第七話 白昼夢
…背中が痛いような、気持ちいいような……。
--------白い。
ザワザワと喧騒が聞こえる。
校庭が、あった。
校舎が、あった。
人が、いた。
おかしなものは何もない、はずだった。
なぜならこの景色に見覚えはない。
通っていた高校でもなく、知っているほかの学校でもないらしい。
あまりに白い。
他にもおかしな点はある。
老若男女問わずこの場にいて、制服ではなく私服ということ。
気温がよくわからないこと。
まさかこれが異世界だとでもいうのか神よ。
そんなはずはない。
いくらなんでもおかしいだろう。
------ならばこれは……
突如後ろで爆風が起こった。唸るような声を上げて、火をチラつかせてそいつは人を飲み込んでいった。
隣の友人が焼かれた。
誰かが早く逃げろと叫んだ。
大勢が校舎へ逃げ込んだ。
叫んだやつがどうなったかはわからないが、校舎の窓から見えた景色は炎だけだった。
何かに憎悪してるような、強い怒りを感じた。
しかし火は校舎にはいってこなかった。
代わりだとでもいうのか、白い女がすうっと校舎に入ってきた。
校舎には隙間もないほど、人で埋め尽くされていたが、女が入った瞬間にやたら余裕が出てきた。
左を見てみれば誰もいなかった。
さっきまでたくさんの人がいたはずなのにだ。
白い女が近づいてくる。
ひたひたと。
そこで俺は気づいたんだ。
逃げなければ、隠れなければと。
残った人に声をかけながら教室にこもった。
鍵をかけて、ひっそりと息を殺して。
けれど通用しなかった。
鍵は容易く開けられ、次々に人が消えていった。
次の瞬間には俺は別の教室に隠れていた。
どうやったのかは自分でもわからないが、今考えるべきではないだろう。
ガラガラとまた戸を開けられた。
俺の他に隠れているのは2、3人といったところか。
俺の察するところ、他の全員は消えたと感じた。
そして女は俺が隠れているホワイトボードの前に来ると初めて言葉を発した。
「ねえ、それで隠れているとでも思っているの?」
気づいた。
あと少しで戻れなかったかもしれなかった。
これは、得体の知れない夢だ。