた!!」
えーボクの事?ビビり?
失礼な!
ボクほど胆力のあるイシガメはいないよ!!(注:自己評価です)
一番小さく丸いのは栄養失調で成長してないからだよ~
因みに他の三匹はまん丸から前後に伸び始めてる。
でも・・・
マ イ ン
これがボクの名前・・・
なんか気にいったよ。
間の抜けた、ヘンタイニンゲンだけど
ネーミングセンスはいいね♪
「この子は左の甲羅が凹んでるなぁ。
ちょっと心配だな・・・凹ちゃん。
君は凹ちゃんだ。」
うん、うん。ボクと同じセンスかも。
「後の二匹は色目が違う位でイマイチ判別がつかないな。」
今日初めて会ったけど、二匹はボクを舐めまわすように見る。
なんかイヤ~
「うん。赤っぽい方はちょっとワイン系がはいってるのかな?
君は ロ ゼ !
雄雌どっちでも大丈夫だし。」
うんうん。男の子と思って『カメ太郎』なんて付けたら女の子だった・・・なんてシャレにならないからね。
この子はボクを舐めまわすように見るけど、わりとおっとりしてる。
まあ、一緒に居ても気疲れしないかも。
凹ちゃんは初めて出会った同族で心の兄弟。
ていうか、この四匹同じ親から産まれた血を分けた兄弟達なんだけど。
「この子は元気だな…
他の子を踏み台にして・・・あ、転けた。
なんか“俺様”感満点だ。
ジャイさん・・・某アニメの俺のモノは俺の物。お前のモノも俺の物のあのキャラ・・・から取って・・・いや、もっと激しい気がするなぁ。
暴れん坊の暴君・・・雌かもしれないから・・・
ボーちゃん。
君はボーちゃん!」
ボーちゃんかぁ・・・
マインはこれからボーちゃんにイジメられる日々が来る事をまだ知らない。