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その3 この幽霊さん?めんどくさい…


 深夜三時の真夜中の公園で柳の木の下で出会った所謂、幽霊もどき?と俺は対峙していた。


「いや、見た目は完全に幽霊ですよね?」


 長い黒髪で顔を隠して頭には三角の布を着けて、白装束……服装は明らかに割烹着だな…まぁ、いいや。しかも足や身体が透けてる時点で、はい幽霊確定だろ?日本の由緒正しき幽霊の姿にしか見えません。


 けれど、自称幽霊じゃない幽霊さんは俺の質問にご立腹らしく胸元で腕を組んで頬を膨らませている。


「だ・か・らぁ!わたしは幽霊なんかじゃありませんってば!この姿を見れば分かるでしょ!」


 いや…見た目は完全に幽霊ですから。困惑する俺に幽霊さん(仮名)はぐいっと顔を近づけてくる。


 長い前髪を掻き上げながら大きな瞳で俺の顔をまっすぐに見つめてくる……あれっ?


 前髪あげると意外と…可愛いな。


 少し青白くて不健康そうな肌の色を除けば、かなり整った顔立ちでクリクリとした大きな瞳と長い睫毛、ふっくらとした紅い唇。うん、かなり好みの顔だ。


 幽霊に欲情するなよって?


 ばかやろう!社畜はな…社畜には自由な時間なんてないんだよ!ましてや恋愛する時間があるなら寝るわ!一日中、寝て過ごすわ!


 自分で言っておいて虚しい…。


 あっ、すいません…取り乱しました。

 

 とりあえず、目の前の幽霊さん(仮名)を何とかしないと…ってか俺ってばこんな深夜になにやってんだろ。


「えっと、幽霊じゃなければ…なんなの?」


 ぐいぐいと来る幽霊さん(仮名)から後退りしながら距離を開ける。だってヘタレですから。


「わたしは幽霊なんかじゃありません!」


 それはさっきも聞きました。


「じゃあ……地縛霊「それも違います!」ですよね」


 まぁ、違いますよね。


「じゃあ、幽霊のコスプレ「そんな奇異な人、見たことないです!」だとしたら…」


 そんな人がこんな深夜に一人で居たら、それはそれで面白いと思います。


「えっと、公園を不法占拠している方?「それはホームレスですよ!」いや、それは」


 かなり失礼だぞ?ホームレスだって公園だけにいるわけじゃないし結構、謙虚だぞ?あの人達は。


 それは良いとして。


 いや、普通に話してる俺が言うのもなんだけどさ。この幽霊さん(仮名)って意外とノリが良いよね。


 なんだか楽しくなってきたぞ。


 あれだ、疲れすぎてハイになってる状態だ。


 なんだか楽しいねぇ。この人も間髪いれずに突っ込んでくれるし何か弄り甲斐があるって言うか。


 ただね、そろそろお暇したい。だってさ。何だかんだで、もう深夜三時なんですよ?分かる?四十前のおっちゃんには完徹はキツいんですよ…はぁ、年はとりたくない。


 そんなわけで核心を聞きましょうかね。


「…じゃあ、なんなの?」


「わたしは、わたしはですね---ふふふっ」


 あっ、いきなり笑いだしたよ?あぁ…そうか、この人もハイになってんだ。


「わたしは神様です!」


 髪を掻きあげて胸をそらしながら自信満々な表情でどや顔で言いきる幽霊さん(仮名)の姿に…。


「うん…あぁ、神様ね。あぁ、そう神様ねぇ…」


 言うに事欠いて神様ですかぁ。ふぅ~ん、神様ですかぁ……えっとぉ、誰が?


 目の前の幽霊さん(仮名)もとい自称神様をジト目で見つめてみる。うん、ないな…神様はないわぁ。


 まぁ、とりあえず聞いてみるか。


「っで、何の神様?ですか…」


 睨まれたので敬語で質問する。


「柳の神様--」


 声が小さくて聞こえない。


「えっ?」


 どうやら、それがいけなかったらしい。


 自称神様は腕組みしながら頬を膨らませて視線をそらした。どうやら、怒っているみたいだな。


 うん、正直めんどくさい…帰ろうかな。


 けどね、自称神様はチラチラとこっちを見てる。


 これってあれだ。怒ってることに対して宥めてほしいと…いわゆる、かまってちゃんってやつだ。


「はぁ…っで、さっきは何て言ったんですか?」


 しょうがないだろ?関わっちゃったんだからさ。


 ええ、ええ、最後まで面倒は看ますよ。これでもいい年した社会人のおっさんですから。


 そんな心の愚痴を溢しながら自称神様を見やると構ってもらえたのが嬉しいのか腕を組んだまま振り返り胸を張って…って、この自称神様は胸を張るの好きだな。うんっで、また叫ぶんだろうね…自称神様は。


「だ・か・らぁ!柳の神様なの!」


 ほらね?あぁ、それは置いといて、えっ?柳の神様…あっ、そうですか。


 スッゴく限定的な神様なんですね--。


 俺は明日…いや、すでに今日だな。まともに仕事ができるんだろうか?俺の今日はどうなる-----。


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