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夢の番人代行中  作者: ほろ苦
8/16

囚われた夢の番人(前編)

ゆっくり物語が動き出す

助けて・・・・・

助けて・・・・・リオ・・・・・



しとしと雨が降る午後、私(村中りお)はボーとテレビを眺めてた

テレビの内容なんて全然頭に入らない

眠たくもないのに瞳を閉じる


スナレティムに会いたい

会って聞きたい事がある

そんな簡単に思い通りいくわけ無いと思いながらも

身体の力を抜いて、眠りについた



身体が下に落ちる感覚

ゆっくり目を開けると目の前に大きな壁が見えた

周りをよく見るとその壁は長く続いており、国境の壁ようだ

遠くに街らしき所も見える


「普通の夢かな?」

私は自分の身体を調べた

いつもの自分

ただ服装が普段着ない灰色のワンピースだった

やっぱり普通の夢かなーと思いつつ、遠くに見える街を目指した

街は思っていたよりも大きく、中世ヨーロッパ風の街並みだった

活気がある市場に人が集まっている

今回は夢の番人じゃないよね?と、思いながら市場を歩く

普通の夢なら、特に何もしなくてもいいはずだ


ふっと薄暗い路地が目に付いた

賑やかな表通りとは違い、そこは薄暗く閑散とした路地

よく見ると複数の人がひとりを袋叩きにしているのが見えた

助けなきゃ!

私は走って路地に入り

「ちょっと!!やめなさいよ!」

大きな声で言った

ガラの悪そうな男たち4人が殴る蹴るを繰り返している

ひとりが私に気が付き

「ああ?邪魔すんじゃねー!!」

と怒鳴りあげる

「ひとりを寄ってたかって、恥ずかしくないの?誰かー!助けてください!」

私は表通りに向かって大きな声で助けてを求めた

ガラの悪い男のひとりが

てめーと言いながら私に掴みかかる


ドカン!!

路地に置いてあったゴミ捨て用のドラム缶が転がる

ボコボコにされていた男が地面に這いつくばっていながらも蹴ったようだ

その大きな音に表通りから数人が見に来る

ガラの悪い男たちは舌打ちしながら、去って行く

私は地面に倒れている男の元に駆け寄った


「大丈夫ですか?」

その男は無精髭を生やしボロボロの服を着ている現代でいう浮浪者風だ


「あはは、大丈夫~」

そう言って立ち上がると、フラフラっとよろめいた

その時、一枚の紙が落ちた

私はその紙を拾って渡そうと紙を見るとそれは王様らしき人が座り隣に白髪で紫色の瞳の男の子が立っている写真

この子、夢でみたスナレティムに似てる


「あの!この子は誰ですか?」

私は写真を返しながら聞いた

「・・・・・スナレティム王子様だよ、知らないの?」

浮浪者は眉を寄せ面倒くさそうに答えて少し乱暴に写真を取り上げた

スナレティム・・・・・王子

この夢は普通の夢じゃない!


「あ、あの、王子は今何処に?」

会って話がしたい!

「・・・・・よそ者か?王子はあの塔に幽閉されている」

浮浪者は壁の向こう側にある大きな塔を悲しい瞳で眺めた

あの塔の中に行く方法を考えなければ

とにかく情報収集しないと


「幽閉・・・そうですが。ありがとう。では私はこれで」

その場を去ろうとした時

「待って。あんた他所から来たばっかりだろう?今日泊まる宿とかあるのか?」

「いえ・・・ないですが・・・」

「助けてもらった礼をさせてくれよ、いい所案内する」

ニッと笑う浮浪者に疑いの目を向ける

なんだか胡散臭い気がする

でも、今日泊まるところの当てがないので案内してもらう事にした

案内されたのは予想通り?

娼婦館と書かれた建物だった

「・・・・・ほか探します。シツレイシマス」

くるっと回れ右をして帰ろうとすると浮浪者にまぁまぁっと言って建物の中に押し込まれた


「あら?レガロの旦那じゃない!ねーさん~レガロの旦那よ!!」

番台に肘をつきお色気たっぷりのお姉さんが浮浪者を見ると奥の部屋に声をかける

レガロの旦那?この浮浪者さんの事か?

