恣に
1860年。
この年は、俺が作ってきた会社を紹介していこう。
60年代の状況は、また次にするから待っててくれ。
・英国造船工場851
自社唯一の債務がない会社。比較的歴史がある会社で、アイリッシュ海に面するサウスポート一帯
を私有地にしている。最近は英国との貿易に先駆けて、日英合同石油会社・華北複合企業などと
有益な取引をしている。そのためか英国の外務相から、輸出品に関する部品製造を自国会社に分配
するようにお願いされている。
四国造船所・華北複合企業・福島軍産學複合体や日英合同石油会社とは、技術開発競争をしている。
それだけであって、建艦競争は行っておらず、競合は四国造船所のみである。
しかし重油タービン式戦艦建造のノウハウを使っての商売は、四国造船所しかいないので東西で
戦艦需要への供給を分けている。そもそも今現在石炭やクジラの油が主流なので、
受注する船舶は限定されている模様。
歴史的文化価値のある船舶の造船も行えるので、観艦式のための建造依頼も受けている。
現在の敷地は初期の3倍に増加している。ほとんどが資材置き場。
・華北複合企業(酒/武器/薬/食料/船/生活用品等)851
経済的冊封体制をなすための発起点。義和団の乱まで待ちたかったが、
専横や横領ばかりで、遅々として計画が進まない。
そのため、政権奪取と帝の擁立と保護を目的として、華北軍閥として旗揚げしてもらう。
もしも咸豊帝が、停戦を申し込んできたら太子密建への参政権を求めようと思う。
また太平天国の乱の混乱に乗じて、黄河周辺の豪族の土地を買収して会社の私有地にしている。
去る者は許さず来る者は拒まず、を行うことで会社私有地や領域内で思想や技術の封じ込めができる。
ただ……これの本当の目的は、労働増加とともにアヘン中毒者を減らす意味もある。
彼らには一発屋な中毒ではなく、酒や賭博囲碁といった継続的中毒者(消費者)になってもらいたい。
・城郭保全会社(修復建造・警備)8'50
江戸城の炎上や熊本城の崩落など、いろんな天災や年月による破壊を伝統技術で直してきた
技術集団。そしてそれらの警備をする、警察のような役割を担っている侍集団。
保全のために、人材づくりの子育て支援や技術向上の学校建設、新たな建築方法を学ぶための海外派遣がある。
彼らの丁寧な玄人の働きにより、最近ではキリシタン大名により彼らの名が売れ、ドイツやフランスの古城の修復
なども任されるようになった。警備のほうだと、その威容と異様さから海外より護衛の嘆願書が来る。
しかもフランスが企業連合に負けて、日本のド級戦艦を送った後その船の形を気に入ったものから
徐々にジャポニスムが世間を風靡していく。欧州の日本ブームが到来したとき、ドイツのイベントで
一夜城を作ってしまったことで変に名前が広がったのが原因らしい。
今後は華北複合企業や支那文化叡尊委員会と協力して、さびれた文化遺産を修復することを
目標にする。
・日英合同石油会社852
外見で言えば協力的だが、いつのまにか中身が日本の極道やヤクザ、英国マフィアであふれかえっていた。
会長としての地位は揺るいではいないので、好き勝手やらせている。
「組長!また、やつらが徴収に来やしたぜ!?」
「んなもん祝砲でお出迎えしてやれ。”ようこそ、そしてさようなら”ってな」
「さすがは組長!やってきやがります!」
「Hey,Boss.我等がシマに入ってきやした。如何しんぜよう」
「西のアメリカンマフィアか! ホエールウォッチングは、一つの楽しみ。
それを奪わせるわけにはいかん!」
「では?」
「船を出せ!白兵戦じゃ!」
「ククク、話の分かる熱い男だぜ……!」
とまあ、こんな感じでよくやってる。
これ、船長多いよな?同君連合な感じで、うまくやっているようだけれども……。
楽しそうだし、いいか。
もしも何かあれば、スマホか監査が感づくからなんとかなるはず。
・日本対外為替企業851
日々増加する株主と証券取引。英国ドル、銀元、日本圓、フランの株価が、支那対外為替企業と連動
した数値のなか常に変動する。
日本圓の大判を手に入れたいと思う外国人を静止するため、国外には勘合切手や厳正な処罰で対処することになる。
・四国造船所853
競合が多い中、需要が一部に集中し供給場も少ないがため、堅実に自身の利益を稼いでいる。
しばらくの間戦略として石油使用船舶は国内需要の供給のみで、他は石炭を使った蒸気船を中心に供給する。
ガスタービン機関になったことで、冷却が水では心もとなくなってきた。
そこで電気の普及もあるので、液体の蒸発と凝縮、圧縮気体の断熱膨張、気体の脱着、ペルチェ効果を使って、
冷却装置を作る予定だ。目途は1870年。
・四国電鉄853.
