みっけた!
翌日、夕暮れ時・・・
さすがにそろそろヤバい。
ホントに飢え死にしそうな予感がしてきた。
もう浮島に登るのも力を振り絞ってって感じ。
登りきったらしばらくは動けない。
頭を上げているのもしんどくなってきた。
「ご飯だよ~」
あ、ニンゲンだ!隠れなきゃ!!
そう思うけど力が出ない。
え?濡れたアン○ンマンみたい?
まん丸だし、似てるかも?なワケないやろ!?
なんとか頭を上げて警戒態勢をとる。
するとニンゲンと目があった。
「「・・・・・・・・・・・・・・・」」
一瞬時間が凍りついた。
ニンゲンの腕が伸びて来る。
逃げなきゃ・・・
力が入らない・・・
動け!動け!動け!
今のボクの体はシンクロ率10%を切っている。
ニンゲンの指がボクに触れる。
本能の命ずるままに
カメダッシュ発動!
時既に遅し。
ニンゲンの指はボクの甲羅を捕まえて手足だけが虚しく空を切った。
そして半透明の“檻”に入れられる。
ボクはもう力が出ない・・・
恐怖が去るまで甲羅に縮こまるのが本能の命ずる所だけど、
甲羅に縮こまるのって案外力要るんだ。
そんな力残ってないよ~
そんなワケで目は開けてるけどどこかダラ~っとした格好でいる。
「へえー、イシガメベビーだ!
6個から8個位卵を産んだ筈だ。
まだいるかも??」
親カメへのエサやりはコロッと忘れて捜索開始。
お、一匹みっけた!
あ、こっちにも。
もう一匹!
全部で四匹。
ん?もう一匹・・・あっ、首と手足が無い!
もういないかな・・・
これ以上は見つからなかった。
いつ生まれたんだろ?
前のエサやりの時はいなかったよなぁ。
じゃあ、昨日だ!
2020年9月4日 四匹誕生って記録しておこう。
ちょっとマテ!
ボクと凹ちゃん以外に“同族”がいるとは知らなかったけど、生まれたのはもっと前だっつーの!
このニンゲン結構抜けてるかもしれない。
捜索を終えてボク達を覗き込んでジーッと見つめる。
視線を感じた“同族”達が恐怖に駆られてカメダッシュ。
一匹が始めるとそれが伝播して皆が始める。
はい、皆さんご一緒に
せーの
カメダッシュ!!
これ仕様だから抗えない。
ヘロヘロの体でボクも
カメダッシュ!
もうダメ!誰か止めて~
「お、みんな元気があっていいな。」
おいニンゲン!それ違ーう!