バタバタと急いで走ってくる音がする

これまた美人のお姉さんがすごい形相で駆け寄ってきた

なんの躊躇もなく、突進してきてガバっと浮浪者に抱き付く


「ぐえ・・・」

苦しそうですね・・・

「レガロのだんなぁー!会いたかったぁ~」


「スズランちゃん久しぶりだね。お願い事があって来たんだよ」

浮浪者はニコニコしながら美人のお姉さんの背中をポンポンと叩いて肩を持ち少し離した


「旦那のお願いなら何でも聞けるわ。なぁに?」


「実はこのお嬢さんに助けてもらってね。しばらく泊めてやって欲しいんだ。」

そう浮浪者が言うと、美人のお姉さんは私をジロッと見る

「いえ!結構です!すみません。他探しますから大丈夫です!」

泊めてやるからここで働けと言われても無理だし!まあ、売り物になる容姿も持ってないが・・・・・

全力で断る私をみて美人のお姉さんは驚き浮浪者はヘラッと笑った


「大丈夫、裏の離れ小屋があるから。お嬢さんじゃー売り物にならないよ」

へ?そこまではっきり言われると若干ショックを受けますが・・・・・

私の心の声が聞こえていたのだろうか?

何はともあれ、泊めてくれるのでありがたく泊めてもらう事にした

美人なお姉さんと浮浪者に小屋を案内され、

「小屋にあるもの自由に使っていいから」

と、小屋のカギを私に渡した

「え!ありがとうございます」


「ねぇーレガロの旦那は私の部屋よね?」

美しいお姉さんが色っぽい声を出し浮浪者(レガロの旦那)に言い寄った

「参ったなーちょっとお嬢さんと話があるからその後でね」

と、やんわりとかわし私と小屋に入った


「あ、あの良かったんですか?」

「え?スズランちゃんの事?大丈夫大丈夫。それより・・・・どうして王子の事が気になったのか教えてくれるかな?」

浮浪者のぼさぼさな前髪の隙間から鋭い眼光が見えた(気がした)

正直に説明するのは、面倒なことになりそうな気がして


「昔、助けてもらった命の恩人に似ていたもので会いたいなーと思って」

ベタな嘘をついた

「恩人?そうかー・・・・・」

変な沈黙の間が苦しい・・・・・


「そうだ、まだ名前聞いてなかったな。俺の名前はレガロ見ての通りこの街でフラフラしているだけの奴だよ。さっきは助けてくれてありがとうな」

浮浪者さん改めレガロはヘラッと笑う


「いえいえ、こちらこそありがとうございます。泊まる所紹介してくれ助かりました私リオといいます」

私は頭を下げるとレガロは目を見開き不思議そうな表情を浮かべて

「リオかー変わっているな。こんな汚い浮浪者を助けたり頭を下げてお礼言ったり」


「そうですか?普通ですよ?見た目だけで人を判断しないだけです」

見た目すっごいヤンキーでもいい人沢山いたし、ものすごく怖い上司でもめちゃくちゃ優しい人もいたし

どう見てもヤクザだろう?っという面白い親せきだっている

見た目どうこうよりも実際に接してみて判断するのは私的には普通だった

「あはは。面白いね。じゃあ、ゆっくりしてね。俺は行かないと」

ああ、美人なお姉さんの所かな?