四国内すべての藩に、鉄道省なるものを作ってもらいインフラに関する統計やそれに合わせた施政を行えるようにする。
走っているのは蒸気機関車・電気機関車・釣り掛け電車・通常電車・貨物列車が走っている。
また1861年までには、試験的な大阪の堺と徳島を結ぶ地下鉄の開通と列車集中制御装置の導入を急ぐ。
ほかにも蒸気機関車による列車公害対策や貨物列車の列車航送船を愛媛広島・香川岡山につなぐことを急務としている。
さらに電気の普及と電灯の開発により、列車信号と線路分離機・遮断機も連動とともに自動化させることが可能になった。
これらのインフラ整備は、すべての鉄道で1900年までには進めたい。ただ、ATSも1950年までには、つけさせてみたい。
・ダルヴァザ天然ガス会社854
ニヒリストが逃げてきて、ロシア帝国の帝国主義者らと対立することになる。社長は彼らの民主主義を好意的に受け止める。
また天然ガスやその過程で出てきた鉱石系を輸出するため、長距離の鉄道網を拡大している。
これがのちにシベリア鉄道の前身となってしまうのだ。
・支那文化叡尊委員会854
自立心たっぷり、愛国心たっぷりな老人から若者男女からなる史跡・歴史大好き人間で構成されている。
彼らに充てられた予算により、関羽廟や項羽廟、始皇帝墓地、後のライオンシティの修復などを随時行っている。
また失われそうな文献を、最新の印刷技術により復旧したり刷りなおしたりしている。
これらの関係か、護岸工事などで中国伝統建築家の育成が行われたり、城郭保全会社から人を呼んで
足りない人手を埋めている。
・スエズ運河日埃英共同会社854
日英合同石油会社がスエズ運河の建設費や権利を、フランスから購入した。
そして地元民であるエジプト人と英国人と共に、協力して作り上げることになる。
・傭兵斡旋会社855
スイスが撤退しても、ロシアの敗残兵狩り・イタリア統一紛争などで主にインドから傭兵になりに来ている。
・華北複合企業朝鮮支部857
李氏朝鮮の評価は、世界レベルで汚いと酷評され糞の危険性も日本から通達された。
これにより華北複合企業の会社方針を踏まえて、地元の文化を破壊できるように清掃活動が行われ始める。
もちろん教育して、魂に刻み込ませるのだ。
・支那対外為替企業858
日本対外為替企業と最新の伝達技術で、株価レートを類似させている。
レートがおかしくなっても、もともと経済的冊封体制国家は内需特化なので、そこまで被害はない。
被害があるのは、雇用者のみ。
・熱帯雨林保全委員会(林業会社)858
熱帯雨林の保全や保護のために、木々の管理や貴重な生物の保護を目的としている。
また鉱脈や油田を、国家の認証を得て探している。結果は一部ぼかしてそれらが所属する国家に伝え、
それらを発掘する権利を貰う。
ただ治安の関係で、傭兵を雇わなければならないのはつらいところ。
早めに石炭や鈴などで、儲けを出したいところ。
今ある現状では、ゴムやバナナの生産をするために、土壌開発をしている。
・南米鉱脈会社858
ボリビアの鈴や銅に目を付け始めたが、スペインがすでに目をつけていてそれらの発掘権利を
どのようにしてかっさらうか思考中。熱帯雨林保全委員会が得た鉱脈や油田情報を貰い、
発掘の権利を得て商売をするつもりだ。
発掘採掘の効率を上げるため、線路を引こうか悩んでいる。
・アジア圏機械部品製作会社858
チベット・日本・李氏朝鮮・ベトナム・モンゴル・新疆・トルキスタン。
上記の国家に、機械部品を拡散して作ってもらっている。
経済的冊封体制がなりたっているので、子会社であるかれらは土地の主である国家の財政を潤すことになる。
またこの会社で手に職をつけた者は、別の会社を立ち上げたり自身で違う新たな小物商品を作っていく。
これらのおかげで、上記の国家は緩やかにしかし確実に近代化していくことになる。
・華北複合企業特亜支部858
