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十二話 友達

かなり短いです。

「アンナ。友達出来た?」


アルハイトは問うた。


「え?できたわよ?」


「っ!?…嘘だっ!」


期待していた答えと違う。アンナの返答にアルハイトは大いに慄いた。


決闘騒ぎから数週間が過ぎた。アルハイト達は生徒達からイジメを受けることこそ無くなったが、恐れられ避けられ、遠巻きにされるようになった。アルハイトに至っては「鬼畜のアルハイト」などと影で呼ばれている。


ジイルを奴隷に落した一件は衝撃的でその噂は学園中どころか王都中にまで広がった。国中の噂となる日も近いだろう。


アルハイトやアンナに対して大っぴらに強く当たっていた者達は一様に顔を青ざめさせ、アルハイトの姿を見かける度にビクついている。報復を恐れているからだ。


そんななか友達などできるはずがない。


「嘘って…。そんな嘘吐いてどうするのよ。」


「ど、どうやって…。」


「頑張ってたくさん話しかけたのよ。嫌がる子もいたけど、仲良くしてくれるようになった子もいるわ。」


「そんな…、バカな…。」


何気ない問いかけだった。きっかけは些細なことだ。


えっちで下品な話がしたいなと思った。しかしそんな話をアンナにするわけにもいかない。嫌われてしまう。こんな時、男友達がいないと不便だ。そしてふと思ったのだ。アンナにも気を遣ってアルハイトに対してできない話があるのではないかと。だから聞いたのだ。友達はいるのかと…。


アルハイトは「友達なんてできないわよ。」「だよね。でも同性でないと話しづらいこととかあるよね。」「そうね。」「でもさ俺ら二人きりなんだし、少しずつそういう話も出来るようになりたいね。」と仲を深める予定だったのだ。


まさかアンナに友人が出来ていたとは思わなかった。青天の霹靂だ。アルハイトは思いの外ショックを受けていた。動揺していた。


「…バカな。」


「二度も繰り返さないでよ。アルも最近放送部の人達と仲良くしてるじゃない。」


アンナの言う通り、決闘騒動以来アルハイトと放送部にはつながりが出来た。大半の生徒達がアルハイトを恐れ、避ける中、放送部員達はアルハイトに笑顔を向けていた。


「いや、あの人達は違うんだよ。ビジネスライクというか…。なんか商品を品定めするような視線を向けられるんだよ。」


放送部員達はミネルバ共々決闘の賭博の胴元として大きな利益を得ていた。その上、ミネルバは個人の顔と名前を覚えることこそなかったが、放送部に価値を認めた様子だった。放送部はかのミネルバ・レイブンオウル導師との縁という無形の財産まで得たのだ。アルハイトに好意的になるのは必然といえる。アルハイトと相対する時、必ず揉み手でいやらしい笑みを浮かべてしまうくらい好意的なのだ。アルハイトが「これちょっと友達と違う。」と思うのも無理はない。


「とにかく友達じゃないと思うんだ。」


「そうなの?確かに悪徳領主とその子分が悪だくみしてるみたいだったし、あまり友達っぽくはなかったかもしれないわね。」


「あ、やっぱりそう見える?」


片一方が低姿勢で揉み手をしている上、内容はいつもお金の話だった。アルハイトもお金の話は嫌いではないためニヤついていた。外聞が良くないと思い、コソコソしていたのも悪かった。


「あの人達、俺の顔見る度にいい話はないか聞いてくるんだ。そんな話そうそうないってのにさ。」


「…。あ、あはは…。それよりさ、アルは友達が欲しいの?」


愛想笑いで誤魔化して、アンナは疑問を口にする。


「うーん。そうだね男友達とバカ話とかしてみたいかな。」


「友達作る為に何かしてるの?」


「いや?別に何も。」


「え、じゃあどうやって友達作るの?」


首を傾げるアンナにアルハイトはさも当然のような顔で宣った。


「俺、友達って作るものじゃなくて勝手になってるものだと思うんだ。無理に合わせて繕ってもそれって本当の友達とは言えないんじゃないかな。」


だから友達出来ないんだよ。


その言葉が喉まで出かかったが、アンナは賢明にも口には出さず呑み込んだ。


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