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赤月竜戦記  作者: いかや☆きいろ
英雄の誕生
20/21

王都での休日

 第一章、終わりです。

 激しい戦いを終えて王都へと帰る。疲れた。

 あれだけ動いたのに集中していたからか、全く酔わなかったし、ドレスも気にならなかった。

 あそこまで激しい戦いなら仕方がないか。ご飯食べてお風呂に入ったら寝よう。


 そう思いながら王都に入ったら、大歓声で迎えられた。……どうやらビジョンと言う魔法の機械で私たちの戦いが全て見られていたらしい。敵に弱点とか見付かりそう。


 でも大歓声である。男も女も老いも若きも大歓声である。


「英雄だーっ!」


「リンネさまーっ!」


「凄かったぞーっ!」


「格好良かったーっ!」


 照れる。


「リンネーッ! 俺だーッ! 結婚してくれー!」


 誰だ。知らん。「誰だテンプレ!」とかアリスが言ってるが知らん。


 そんな感じで大騒ぎで、フィオから降りて三人で城に入ったらまた貴族さんたちも大騒ぎ。


「是非爵位を!」


「うちの子と見合いでも!」


「すげー格好良かったっす!」


「隼のようでござったな、ニンニン!」


 うわー。凄い勢いだ。後ろから帰ってきたエスト様が見合いとか言った人を睨んでくれた。アリスがニンニン言ってる人に「ハイクを詠め、カイシャクしてやる!」とか言ってるがやはり意味は分からない。


「ただいま帰りました」


「ウオオオオッ!!」


「うわ、ビックリした」


 会場に入りパール様に挨拶したつもりだったが、そこにいた人皆が叫んだり拍手したり褒め称えてくれたりした。


 照れる。もう一年分くらい照れた。エスト様が道を開けてくれて女王様の所まで行けた。このために早く帰ってきてくれたようで、有り難い。


「お疲れ様。凄かったぞ! 実に良く戦ったな!」


「有り難う御座います」


「皆、彼女に騎士の称号を送ろうと思うが異存は無いな?!」


 パール様がそう叫ぶと、また会場が割れるような歓声が上がった。どうやら私は一日で王都中の有名人になったらしい。騎士の称号までもらえるそうだ。フィオが反り返りすぎて後ろにコケた。


 今日は疲れたのでご飯を頂いたら退かせてもらうことにした。皆分かっているのか長く話しかけたりはしてこなかったがテーブルを回るとそのたびに拍手された。もうこれ以上照れたら脳の血管が切れそうだ。顔が熱い。


 寮に帰っても、帰り道から人に囲まれ、寮の中でも拍手喝采。ニコニコとして手を振ったが疲れた。アリスやフィオまで疲れきっていた。

 ドレスを脱いでお風呂で化粧を落として、ヘロヘロになってベッドに突っ込んだ。


 明日はお休みをもらえるらしいので王都巡りしたかったが、う、うーん。ヤバそう?

 一週間くらい休んで寮で寝ていたい。


 で、結局一週間は学園と寮の往復だけした。いつも褒められたがるフィオさえも顔が青くなっていた。


「もう十年分くらい褒められたのだ……」


「うん、疲れた」


「いやー、ビジョンなんて物ができてもうアイドル扱いだねー。なんかビジョン局から出演依頼が殺到してるらしいよ」


「怖い」


「二つ三つ出れば良いのに。番組表見たら機竜演舞とかあったよ」


「……ちょっと見たい」


「少し落ち着いてからの方が良かろう……」


「フィオは出たいんだねぇ」


「……まあ、少しなら」


「おやおや、リンネも興味あるの?」


 まあ少し(ほとぼ)りが冷めてからだろうけどね。疲れてるし。

 それでようやくお休みになったので今日は出掛けることにした。なんとあのレイラ様が誘ってくれたのだ。


「お、王都見物なら私は詳しいですわよ! つ、連れてってあげてもよろしくてよっ!」


「これは良いツンデレ」


「行く……けど貴族様への礼儀とか分からない」


「と、特別に貴女はそのままでよろしいわ!」


 とかいうやり取りがあった。何故かアリスが鼻血を出してて怖かった。


 今日のメンバーは、エスト様、レイラ様、カゼト様、メルさん、そしてあまり面識はないが同じクラスで機竜騎士団長の次男のレオン様。錚々(そうそう)たる顔ぶれだ。


 ちなみにシャインは何やら仕事(アルバイト)があるらしく誘ったが来なかった。「やはり社畜か……」と、アリスが同情して泣いていた。好きなのかな?


 八人で歩くとさすがに目立つ。しかし逆に声を掛けてくる人は多くても話し掛けてくる人はあまりいなかった。


 いつも串焼きをくれていたおじさんもやはりこの人数だと赤字なのだろう。声はかけてくれたけど串焼きは無かった。


 王子様とか公爵家の人とか貴族ばかりだけど、どうやらニンジャとか言う護衛が付いているので誘拐とか襲撃はあり得ないらしい。何故かアリスがソワソワしていた。「アンブッシュは一度まで許されるからね」とかいって警戒している。やはり意味は分からない。勇者だから負けないと思うけど気を付けてね。


 レイラさんにレストランに連れてこられた。私が大食いなのは学園中に知られているのでお店の人には店が傾くくらい食べる人を連れていくと言ってあるらしい。相手がどこまで信じてるかは分からないけどね。


 お店はとても高級そうな綺麗な所で、私たちは正装でもないのに快く迎えられた。個室だから大丈夫らしい。


 席に着くとすぐにサラダから肉料理、魚料理、その他色々お皿を目の前に並べられて、夢が一つ叶ったような気がした。レイラ様に作法を教わりながら楽しく食べた。


 十分満足するだけ食べられたのでお金を払おうとしたらレイラさんが既に払っていたらしい。最初は絡まれたけどめっちゃいい人だった。五キロくらい食べたのに。……フィオも。でもむしろ食べれば食べただけ喜ばれたけど。何故だろう?


 その後も皆で色々見て回って本を買ったり服を買ったり家具屋さんや花屋さんを見て回ったが、あちこちでお礼を言われたりおまけをしてもらったりして、本当に楽しい王都の休日を過ごしたのだった。


 ちなみにフィオに張り合って食べてたカゼト様が最後まで青い顔をしていた。かなり食べてたしね。






 ついにリンネは英雄になりました。


 ビジョンは千里眼システムにより、固定カメラをわざわざ置かなくても撮影ができます。覗き防止の簡易結界で妨害も可能です。盗撮とかするとあっさり魔法で追跡されて捕まります。千里眼システムが適用されていない場所は見えません。機竜の内部、外観は千里眼システムにより見えます。編集してアップにしたりもできます。データ形式としてはアナログに近いです。

 機竜の見たものは全て見えますがそれも妨害が利くので敵の視点から見ることは難しいです。


 明日閑話を一話。ついにレイラがデレたその背景です。ちなみにこの時点でシャインもデレ始めていますが描写は有りません。誰得。




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