李氏朝鮮がカトリック系キリスト教徒を掃除している中、わが企業は社員やそこらの市民の意識改革や町の掃除をしている。
王はこれらに危機感を抱いているが、中国に朝貢しているのだから何も問題はない。
ただ金を持った市民が、本来の主である清から心が離れていっているのは確実だ。
それと国家宗教の仏教と儒教の反復幅跳びだが、華北複合企業が公布している『真・儒教』の方を定着させていく。
・宇宙開発研究所859
フランスやベルギーの植民地・南アフリカ全土の貴金属やダイアモンドを、無断で独占し
わが企業に横流ししている。一応宇宙開発に必要な、ロケット開発もしているが遅々として進んでいない。
・三重自動車会社859
基本的な工業品を不況から立ち上がろうとしている米国から最安値で購入し、
製造機を購入してきた代物を使って手作業で作る。
基本構造は青写真で伝えたが、これからどうするのかは彼ら次第。
一応1879年までには、三重の自動車が販売に出されることを願っている。
さらに無茶ぶりというか、指標でとある目標を立てさせた。
それは最高時速は百キロ以上で定員は4人または2人で、100キロの荷物を運べ平坦な道を
時速60キロで走った時の燃料消費量を1Lあたり30Km以上とし、
大がかりな修理をせず10まんきろいじょう走れる車で、価格を現代換算で100万以下に抑える
為廃棄量は350cc~500ccにして車体重量は400キロ未満というもの。
さすがに無茶過ぎたのか、条件の緩和を要求されたが技術の成熟と
前提条件を満たせた自動車に対して資金援助をすることで納得させることにした。
・福島軍産學複合体859
軍事産業・民需産業とそれらを支える学力を持つ労働者になる生徒を、解禁している最新の情報を技術を
学習させて福島を中心とした関東地方の日本人の能力を飛躍させている。
また戦争に敗北したフランスや国益で身の振り方を決めた英国の軍事顧問を呼んで、
日本帝国軍の前身でもある幕府陸軍や海軍を基礎から作ることになる。
・製糸工場857
蚕繭から作られた生糸を、外国または国内にむけて大量生産する工場。
安価な浴衣から高級な着物になる高品質なものを作っている。
おかげでこの藩の輸出額は、大変なことになっている。
またこの工場のおかげで、近代都市の病にさいなまれることになる。
さらに島津斉彬氏と薩摩土佐の貿易協定を結び、さらなる近代化を目指すことを発表した。
詳しくは後に語ろう。
・李氏朝鮮
国内が4つほどの党の暴走で、血で血を洗う政争が行われている。
衰える貨幣制度と資本主義に国民は不満を募らせているが、華北複合企業の朝鮮支部のある南部は、
国よりも会社を信じるくらい満ち足りていて南北では貧乏と裕福の格差の広がり具合がバカにならない。
最近では新たな党派が増やされ、さらに政争が激しくなっている。もちろんその党派自体が、会社の息がかかった
朝鮮民族だ。
1861年。11歳。
土佐藩において、外国への目の向け方が変化する。
さらに製糸工場の成功によって、発言権が増えたため直談判という形で教育に関して説明。
現代の小中高大の学校制度において、小学校までをクラス単位で管理しその間に自分が
興味とともに仕事にしたい得意なものを、そこで作り上げておく。
そして中学校から総合でありながら中身は専門的な分野が集まっている学校へ通い、
同じ指向性を持つ生徒をクラス単位で管理しながらさらに細かい分野に分かれさせる。
基本的に中学校で終わらせる。それ以上はもっと専門的な知識や技術が必要な職業に就きたい者が受けるべき。
大学も結局は高校の延長線なので、行かないほうがいい場合もある。
また、俺の近況だが、ポニーテールとかしていた妹と弟が死んだ。
俺がいる実家は川上で、川が削った谷に地震で起こった地滑りで平らな土地ができたところに移住した、
山下の一族。そのため杉・桐・松茸・竹などは、舟を使って川下へ卸していた。
しかし帰りは、徒歩である。もちろん舟は馬車で運ばれてくるんだが。
