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木になる女  作者: のび太
8/10

病は木から

しばらくしてからの事

彼女に生理がきていないという話

そして、妊娠しているという話が

まこと仲のよい女性後輩筋から広がった


まこは未婚である




これを受けて、動揺したのは

幾人かの同僚の警官

加えて、近所の大学生もうわさを聞きつた



みな彼女に体調は大丈夫か、今度ゆっくり話したい

そうメッセージを送った




木になる女の妊娠

とりあえず、彼女は研究所の病院へいった


しかし、この話しはそんなに楽しいものではなかった



精密検査が必要です

癌の可能性がありますと言う



そして、検査を続けていく中で

徐々に重症であることが分かっていく


3カ月生きられない




研究所の会議は紛糾する


木として過ごしてもらうしかないと結論づけた

木でいる間は病状は進行しない



彼女の人としての時間は3カ月

家族、職場に説明をした

そして旅行をして、一カ月を費やした


死への恐怖はなかった

木でいる間に、治療方法も見つかるかもしれない

その考えが彼女を強く支えていた



まこは研究所に戻ってきた

そして、研究所の中庭に大きな樫の木ができた



昼間は、よく誰かがそばで木に向かって話かけた

近くにはテレビが置かれており

たまにチャンネルをかえる彼女を見た人がいる


本来の余命である2カ月は簡単に過ぎ、

1年、2年と時間は過ぎていった

テレビがつまらなくなり、空の天気と、遊びにくるリスが楽しみになっていった




次の日木はいなくなった


研究所の人には場所を変えると伝えていた





海の見える場所ですごしたり

樫の木がたくさん生える場所で過ごしたり


公園や駅の敷地で過ごす場合は、必ず一言ことわった


1年とどまったり10年とどまったり





神社で過ごした時の事だ

そこの神主は樫の木にしめ縄を巻いてくれた

参拝者が、樫の木に足を止めてくれるのはうれしいい

正体を知らずとも手を合わせて会釈をしてくれる



神社の周りでお祭りがあった

お酒を飲んで神輿を担ぐ

夜まで続く

その、様子を見ているだけで、木のまこは高揚してくる



男がしめ縄を巻いた樫の木の下で酔いつぶれるいた

夜中、まこは男の前に姿を現し、またがった


彼女は両手で男の顔をやさしく掴んだ


木が無くなっている事にも気づいた男は

木がないと言ったので

まこは気のせいだと答えた

そして、口づけをする




男が寝た後、本堂へ運んだ

まこは、また元の場所に戻った



次の日

落ちたしめ縄を見て、神主はまた新しいものに取り換えてくれた




神社は静かで鳥も小動物もいる

時折、人の営みも感じることができる

ここは、いい場所だと、まこは感じていた



しばらくして

本堂の少し奥にある大きな樫の木に参拝する人が増えた


まこの元にやって来て、手を合わせる

きゅうりやナスをお供えする人

かわった形の木の棒をお供えする人

終いには、派手なピンクのローターを供えられたため


まこは場所をかえることにした



不覚だ

まこはそう思った


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