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パラドクスは終わらない  作者: 霧蒼はると(ヤマハ)
第一章 清廉なる世界
8/8

第七話 白昼夢

 …背中が痛いような、気持ちいいような……。


 --------白い。



 ザワザワと喧騒が聞こえる。

 校庭が、あった。

 校舎が、あった。

 人が、いた。

 おかしなものは何もない、はずだった。


 なぜならこの景色に見覚えはない。

 通っていた高校でもなく、知っているほかの学校でもないらしい。

 あまりに白い。


 他にもおかしな点はある。

 老若男女問わずこの場にいて、制服ではなく私服ということ。

 気温がよくわからないこと。


 まさかこれが異世界だとでもいうのか神よ。

 そんなはずはない。

 いくらなんでもおかしいだろう。


 ------ならばこれは……



 突如後ろで爆風が起こった。唸るような声を上げて、火をチラつかせてそいつは人を飲み込んでいった。


 隣の友人が焼かれた。

 誰かが早く逃げろと叫んだ。


 大勢が校舎へ逃げ込んだ。


 叫んだやつがどうなったかはわからないが、校舎の窓から見えた景色は炎だけだった。

 何かに憎悪してるような、強い怒りを感じた。


 しかし火は校舎にはいってこなかった。


 代わりだとでもいうのか、白い女がすうっと校舎に入ってきた。


 校舎には隙間もないほど、人で埋め尽くされていたが、女が入った瞬間にやたら余裕が出てきた。


 左を見てみれば誰もいなかった。

 さっきまでたくさんの人がいたはずなのにだ。


 白い女が近づいてくる。

 ひたひたと。


 そこで俺は気づいたんだ。

 逃げなければ、隠れなければと。


 残った人に声をかけながら教室にこもった。

 鍵をかけて、ひっそりと息を殺して。



 けれど通用しなかった。

 鍵は容易く開けられ、次々に人が消えていった。


 次の瞬間には俺は別の教室に隠れていた。

 どうやったのかは自分でもわからないが、今考えるべきではないだろう。


 ガラガラとまた戸を開けられた。

 俺の他に隠れているのは2、3人といったところか。

 俺の察するところ、他の全員は消えたと感じた。


 そして女は俺が隠れているホワイトボードの前に来ると初めて言葉を発した。


「ねえ、それで隠れているとでも思っているの?」




 気づいた。

 あと少しで戻れなかったかもしれなかった。








 これは、()()()()()()()()だ。


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