それできょうだいが死んだのは、イノシシとイノシシを追いかけてきたニホンオオカミ。
この二匹のせいで、きょうだいが物理的に死んでともに居た猟師と親戚のおじさんとお兄さんは、
狂犬病と破傷風で死んだ。
淡々と語っているが、俺は勉強が手につかない。
学校に通い、そこで知り合った源五郎と知識を深め合っているのだが、ため息しか出ない。
ちなみに専攻しているのは、俺は経済学で源五郎は地政学だ。
地政学は基本を押さえれば、あとはとんとんと覚えられるらしい。
そんなわけで兵士への教育には、この地政学を覚えてもらったほうがいいのかな、と思ったりする。
というか前前から、このように思っている。
理由は簡単で、その土地の風土や地理・生物の特色などを知っていたほうが、戦闘や生存戦略に有利なんじゃないかと思ったから。
もしも撤退中に、洞窟があるとしっていたらそこに入って防衛戦ができているだろうし、水や泥を取得して
火炎放射に耐えることもできるかもしれない。
とまあ、将来あるであろう世界大戦のために、叩き込みたいんだ。
土佐藩の藩内の教育は、俺の発言のおかげでなんとか始動まで行けている。
ほかの経済に関しては、俺の製糸工場が上手くいったことも相まって土佐藩が近代化を推し進めている。
いやまあ、別に以前から進めていたらしいが、どこから手を付ければいいかわからなかったらしい。
そこで俺は需要と供給、職業種のバランスを説いた。
「世界は職業毎にある需要と供給・国民の消費でなりたっています。
職業は主に、第一産業・第二産業・第三産業があります。
第一次産業はすべての根幹である農業・林業・漁業等のことです。
第二次産業は第一次産業の加工産業のことで、製造業という食品や水産物を加工する職業や
鉱業・建設業・電気・ガス業が該当します。
第三次産業は、運輸・郵便・卸売・小売り・金融保険・不動産・物品物産賃貸・学術研究・
専門技術サービス・宿泊・飲食・生活関連サービス・娯楽といった、形のない無形財というものになります。
また第四次産業において情報通信業、第五次産業は公務・教育・医療といった公的無形財、
第六次産業はロボット・ドローン・宇宙開発物品……と分類されます」
「興味を引くものが多数あるのがあるが、まずは直近の問題だな。
佐吉の言うその分類において、我が藩は第一次が活発だ。主に漁業・林業はすさまじい。
最近は第三次も多くなってきているが、険しい山のおかげで四国鉄道くらいしかサービスがないな。
そんなわけで経済の多角化・多様化といったか?業種が多いことは、新たな富の取得となり
我が藩の力や富が増加するのはよいことだ。
というわけで、我が藩は第一・第三以外の産業を活発化させよう」
「と、豊信[とよしげ]様、なりませぬ!」
「どうしたか、東洋」
「第一次産業は我が藩の経済どころか人の原動力でございます!
無理やり産業改革をなされても、需要と供給の崩壊や富の格差により第一次産業が廃れかねません!」
「またオランダやイギリスに赴いた使節団によると、オランダは第二次産業・第三次産業に傾注していた
おかげで干拓した農地が水没した際食料不足による飢餓・飢饉が発生し、
多くの国民が餓死したとか。またイギリスは売れに売れる産業革命の発信者。
その自負なのか開発するのは蒸気ものばかりで、蒸気機関への熱意が半端ではないです。
ですがそれまででありまして、ほかの原材料の開発が行われず技術の停滞が発生しています。
そういうわけでして、数種の産業に傾注するのはよくないかと」
「むぅ、象次郎までそういうか」
うん。今まで隠していたけれど、あの急進派である吉田東洋さんらは俺が真っ先に外国の産業で、
一気に土佐藩の財布になったので俺の意見を諫める形になってる。
そして守旧派は、にらみつけてきているんだよなぁ。
ま、まだ11歳だし?暗殺されないよね?
まあ子供の戯言だと思ってくれればいいかな?
