プロローグ
私は今、政府の玄関前にいる。何故ここにいるのかというと、数時間前に遡る。
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こ「こんにちは、審神者様!私、政府の式神でこんのすけと申します。今日は審神者様にお願いがあって参りました!」
葵「えーと?取り敢えず、祓えばいいの?妖怪?あ、式なら祓っちゃだめか。久しぶりにはっきりくっきり視えたもんだから、つい……」
こ「つい、で祓おうとしないでください!審神者様は守護霊が役に立たないくらいの霊力をお持ちなんですから……」
葵「あー、分かるんだ。ごめん」
こ「(この人大丈夫なんだろうか?)で、では本題です。審神者様、本丸に来て頂きたいのです。そこで、刀剣男士を統べる主になってもらえませんか?」
葵「刀剣男士?審神者?……ああ、今流行の。私はどんな本丸に行くの?それによっては考えないことも無いよ?」
こ「新しく出来た本丸です。引継ぎやブラックというわけではありません」
葵「OK。なら、詳細や雇用条件を聞こうか。ちょうど転職しようか考えてたし」
……という会話をこんのすけと名乗る式神と交わした私は、式神に連れられて政府の玄関前にいる。どうも、担当者が席を外してたらしい。その為、こんのすけが呼びに行き私は待ちぼうけを食らっているようだ。……せめて、玄関前では無くロビーや応接室のようなところで待ちぼうけを食らいたかった……。こんのすけ、恨むぞ。なんでジロジロ見られ無いといけないんだ。祓うぞ!神といえど式、この程度祓えずして……。
こ「お待たせしましたー!」
葵「遅い!なんで玄関前で晒し者にならにゃいかんのだ?」
こ「あ、すいませんでした!!!」
?「まあまあ、落ち着いて。こんのすけも悪気があったわけじゃ無いから」
葵「悪気があったら祓ってます。多分、こんのすけなら祓えるでしょうし」
?「ははは。さて、中に入ろうか。そこで僕の自己紹介や細々とした事を説明するから」
葵「分かりました」
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そうしてようやく私は政府の中に入る事が出来たのだった。
……やっぱり、こんのすけ祓おうかしら?
?「お願いだから、こんのすけを祓わないでね?これでも優秀な式なんだから」
葵「あれ?声には出してない筈なんですが?」
?「顔に出てたよ」
葵「あらら」
こ「審神者様、それほどこんのすけを祓いたいのですか!?」
葵「さて、そこは審神者のみぞ知るという事で」
こ「そんなぁぁぁ」
?「さ、応接室に着いたよ」
そんなこんなでのんびりとした会話(?)をしているとまだ名乗っていない男性に案内されるままに玄関を通り、応接室と思われる一室に通される。そこのテーブルの上には五振りの日本刀が置かれている。刀に目を奪われていると、男性に声をかけられる。
城「えー、ではまず始めに僕から自己紹介しようか。僕は審神者統括官の城田。よろしくね。統括官についてはその名の通り審神者を纏める者と思ってね」
こ「わたくしめは式神のこんのすけにございます。本丸にて審神者様方をサポートする者です」
葵「最後は私ですか。私は葵。そこら辺にいる禊師です。あ、ついでに言うと、視る事は凶悪な奴しか出来ないけど神降ろししたり祓ったり消し飛ばしたり出来る変な奴です。よろしくお願いします」
城「な、なな……」
こ「(゜Д゜)」
葵「あれ?二人とも私の事を知って声を掛けたんじゃ無いんですか?特にこんのすけ。君、霊力に関しては知ってる風だったよね?なにをぽかーんとしてるの?」
城「い、いえ。まさかの禊師だったとは。力を持つ人々が少なくなってきている中、神域の浄化が出来る人が審神者になって下さるのが驚きだったのです。まあ、詳しく調べなかったこちらの落ち度ですが」
こ「こんのすけを祓おうとなさったのも納得しました。ですが、お願いですから祓わないでくださいね」
葵「あー、うん。二人が動揺してるのはよく分かったから、さくさく話進めようか。どうせ、遡行軍相手には力使うんだしさ」
城、こ「「動揺させた貴方がいいますか!?」」
葵「あはは、ごめんね?」
城「もう嫌だ、この人」
こ「こんのすけは、いつか祓われてしまいそうです」
そんなこんなで自己紹介が終わり、遂に審神者業務の話をすることになった。