プロローグ5
さ、確認するべきことも確認したし。クモ達が作る糸を確認して、次に起こす行動について考えておかないとな……これからどう生きるのか、何を目標にするのかも明確にしないと。
さてと、思ってたよりも遥かにダンジョンはしっかりと防衛拠点として機能ししそうだ。
少なくとも素人相手には完璧に守れるだろうし、プロ相手でもクトーニアンが居れば何とかは成るだろう。ただ、一体のモンスターに依存するのはいけないから改善しないとな。
カサカサ...
クモ達が到着したか、ならば彼らから糸をもらって強度とかを色々と調べさせてもらおうかな?地球でもクモの糸は強度が高い物に数えられていたから、使い道は無数に存在する。
「お疲れ様、君達を呼んだ用件は実験だ。早速で悪いんだけど色々と実験に付き合ってもらう。」
「まず、最初に君達はどれだけ一度に糸を出せるかな?」
・・・・・・・・・
「さて、次は重さを―――」
・・・・
「こういうのは――」
・・・
成る程、成る程。大体わかった。まとめると
【強度】少なくとも一本で俺とクモが三匹ぶら下がれる位
【粘性】ある程度加減が出来て、サラサラからアロン〇ルファ以上まで出来る
【生成限界】無理をしないで1度に30m程
【色】白色か黄色
【触感】絹みたいに柔らかい
こんな所らしい。
しかし、強度だけは図るための手段を用意していなかったから限界は不明になってしまった。だが有用であることには違いないし貯めておくことにしよう。
「実験お疲れ様。君たちの糸はいろいろなことに使えそうだから、無理をしない範囲で作り続けて欲しい。貯めるところは後で指示をさせてもらうから、今回は居場所に帰って大丈夫。後、私が今着ているようなものを2つと大きめの布を作っておいてくれ。」
よし、これで取り合ずやることは終わったしこれからを考えるか。
まずどう動くべきか、か。
どうやってこの世界に来たのかは分からないが少なくとも自然発生するものでは無い筈、ならば魔法とかの超常的な力から帰還する方法を探すべき。しかし、転移関係の技術はあったとしても軍事・商業的にも大事な技術のはずだから身元不明の俺が行ったところで追い返されるのがオチ。そもそも情報を秘匿しているだろう…
情報を集めるにしても俺一人では限界が有るし、やっぱりこの世界の住人に協力者を作るべきか。
だが、どうやって作るか…地位は無い、金も無い、女はいない。なら、暴力的手段を用いてだな。協力者の人格とかは選んでいられないだろうし、最初に来たやつにするしかないだろう。
取り合えずこのダンジョンに人を呼び込まなきゃならない、方法は狼煙か山火事でも起こすか。扉を開くときに人の存在が近い所にしたんだ、いきなり山が燃え始めたら無視できないだろ。
軽く方針は決まったし具体的なとこは作業しながら考えるか。
〔転移〕
門の外に光が差し込んできてるし。そうか、もう明け方か…昼前には準備おわるかな?
「じゃ、燃料集め頑張りますか」
「これで最後っと」
よし、これで準備はできた。あとは火種が燃料の中で火を大きくするのを待つだけ。
でも、思ったより早く作業が終わってよかった。太陽らしきものはまだ空のてっぺんまで来てないし、晴れ渡っているから狼煙(笑)もよく見えるだろう。後は人が来るまで火が消えないように監視するくらいか、作業で疲れたし休憩にもなってちょうどいい。
願わくば、誰かが来てくれますように。
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「おい、あれ見ろよ。誰かが狼煙なんて上げてやがるぜ。」
「あぁ?んだよ、お前見に行きてぇのか?」
「だってよ、ぼろぼろに成ってる奴が金目の物持ってたらうまいだろ?ヤバそうだったら、逃げれば良いだけだしな。」
「仕方ねぇな、少し見るだけだぞ。俺はお前と違って仕事をした後は、休まなきゃやってられねぇんだ。」
次回は(多分)8月中に…