外国情勢。
アメリカの南北戦争だが、これは発生していない。
従来通り、リンカーンが農奴解放を宣言したが、それは机上の空論という感じで終わった。
理由としては、華北複合企業の思惑がある。
実は当時は遺伝子組み換えとかそんな技術とかなかった。
西欧にはあったかもしれないが、考えが遅れている中国ではそんなものなかった。
そのため華北は、従来の小麦しか気候的にも作れなかった。
まあトウモロコシとか、朝貢させたやつで頑張っているが如何せん土地がない。
経済的に豊かでも、それを養える土地がなかったんだ。
それでどこに目を付けたのか。
それはアメリカ南部だ。
あそこは綿花とかジャガイモ・トウモロコシを、農薬の概念がない今奴隷を使って安価で安全な
農作物を作れる。
そこで華北複合企業は、軍閥内の民の食を満たすため大口契約を交わす。
大型輸送船はカリフォルニアで調達し、コロラド州など広大な土地からとれたものや
玄米をわたして大量に米を作らせることに五分成功し、それらを大量輸入。
結果的には国民の8割が、十分な食事にありつけるようになる。
アメリカ南部の米の育成が十分になったら、増え続ける国民の腹を満たせるようになるだろう。
そうなると奴隷主義のアメリカ南部・カリフォルニア州・奴隷解放主義のアメリカ北部の思惑が変化してくる。
実をいうと華北複合企業は、アメリカの肥沃な土地を狙っていた。
西部のゴールデンラッシュと聞いて、アメリカよりも性能の良い発掘機を開発していたため
残った鉱脈を虎視眈々と狙っているのだ。
そこでどうやって手に入れるか。
簡単だ。インディアンをかどわかせればいい。
彼らは侵略者であり植民者でもある旧大陸の人間に、広大な大地を奪われた。
そこで宗教の過激派やインディアンの復古派の酋長たちに、輸送船を作る際の古い技術の譲渡や完成したやつを
買うことで資金を豊かにさせることに成功。
土地は奪われているが、労働に関しての土地は企業側が買えばいいしな。
そして支援していけば、ある一時の綻びで挙兵できるように準備させている。
そう、カリフォルニア共和国として、建国してもらうつもりだ。
ただ酋長が調停者といった者で、支配者じゃないのが痛いところではある。
次にアメリカ北部。
ここは五大湖や他の機械部品の輸出入で、懐があったかい経済的に豊かな者が多い。
そのため、農奴は解放すべきという声が高らかにある。
実際は南北で経済的格差があり、奴隷がいてもそれほど便利ではなく専門的な知識や技術が必要な
製造業などにおいて、奴隷はむしろ邪魔と考えるところもある。
そのおかげで、農奴を利用しているアメリカ南部とは、仲が悪くなる。
州とはいいつつ、日本の藩と同じようなもの。そのため、州が手を組んで対抗することができるのだ。
最後にアメリカ南部。
リンカーン大統領の発言力が高くない理由は、こちらにある。
基本的にアメリカ北部は、内需で頑張っていて安定している。
しかしアメリカ南部は、今は不安定だが華北複合企業と大口契約を交わして、薄利多売だがそれでも大きな利益を得ていた。
毎日収支が上向きで、空前の大景気にアメリカ南部は沸いたんだ。
そのためずっと横ばいなアメリカ北部は、金とは権力の指標というようにアメリカの主導権は大統領ではなく
党内にいるアメリカ南部出身の議員の思惑が強く表れることになる。
そうなると面白くないアメリカ北部。今のうちに動けばいいが、その戦力も整っていない。
整える前には、自分たちよりも強くなっていて、貿易相手からの派兵もあり得るため、
うかつに攻撃できない。
すこしでも刺激でも与えようなら、華北複合企業らが操る海の魔物により舟がことごとく沈むことになるだろう。
1857年に起こった恐慌から、徐々に立て直しつつある中で自殺行為に走るバカはさすがにこの場にいなかった。
だが活動するものは、すくなからずいるようだ。
アメリカ北部が恐れるということは、軒並み先進国では華北複合企業らの戦力というかアグレッシブさに
驚愕と畏敬の念があるということを示しているはず。
だから今後も、冊封体制の動きは明白にしていこうと思う。
サウジアラビア。サウード家が、オスマン帝国と急接近。
軍事同盟を結んで、日英合同石油会社に戦争を仕掛けてくるのかと思った。
しかし、オマーンやマスカットを取り込み、アラビア半島を掌握した彼らは相互不可侵を結んだ。
彼らが向かうのは、イランやアフガニスタンというなんとかスタン国家への侵攻だった。
監査委員に含まれるスパイやスマホの情報によると、ユダヤ民族がヨーロッパから
異宗教の坩堝である帝国に逃げ込んできたというもの。
ヨーロッパではユダヤ排斥が発生しており、彼らに入国されては戦争狂のやつらに目を付けられる!
