おはよう、ごめん。そしてサヨウナラ
優しく静かなピアノサウンドを背景に思い浮かべて楽しんで頂ければと。
──なんだっけな……
もう忘れてしまった。
でもほら、見上げてみてよ。
晴れ渡った夜空がこんなにも綺麗でさ。
何時だったかな。
そんなこともあったよね。
──夜が明けたら君に伝えなくちゃ……
おはようっ、てね?
理由なんて必要ないし、はっきり言って分からないんだ。
それでも兎に角、君が好きなんだね。
──私は
初めて君と出会ったのは、何時だったかな?
君と言葉を交わしたのはどうだろ。
君を忘れられなくなった時は……
何時だったかな。
もう分からないや。
日記を開けばきっと思い出すのだろうけれど。
もうそれも叶わないんだね。
それでも、忘れていないコトだってあるんだよ?
晴れの日は、手を繋いで歩いたよね。
川原沿いの小道に吹く風が涼しくて、芝生で寝転がったっけ。
日が沈むのを二人で見たよね。
太陽にサヨナラをした時にさ。
冷えちゃうからっ、て掛けてくれたコートに残る君の温もりがね。
あったかくって、嬉しくって。
そしたら君は、恥ずかしそうにそっぽを向いてたよね。
雨の日には、二人で傘を並べたっけな。
たまに一緒の傘で歩いたよね。
そんな時は、いつもの道が、違って見えてさ。
なんだか不思議だった。
傘を持った不器用な君はさ、自分の肩を雨に濡らして、私の歩調に合わせてたね。
濡れても良いのにな。
一緒なら嬉しいもの。
そんな日もあったね。
私の大切な思い出。
それにほら、君をこんなにも想ってるコトだってさ。
忘れてないんだよ?
ごめんね?
君に謝りたいな。
ちゃんと言っておけば良かった。
君を愛しているよ。
何時までだって。
哀しくて、苦しくてさ。
その辛さに耐えられなくなったら、泣いて忘れるといい。
きっと熱く滴るその雫がね。
君を眠りに誘ってくれる。
でもね?──
私の分まで笑わなくていいの。
だから、私の分まで泣かなくていい。
君は、何も悪くないのだから。
やがて涙が乾いたら。
時間が現在を思い出にしてくれる。
何時もじゃなくていい。
私を思い出してくれたら嬉しいよ。
──だから……さ。
………そんな顔をしないでほしいな。
伸ばした手が君に届かないの。
叫んだ声が君にはもう……
君と手を繋ぐことも、優しく慰めることすらも………
そんなの、…イヤ………なのに……
──理由なんてない
君を忘れたくないな。
君との日々を………
ずっと永遠に、……
君に言えなかったな。
サヨナラ、───ってさ…
君の温もりを、
──感じたいな
──忘れたくないな
──君に 会いたいよ……
おはよう
ごめん
そして、───サヨウナラ
おやすみ……なさい……
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author:真宵夜々榊 より
同作者作品(小説);
『異世界より~このA.W.で栄光を~』