あの子達との会話と秘密
陸奥守さんの治療やその他が終わり、私は審神者部屋に戻ってきていた。事前に陸奥守さんには休むから好きに過ごしていて良いと伝えてある。まだ、他の刀剣を鍛刀しなければならないけれど、陸奥守さんはあれほどの大けがをした直後だ。明日に回すべきだろうし、何よりも「あの子達」が五月蠅い。と、くればさっさとすませるに限る。
葵「ねえ、みんな。ここに来る前に祓ったアレ、なんだったの?」
ロープ「それよりも、葵。よくもさっきは心配させてくれたよねぇ……」
トワレ「そーそー。しかも、符が少ない状態で高位の治癒術式使うし」
ユノー「何気に神気変換してたし」
イグニス「腕切るし」
コルク「付喪神といえど神と約束するし」
ディン「癒やすし」
ティア「しかも、さらっと話してたといえど正体バラしそうになるし」
ディーネ「血は使うし」
アンリ「キミ、ただの祓い屋じゃないんだよ?」
ノート「能力と諸事情のせいでやってるだけで」
クリア「本来、こういった事に手を出していい人じゃないんだよ?」
ゴング「そこんところ、分かってる?」
ライエン「分かってないんだろーけどさ」
ダルク「自覚持ってよ?」
千晶「一応かっこかりの月読みの娘さん?」
……そうなのである。一応、私こと葵は月読尊の娘だったりする。それがなんでかっこかりで、祓い屋なんぞをやっているかというと少し前に遡る。
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葵「あつい……。こんな日はネットでもしてよ……」
最近、私はのんびりとしている。正社員だったが、先輩にミスを押しつけられ上からそれとなーく辞めるよう言われてしまい、今は有給休暇を消費中なのだ。
ネットでは様々な配信をしているので中々に楽しめる。ふと、一つの配信が目に止まった。配信タイトルは「視聴者参加型ひとりおにごっこ」とある。
葵「ふーん。こういう事やる人、まだ居るんだ。止めて欲しいんだけどなぁ。こちら(・・・)側としては、さ」
私は、視る事は凶悪な奴しか出来ないけど祓ったり消し飛ばしたり出来る変な奴なのである。その上、式神(術者が力を使って作り出したり精霊だのなんだと契約することで使役できる)が何の因果か14人居たりする。幼い頃より傍に居るロープ、引っ越し先で仲良くなり契約したトワレ、雨が凄くてどうにかならんかと思って交渉しているうちに仲良くなったディン等々。五大元素プラス光と闇なので最低でも各属性に二人居る計算である。
ちなみに、各々の名前と属性は
風……ロープ、トワレ、ユノー
火……イグニス、コルク
水……ディン、ティア、ディーネ
土……アンリ、ノート
金……クリア、ゴング
光……ライエン
闇……ダルク、千晶
である。
千晶は友人から貰った式だ。中々可愛い子である。そんな各式達との出会いを思い返しながら一人鬼ごっこを見ていた。案の定、霊障が起き始め、助けを求め出す配信者。オカルト枠のためか、自称術者や本物の術者も動き出していた。
葵「はぁ……。やっぱ、ろくな事起こらないのに。これに懲りたらもう二度とこちら(・・・)側に手を出したり踏み入らないこと。いいね?」
他の術者が上手くいかない中、私は式達を画面の向こう側へと派遣して祓い、スマホの画面を消した。
この時、仲良くなった人の中に今の友人が居り、私の力の強さの秘密、神の娘であるのではないかということを教えて貰った。
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ロ「……い、葵!!聴いてる?僕たちキミにお説教してるんだよ??」
ト「聴いてないなんて、良い度胸だね?」
葵「あー、ごめんごめん」
イ「まあまあ、二人とも。一応葵は僕たちの主だからね。これくらいにしてさっきの妖モノについて話した方が良くないかい?」
ロ「う、ぐぬぬ……。それを言われると……」
ト「引き下がらざるを得ない、かぁ……」
イ「分かってくれて嬉しいよ。さて、風の皆の方が詳しいだろうから頼むよ。僕は火だし」
ユ「はいはーい、んじゃ私が説明するねー。さっきの妖モノはね。虐げられてきた刀剣男士の残滓なんだ。本人達はもう大本に戻るか消えるかしてる。けど、恨みや悲しみなんかは凝って彷徨っていたみたい。復讐もしたかっただろうしね。それで、巡り巡ってあそこに居たみたい。審神者を、力を得る前の審神者を殺すために。けど、うちの主には敵わないからさくっと祓われたんだけどね~」
葵「いちいちほめなくていいよ、ユノー。けど、情報ありがとう。これからはそういう残滓も相手にしないといけなさそうだね。はぁ……陸奥守さんには話せないな。皆、こっそり動いてね?じきに神刀や霊刀も来るかもだけど出来るなら秘密にしておきたいし。引き続き、情報収集お願いね。じゃ、解散」
式全員「はーい」
式達を情報収集に送り出して、やっと私は布団に入ることが出来たのだった。
葵「けど、刀剣男士の残滓か……。それほどまでにブラック本丸は多いって事なのかな……」
先行きに、不安を感じながら眠る私だった。