なんておもったであろうサウード王は、多宗教異民族を公平に公正にする法整備・改革に日夜追われている
オスマン帝国と相互不可侵とともに国境民族移動禁止法令を敷く。
そしてヨーロッパの異文化・異民族排斥運動に中てられ、同じイスラム教圏国を吸収・合併・保護といった名目で、
侵攻作戦に出た。
ちなみにこの侵攻作戦により、英国領インドを含んだユーラシア大陸横断鉄道の計画は、一時凍結になる。
フランス。この国がスエズ運河日埃英共同会社に難癖をつけてきた。
最近ニトログリセリンでできたダイナマイトによる爆破テロが起きている。
その主犯がドイツのプロテスタントの過激派の息がかかっているフランスであることは、すでに証拠があがっている。
テロはこの事業に関係している資材業者が関係している。
ドイツから採れる品質の良い石炭が運ばれてくるのだが、その輸送代だったり給料関係にケチをつけてくるのだ。
資本主義と工業化真っただ中のドイツは、給料関係にうるさく、経済が低迷しているエジプトはそんなに払えない。
そこでスエズ運河日埃英共同会社が親元なので払うのだが、その使っている金がユダヤのものである、と言ってくる。
スエズ運河日埃英共同会社ができる過程は、たしかにユダヤがいるオスマン帝国の南にある日英合同石油会社だ。
だからといってお金をそっくりそのまま持ってくるわけがないだろう。
と身の潔白をしているが、アメリカに対する威圧としてフランスに圧力をかけているのは事実。
日英合同石油会社がユダヤと共謀して、フランスの拡張主義者が増えるように賄賂を渡している。
実はフランスはアメリカの事業拡大や東アジアにおける影響力の増大に、結構な危機感を覚えている。
今のフランスのように、直接貿易をしているわけではないがアメリカの不平等条約がある。
そのため資金が流れている。
この資金の流れは、最近の日本市場の拡大により日本圓を購入されまくっている背景がある。
大判は金でできている。そのため直接塊に戻して、母国に持って帰り売るなんてことをしていた。
これに関しては、オランダ・アメリカ・スペインが関与。
英仏はもちろん経済的冊封体制国家は、そんな信用を失うことはほとんどしない。
そんなわけで、俺は宇宙開発研究所を使って、南アフリカから出土する貴金属やダイアモンドを抑えた。
フランスは二次的被害を受けるが、一番ダメージを受けたのは阿蘭陀。
ちなみにスペインは、南米鉱脈会社を使ってスペインの植民地にある鉱石・石炭を優先的に買い取って、
物価の上昇で首を絞めることにした。
で、オランダは植民地の維持に割を食っていながら維持できているのは、ダイアモンドを磨きそれを売っているから
と考えられる。他にも理由はあるんだろうが、フランスの植民地などから掘り起こされた原石を格安で買いとり、
阿蘭陀が磨いたきれいなカットダイアを高額で売り払っている。
もしもこの原産地をフランスの協力やわが企業が抑えればどうなるだろうか?
さらにダイナマイトで、堰を壊せばどうなるだろうか?
ま、未曽有の大混乱だわな。
そこに華北複合企業をけしかけることで、欧州における情報収集が可能な支部の建設をした。
また賃金は統一されているので、水浸シティになったオランダにおいて随一の資金源になった。
そして華北複合企業から、教育という名の洗脳をすることでオランダにも資本主義があふれることになる。
え、土地がないって?しずんでいるけど、土嚢で土地を囲って水抜きをして土で埋め立てて、
その上に建築すればいいじゃないか。
地震が少ないから、最低限の免振機能で簡単建築。
そんなわけでオランダで優位を確立するのとともに、オランダは極度の政治不信になる。
だってオランダは今までの売れている事業しか活性化させていないもの。
おかげで技術革新も更新も、最低限でしかされていないため華北複合企業の簡単な施術で容易に有利になった。
それにオランダにある粗悪品乱造工場も、華北複合企業の高品質でレーン製造により作られた製品に駆逐されていった。
結果的にオランダは、共産主義・君主主義・民主主義に分かれることになり君主の影響力が低下することになる。
嗚呼、アメリカのことだったか。
ユダヤが直接関与するとまずいので、政治的関与とか政治的接近が可能になった華北複合企業阿蘭陀支部から、
フランスへ貿易に関することで接触を図った。
フランスの首相は、ナポレオン三世。
結構穏やかな政治をしている。まあ、初代が欧州に恐怖を植え付けたからなあ。
そんなわけでおとなしいフランスの尻に、火をつけて領土拡張をするようにけしかける。
彼らが介入しようとしたのは、アメリカ。
もともと南アメリカに領土を持っているが、そこの業績が悪いのでアメリカの経済の恩恵を受けやすいメキシコに進軍
し経済圏に組み込みたい。そんなわけで拡張主義は、メリットを話したうえで外務省がアメリカが派閥分断が起こっていることを伝える。
これによりナポレオン三世は、重い腰を上げて戦争準備に入る。
また今回の上陸地点はメキシコ東部だが、華北複合企業がアメリカ大陸に介入していることを知り、
なるべく西部のカリフォルニアに接触しないように南部の方に上陸することになった。
拡張主義は憤るが、スエズ運河の経営権や建設権がとれなかったので、中央アメリカという東西に細い場所に、
運河が作れないかと下調べのための上陸、という風に納得させて見せた。
さて、これにより経済重視軍事軽視だったフランスは、軍事に手を入れテコ入れ重視していく。
そしてここに経済的鴨ができたので、さっそく戦争経済に移行される。
こうなると戦争特需ができる。
この特需のため、スペインという斜陽の王国・イングランド、スコットランド、ウェールズ及びアイルランド連合王国が、
参戦。
またこの支払に日英合同石油会社とユダヤが共謀。
華北複合企業や四国造船所が、オランダから衣服や缶詰・四国や華北軍閥から輸送船・輸送艦の貿易を行うことになる。
そして今回の戦争は、メキシコを陥れ新たな経済拠点として手に入れられるものになるので、
スペインとイギリスはフランスと経済協定国として軍事同盟の陣営を組むことになる。
彼らの思惑としては、新たな運河建設に一枚かませてもらうためだろう。
だがそううまくいくかな?
