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パラドクスは終わらない  作者: 霧蒼はると(ヤマハ)
序章 予知
2/8

第一話 思考

  カーテンから零れる光が眩しい。

  まだ眠いがこうも眩しいと2度寝することもできない。

  もう朝か、学校行きたくない…。

 きっと世の誰しもがそう思うのだろう。

 受験に受かってから、勉強が終わるのだと楽しみに入学した高校はとんでもない進学校で、毎日勉強漬けのようなものだ

 とは言っても成績が落ちるのは嫌なので行かなくてはならない。

 嫌々ながらメガネをかけてベッドから降り、制服を着る。

 メガネと顔を洗って、飯食って歯磨き。そして学校…。こんな毎日が続く。

 学校行って、部活やって帰ってきたら飯食って、風呂に入ってゲームして寝るだけ。普通すぎてつまらないんだ。

 こんな日が毎日続いて、とても成長できるとは思えない。

 などと考えているうちに俺はこの生活が憂鬱になった。

 清々しい朝の中、こんなことを考えて歩いている高校生は俺ぐらいだろうと思う。

 


  駅までの道を何となく歩いているとふと、思った。

  人はなんのために生きているのだろうかと。

  俺は夢だと思う。目標。目的。そういったもののために人は頑張って生きるのだろう。



  しかし、それと同時に疑問も抱く。

  俺には夢がある。が、生きているうちに叶えられるものとは思わない。つまり今の俺はなんとなく生きているだけってことだ。もちろん楽しいことが何もないわけじゃない。ただ、それは俺に意味のあることではないだけだ。


 ―――だから俺は、今死んでしまっても構わないと思っている―――


 仮に死んだら親も友達も悲しむだろう。

 だが、関係ないのだ。

 俺の夢にとってそんなことはどうだっていい。

 感情論でどうにかなるものでもないしな。


 そんな俺だからこそ、人の叶えられる範囲での夢を抱くことを羨ましいと思う。

 でもそれを面に出せば必ず学校生活では格好の的になる。俺の学校ではいじめこそないものの、噂話やちょっかいくらいは起こる。俺は目立ちたくないから、そのために学んだ。



 ―――人の前で感情を表に出さない、人の前ではそれっぽく反応しておく、敵はつくらないが味方もつくらない―――



 こうして俺は多くの人格をつくり、多重人格みたいになった。もちろん人によって態度を変えすぎれば必ず誰かの敵になってしまうので、人に接するときはそのつくった人格を薄めた感じで対応する。そうすれば人格の原形はどれも同じだから大して差別的なところは見られなくなる。

 だが、あまりにも濃い人格をつくりあげたせいか、俺は時々どの俺なのかわからなくなる。

 今こうして心の中で話しているのはそのなかの一つにすぎない。

 賢者系の人格だ。…まあ、誰かにこういうことを考えているのがバレたりしたら恥ずかしいなんものじゃないけどな。

 まあこんな感じで人格を多くつくったせいであんな夢を持ってしまったのかもしれない。




 ――――神になりたいという夢を――――










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