また明日っと言ってレガロは小屋から出ていった

私は小屋を見回して姿鏡を見つけた

自分の姿を見てみると、やはり現実の私のままだった

夢の番人代行の時って大抵姿が男だったり若かったりオッサンだったりしたから、違和感がある


一時して、怒った姉さんがやってきた

レガロの旦那はまだ!?っと・・・・・レガロさん逃げたな・・・・・

美人なお姉さんことスズランさんは私に散々レガロさんの愚痴を言って去って行った

レガロさんは浮浪者だと思っていたけど、スズランさんは

「レガロの旦那はすごいのよぉーもう、何もかも桁外れにね」

っと思わせぶりな事を言っていた

なにもかもって・・・・なに?やばい、下ネタ思考をなんとしなくては・・・・・


私はとりあえず、街に出て情報収集をする事にした

壁の向こうの国、ザルガル国は長い間戦いを繰り返して周辺国を取り込み大きくなった国らしい

あの国境壁も戦争の為に作られた

何でも伝説的な騎士団長がいたのだが、その人がいなくなってから戦いを辞めて

その後、王様は戦争で亡くした妃の代わりに新しい妃と結婚

スナレティム王子が謀反を働きあの塔に幽閉されてしまったと

こんな感じだった

とりあえず、なんとかあの国に入る為に国境を渡る通行許可書がいるな

夕方になって来たので私は小屋に戻ることにした

小屋に戻ると扉の前に一つの袋が下がっている

中を覗くとパンと飲み物と少しのお金

一体誰が?

ありがたく頂戴して一晩を過ごした


次の日、通教許可書発行場所に行った


「ダメだダメだ!身分を確認できない奴に許可書は出せない!」

そうですよね・・・・・しょんぼりとして建物を出る

困ったなー夢の中だから身分なんて証明できる訳ないしー

そう考えていると一人の優しそうなオジサンに話掛けられた


「お姉ちゃん、通行許可書が欲しいのかい?」

「え?あ、はぃ」

ニコニコして話しかけるオジサン

「ここだけの話、手に入れること出来るよぉ?」

「本当ですか?!」

おお?どうやってだろう?

「此処じゃマズいから、ちょっと私の家で話そうじゃないか」

っと家に案内された

薄暗い家に入るとオジサンはさぁさぁっと奥に行くように進めてきた


「あのー通行許可書を手に入れる方法を・・・・・」

みるとオジサンは出口の扉の前にたち、部屋のカギを閉めている

・・・・・これは・・・・・


「そうだねータダって教えるわけにはいかないよねー」

ニコニコ優しそうだったオジサンの笑みが不気味にみえる

「解るよね?大人がするお礼の仕方」

ニコニコオジサンじゃなく不気味オジサンの目は笑っていない

どこか獲物を見つけた獣のような瞳で私をみた

しまった・・・・・

夢の中だからと危機管理がなってなかった

ジリジリと寄ってくるオジサン

「お、大人のお礼の仕方ではなく他でお願い出来ませんか?」

私は後退りしながら焦って言った

「他?お金かい?そうだなー3万ゲイルって所かな」

3万ゲイル。昨日聞き込み調査でお金の事も少しわかっていた

1ゲイルが現在でいう10円って所だった

つまり・・・・30万って無理ですよね・・・・・

そうこう考えていると息をはぁはぁ荒くしてきたオジサンが今にも飛びつきそうになっている

ヤバいです!

ぐわっと掴みかかるオジサンを何とかかわし逃げる

狭い家なのでこれもいつまでもつか・・・・・

出口の扉の所に走って行って扉の鍵を開けようとしたが見たこともない鍵がかかっている

扉を思いっきり叩く

ドンドン!!

「誰か!助けーん---!!」

背後からオジサンが口元を押さえられた

バタバタと暴れる私を床に抑え込まれる

「はぁはぁ、大人しくしろ、殴られたいのか?」

くそー頭に血が上り目が涙目になる

自分の情けなさに悲しくなってきた


ドカンン!!!!!

家の扉が吹っ飛ぶ

次の瞬間、痛烈の蹴りでオジサンを吹っ飛ばす

「ぐわぁ・・・」

私は蹴りを入れた人物をみるとそこにはあの浮浪者レガロがいた

浮浪者はぼさぼさ髪の隙間から私を見下ろし少し憐れんだ表情を浮かべている

「ったく、どこの世間知らずのお嬢さんだよ」

呆れたように呟くと床に組み敷かれていた私を起こしてくれた


「世間知らずのお嬢さんではないです。ただちょっと(夢だから)油断しただけです」


「・・・・・その油断が命取りになる。世の中そんなに甘くないと思ってろ」

睨みつけられ冷たい口調でまるで怒っているようだった


「・・・・・はぃ。すみません。助けてくれてありがとう・・・・・」

私だっていい大人なんだから解ってる

少しふて腐れ気味に言った


「あのエロオヤジで有名なおっさんにのこのこ付いて行くお嬢さんがいたって聞いてまさかと思ったけどね・・・・通行許可書が欲しかったのか?」

「う・・・・はぃ・・・・」

「命の恩人に似ている王子に会いに行く為にか?」

なんだろう?この空気。取り調べを受けている気分になってきた

「そ、そうです」

そろそろ、かつ丼を出してほしい所です

「「・・・・・」」


「はぁー」

俯きレガロは大きくため息をついた

そしてゆっくり私をみて


「わかった。協力してやるよ」


「え?でも・・・・」


「俺の諸事情もあるし。ついでだよ、ついで」

ついで?諸事情?