華北複合企業阿蘭陀支部861
1862年。
藩が幕府による貿易利益の独占に、東洋の革新派・守旧派・攘夷派とともに王政復古を掲げた革新論を展開し、
綿密な計画を図っていることが分かった。
そこで家茂さんからの相談という名の登城許可書状を貰い、徳川家茂さんとわきゅう[かずのみや]さんの婚儀祝いとして、
野菜でつくった甘いケーキを作って持っていくことにした。
護衛やその他への根回しは、製糸工場に関する相談とか直談判で通した。
で、気の強いわきゅうさんの愚痴や家茂さんから聞く、参勤交代みたいな婚儀の内容を聞かされた。
やはり暗殺者や刺客が多かったんだそうな。
ちなみにこの暗殺者や刺客は、攘夷派のもの。
もちろん公武体制派の護衛によって、大事には至っていない模様。
また攘夷派は、外国から流れてきた資本主義により、国が大きく変化することを喜んでいる。
しかし貿易利益の独占に腹立てているのか、天皇に権力を集中させて政治の主導権を手に入れたい思惑がある。
いろいろと愚痴を聞いた後、俺は家茂に金利経済をするようにいう。
基本的に公武合体を進める幕府や華族が、民や藩に金を貸してやりその恩義を
忠誠を奉公として返してもらうこと。
高利貸しや個人間でのお金の貸し借りは、完全な違法になる。
上記のように、隙間を利用とする悪徳業者は、発生する前に叩き潰すことになった。
また利益搾取ではなく、総売り上げからの取り立てや利息取り立てで、納税してもらうことにした。
藩の影響力は増大したが、膨大な御恩によりクーデターへの意欲を別方向にむけさせた。
ちなみにこの政策で、外国……主に英国の影響を受け、英国の狭軌を採用したりフランスの建造技術を、
少しばかり真似させてもらうことになる。
そして不平等条約もなくなったので、経済的冊封体制による外需と内需で工業化にむけて邁進していくことになる。
世界的な農奴解放が行われている中、一番の目玉であるロシアの農奴解放。
土地を開放するといいながら、実際は金を多く持っている地主が集まった団体により土地を貸された小作人が
貸された土地で農作物をつくるという、以前とまったく同じことが繰り返されるようになった。
ただ、上が変わっただけだ。
しかしこの出来事は、ある意味勢力拡大の機会でもある。
実はというと、この時期程にはすでに反帝国主義の人々が、クリミア戦争から帰ってきた将兵により蹴散らされているのだ。
しかしこの世界においてのロシア帝国は、傭兵によって意外な損傷と土地の奪回をされている。
これによりクリミア戦争後のロシアの軍事事情が、結構悲惨なことになっている。
おかげで反乱分子を追い出せず、さらに奥地まで進撃されたが故の国土回復もしなければならない。
そのために必要な金銭が、賠償金で全く足りていないのだ。
結局農奴解放により、国土を農民どもにうっぱらった。
しかし結局税は取るし、上が変わっただけでさらに多重に搾り取られるようになっただけ。
さすがにこのような惨状では、底辺階級の農民は国外脱出したくなるだろう。
すでに韓国・樺太・モンゴル・中国に、その移民が押し寄せていた。
ただ満州国境は厳しく統制されているので、モンゴル側から侵入してきている。
そしてモンゴルを超えた先は、華北複合企業の敷地だ。
企業は彼らの事情を受けたうえで、彼らを使って逆侵攻をかけることにした。
そう、彼ら農民をロシア開拓民として金を融通させ、ロシアの農地を購入・開墾させた。
華北複合企業はシベリアトラップ含む、中央から東にかけた広大なツンドラ・凍結地帯。
李氏朝鮮は将来トランスアムールとなるウラジオストック周辺。
動けない日本幕府に代わって、城郭保全会社が樺太を。
これらの場所を逃げ出してきたロシア農奴・帝国が嫌いな地元民、実質的な支配をするための役人を連れて、
開墾・開拓をしていく。
納税とかは企業努力でちょろまかすことで、なんとか少な目に見積もらせ、本当の取り分は本拠地に送るのだ。
