4話 「真の力」
「ふ、服を……」
「しっ、失礼」
リヴァイアドはシンクレアと同じ様に竜巻を起こし、小さなドラゴンの姿に戻った。
その目には光が差し、輝いている。
「私を助けてくださった方にこんなマネをしてしまい……」
「いいから、そんな固い態度を控えてくれ。別に俺は偉くも無い。俺達は平等だ」
「は、はい。申し訳ありません」
「……まぁいい」
こうしてドラゴンを元に戻す事ができた。
助けられたのだ。
それだけで十分。
「リヴァイアド、私を覚えているか?」
俺が話し終わった瞬間、すかさずシンクレアがリヴァイアドに話しかける。
「……申し訳ありません」
「……そうか」
覚えていないのか。
どんな関係だったのかは分からないが、シンクレアにとっては少し辛い所もあるだろう。
例え命が無事だったとしても。
◯
「リヴァイアドも付いてくるのか?」
「はい。既に『契約』を結んでいますので」
「契約?」
「グレイ様に従う、と。無意識のうちに」
なるほど。
だからシンクレアもこうやって付いてきているのか。
しかも、今まで俺がトカゲ使いの能力を使うのに失敗していた理由が見えてきた。
契約を破棄していたのだ。
ちょっと悲しくなってきたが、普通のトカゲは俺と来るのを拒んでいたのだ。
自我を無くされていたドラゴンを除いて。
シンクレアはそのことを悟られまいと、誤魔化したのだろう。
「それに、既に私達は一心同体ですので」
「一心同体?」
「『トカゲ使い』は、従えているドラゴンと魔力など、様々な力を共有しているのです」
ゼラと戦った時。
俺は奴を押していた。
一回も勝つどころか、当てることすらままならなかったゼラにだ。
「このリヴァイアドも従えることができたので、グレイ様には更なる力が見込めるかと」
俺が……力を……
俺は父から貰った剣の上に手を乗せた。
「絶対に、恨みは晴らします。父さん」
◯
「町が見えてきたぞ!!」
歩いたのは2時間ほどだろうか。
あれっきり一言も話さなかったシンクレアがそう叫んだ。
不思議と全く疲れない。
これも『トカゲ使い』の能力か。
崖の下には少し大きめの町がある。
恐らくアイツらはあの町に行ったのだろう。
本当に臭いが分かるのかと疑ってしまったが、信じて良かった。
奥地に連れられ、食べられるのかと……いや、違う。ドラゴンはそんな野蛮ではない。
まだ長年の考えが頭にこびりついている。
意識の奥底に。
「流石にドラゴンの姿のままではマズいだろう。人間の姿で行くぞ」
「に、人間の姿でっ!?」
「仕方ないであろう」
ドラゴンの姿で行ってもダメだし、全裸の人間の姿で行ってもダメだ。
だからと言って俺だけが行くとしても、臭いが分からなければ追うことができない。
困ったな。
都合良く服があればいいんだが……
「おい!! ドラゴンがいるぞ!!」
何だ?
「囲め!! ドラゴンの子供だからと言って慢心するな!!」
ぼ、冒険者だ。
冒険者が、岩陰から次々と現れてくる。
15人はいる。
しかもこの雰囲気……ここにいる冒険者たちは全員Sランクだろう。
「今回は……2匹か」
15人の冒険者の中で一番体のデカい男が呟く。
マズい。
数あるSランク冒険者の中でも、この場所に来るのはドラゴン討伐のエキスパートの選りすぐり。
下手したらシンクレアとリヴァイアドの命が……
「あのガキはどうします? リーダー」
「生かしておく意味はねぇ。……殺す」
リーダーと呼ばれた男――やはり、さっきの一番体のデカい男か。
恐らく、ゼラと同等ほどの力をもっている。
共にいる俺すらも……殺すつもりのようだ。
だが、シンクレアもリヴァイアドも全く焦っていない。
それどころか、余裕の表情を浮かべている。
まるで、何も気にする必要は無いと言いたげだ。
「グレイ、一人で戦ってみろ。今のグレイなら……この程度簡単に片付けられる筈だ」
「えっ?」
俺が、一人で?