そういうと、レガロは伸びているオジサンの元に行った

オジサンを叩き起こし、なにやらぼそぼそ話をしている

途中オジサンの顔色が真っ青になり慌て

「わわわわわ、わかりました!!明日には準備しますー!!!」

っと言って走って家を出ていった

ふらっと私の元に帰ってくるレガロ

「あのー?何を・・・・・?」

したんですか?って聞きたかったけど、なんとなく聞いてはいけない気がした


「ナイショですよ。さて準備をしなければ・・・・リオは小屋に帰ってろよ?」


「え、でもまだ」


「帰ってろ、よ?」

はい・・・・・

なんともいえない圧力がかけられ、しぶしぶ小屋に帰りました


小屋に帰ってしばらくすると美人なお姉さん(スズランさん)が何か持ってきてくれた

美味しそうなお菓子とお茶


「誰も今、お茶相手がいないからねぇーいい?」


「はい!どうぞどうぞ」

気さくで明るいスズランさんとはすぐに打ち解け女子話に盛り上がった


「リオちゃんっていくつ?」


「え?35ですよースズランさんは・・・・年齢不詳過ぎです」


「えー笑。私は42歳よ」

見えねー!!!!!!!恐ろしい、美魔女だ・・・私より絶対若いって思ってた


「・・・・なんだか自分が恥ずかしい・・・・」

ぶっははははは

っと大声で笑う声が小屋の入り口からした

灰色の髪に黄土色の瞳、がっちりとした体格の男

誰?


「ー!レガロの旦那!!その姿、どうしたの!?」

え?レガロさん?

目をまん丸く見開き驚くスズランさん

私も男の顔をみて首を傾げる

不良者のレガロさんは髪がぼさぼさで黒っぽかったし瞳だって・・・・黄土色だったっけ?

前髪に隠れて実はよく思い出せない

無精ひげを生やしていて輪郭もよくわからなかったし

服装だってボロボロの着てたから体系なんてわからない

小屋の入り口に立っているレガロは小奇麗な冒険者風の服を着ている

体格のいいお兄さん?オジサン?の間ぐらいの青年

どうしても同一人物に思えないのだけど


「さすが街一の遊女スズランちゃんだね。わかるんだー」

この気の抜けた声はレガロさんだ・・・・・


「わかるわよぉ!やっぱりイイ男ねーレガロの旦那ぁ~」

甘え声をだし、レガロに抱き付き頬にキスをした

私はその光景を直視しているのが恥ずかしくなって目線を逸らす


「すっかり二人は友達になったようだね」

私をみて微笑むレガロ

「はぁ、まあ」


「しかし、まさか同い年とは思わなかったよー」

え?レガロさんも35歳?


「もうお嬢さんって年じゃなかったんだね」


「悪かったわね・・・・・」

けたけた笑うレガロさんに対して私は目を細め睨む


「あーすまない、お詫びにご飯奢るから。スズランちゃんも、行く?」

スズランは目を輝かせ喜ぶ

しかし、浮浪者だったレガロさんにそんなお金・・・・・

心配しているとスズランさんが耳打ちをしてきた

「レガロの旦那、お金には困ってないから大丈夫よ」


「本当?」


スズランさんおススメのお店でちょっと早めの夜ご飯を奢ってもらった

その帰り、スズランさんが私の服が昨日と一緒と指摘され、新しい服も買ってもらいました・・・・一式


「明日、国境を渡るからそのつもりで。じゃ、おやすみ」

帰ろうとするレガロさんをスズランさんは逃すまいっと


「レガロの旦那ー今日は寄るでしょ?ね?」

っと腕を掴まれ引きずられて行きました





短編集にしたいのにー文字数オーバーする・・・・・

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