ただそれだといろいろ訝しく思われるので、華北複合企業を通じて俺自身がアラスカを購入することにした。
幸いほとんど人がいない。
そこで今まで作り上げた会社を招致することで、この空いた土地を有効活用してくれるように頼む。
最後に高知県の情報から行こうか。
製糸工場の成功で、ある一定の発言権や評定[ひょうじょう]への参加許可がある。
俺は毎月それに参加し、いろいろと話を聞いているが今回は少々事情が違うようだ。
徳川幕府の重鎮は、家茂からもたらされた金利経済などの案件に関して好意的に受け止めているが、
いろいろ改革が必要で浮足立っている状態。
基本が整っていないので、うかつに金利政策と言って金を貸してはいけないと促してる。
しかし数か月経過した今、それが軌道に乗り始めた。
結果。
それによる新たな企業の起業や様々な種別の職業が乱立していき、ひとが集まり外からの情報を得やすい港町に
人が集まるようになる。
これにより急速な人口の一極集中が伴い、日本全国の藩は急遽戦略的都市計画を練り直さなければならない事態に
陥ってしまう。
地方からのストロー現象が発生している中、鉄道が史実の現代日本並に整っている今の明治前四国において、
ドーナツ現象も表れている。
そこでどうやって都市を安定化させるか。
どこかの埼玉のように、ニュータウン化させられる基盤や土地・技術があればドーナツ現象に耐えられた。
しかしそんな土地なんてどこにもない。
灌漑などで湿地などが、住宅地区になっているためそんな場所なんて全くない。
まだ一部の湿地だったり沼地が残っているが、サバイバル技能や今の便利を追求する中不便の中の輝きを
残すための政策なので、迂闊に取り壊すことができない。
そもそもそのための財源を確保できていない。
地方藩から土佐藩に集まった有力者は、藩主や城郭保全会社・四国鉄道・造船所の方々に今後についてどうするかを
聞くことになる。
藩主らの報告でいうと、やはり道が混雑して効率が悪すぎるようだ。
そこで俺がスマホから取り入れた情報で、ローマ市街のように再整備し、津波や海側への監視ができる
半月状の城壁を作るように提案してみる。
この城壁の材料は、城郭保全会社が公にしていない情報を口走った。
おかげで訝しまれるが、城郭保全会社が日本の領土だと主張するように北方領土や樺太に、
日本の城郭や五稜郭がつくられていることは既知である。
そもそも指示したのは俺なんだけれど。
そこで北の知人による情報とか言ってごまかし、極寒の環境と厳しい潮風に耐えられる材料で作ればいいと申し出る。
結局この案は、土佐ではなくもう少し西にある場所で試験的に導入されることになった。
ちなみに幕府から日本造船所や鉄道に関する知見は、藩主が自ら口走らず他の藩主の口止めもしているので、
目先にとどまることはない。
ただこの動きで、討幕派として四国勢が勘違いされ、薩摩・長州藩から勧誘されることになる。
土佐藩としては改革中の事業が、討幕により行われる改革で白紙にされる可能性が高まるので
ほとんどが支持していない。そもそもそんなところじゃなく、日々増加する人の転籍書類や事故に関する法案整備に追われ、
行動に移せないほぼ全国の藩だった。
―家茂さんの愚痴と佐吉の応対―
「幕府の言うこと聞いてくれない。どうしたらいい?」
「まず幕府を取り壊して、天皇にすべての権力を集中。それとともに、天皇の再教育を行わせ暗愚にしないようにさせます」
「え、幕府じゃ無理?」
「無理ですね」
「そんな殺生な!」
「世界で帝国主義・君主主義が跋扈してます。ここはもう、天皇を現人神として祭り上げ軍事関係の最高権力者にして、
他の政略は首相という家茂将軍のような方がやればいいですね。ここはドイツかポーランドみてりゃわかります」
「世界は広いのだな」
「はい。では、暗い話はあとにして、グリーンケーキ食べましょう。あと、アリナミンVあげますので、毎日飲んで
いてくださいね」
「うむ!これ和宮、共に食べよう!」
「はい、家茂さま」