上編
気まぐれな空に、足早な雲
仰向けのまま動かない君
目の前から雫が降り注ぐ
あぁ、僕は今日も一人なのか
隣に居たはずの君が、いつの間にか遠くに見える
悲しみが押しよせる頃には、空は晴れていた
====第1章:「闘証」上編====
猫が立っている
直立に。例えるならば、人間の様に。だ
彰「猫・・・だよな?」
日常では考えられないような事が起きているにも関わらず
意外と冷静でいられる自分に彰は驚いていた
青と緑のオッドアイ
野良猫には見られない綺麗な毛並み
不自然な姿勢
猫はその姿勢のまま彰に近づく
「にゃー。」
彰「・・・」
「にゃ~お。」
彰「猫だな」
「んなぁ~」
猫はため息をついた。・・・様に見える
しかし猫は気がついた( ゜д゜)ハッ!
彰「お前、何持ってんだ?ブローチ?」
猫は確かにブローチ状の何かを持っている
琥珀色のソレは、陽の光で輝いて見えた
「にゃっ!・・・にゃー、ゃー、あー、分かるか?少年」
彰「二足歩行が可能な猫は、人語も話せるのか。」
ショウに話しても信じないだろうなwww
等と心の中で思っていたら
「何だ?何か可笑しかったか?」
どうやら顔に出ていたらしい
彰「いやwwwなんでもない」
「そうか。少年の名前は・・・えーっと・・・」
彰「?」
猫はブローチを額に当て、何か考え込んでいる
彰「俺の名前か?俺は・・・」
「ツヅキハシ・・・アキラか」
猫はズバリ言い当てた
彰は驚きを隠せないでいたが、次第に
まぁこんな事もあるのだろう と受け入れ始めていた
クラスメイトに言われた言葉と、ナゴヤンの授業で疲れ果てた様だ
・・・メンタルが弱すぎる
「私は君を担当することになった。だが最初にいくつか質問したい、いいかね?」
担当?質問?何やらめんどくさそうだ
彰「あぁ、いいぞ。その代わり早めに済ませてくれるか?今日は疲れてるんだ・・・」
相変わらず天気のイイ空を睨みつけ、彰はそう答えた
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弘「皆さんこんにちわ鷹鐘です。アキラやショウが紹介をサボった為・・・」
正「チョイ待てや!誰がサボったって!?」
彰「まぁ落ち着けよ。どうせナゴヤンの事言ってるんだろ?」
弘「そうさ!なぜ君達は、自分達の自己紹介だけサッサと済ませて先生の紹介をせずに前話を終えてしまったんだい!?大体、君達はいつもそうだ!取材は手伝わない。文書の作成は僕に任せっきり。そもそも部室にすら近寄らない!君達は伝伝の部員としての自覚が足りないんだよ!世界各地に残る伝説・伝承・民話・神話を片っ端からかき集めて、検証・研究し一つの書物にして後世に残す!これは立派な名誉じゃないか!なぜ解らないのかがボクには理解できないよ。神話に出てくる神々なんてもう最高だよっ!?有名どころではゼウスやオリンポスあとガネーシャ何かも知られていて・・・」
正「シャラップ!!!」
弘「!?」
彰「脱線したな。お前なぁちょっとは作者の苦労を考えろよな?」
正「そうだぞー?それ全部手打ちだからな?www」
弘「それが彼の役目じゃ・・・!ん!!ム゛ー!!」
彰「あーあー、口塞がれたなwww」
正「自業自得www」
彰「ナゴヤンは通称であり、本名は」
『名護 安政』
正「高校時代のあだ名は、ヤスやんだったとかw」
彰「高校を卒業する時に、友人達に
ナ「今日をもって、俺はナゴヤンだ!!ヤスやんって呼んだらぶん殴るからなっ!」
と言ったらしいw」
正「在学中に言えよwww」
彰「ずっと我慢していたそうだwww」
正「ホンットよく分かんねぇなwww」
彰「だなww」
正・彰・弘「それではっ本編の続きをどうぞ!ム゛ー!!ム゛ッム゛ーー!!!」
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暗い・・・
ここは何処だ?部屋なのか?
ジャラ・・・
鎖?何故鎖に繋がれている?
「・・・!!!」
「・・・!・・・!!」
外から音が聞こえる
私は何をしていた?
どうして此処に縛られている?
痛ッ
右肩が痛む・・・どうやら鎖のせいでは無いようだ
‥‥‥‥‥‥‥
ギィィィィィィィィィ
扉が・・・
!?
身体が引っ張られる!?
「お前の番だ」
誰だ?お前は誰だ?
「今度の・・・は・・・ッ・・・け」
ダメだ・・・聞こえない・・・
明るい光に包まれて・・・
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
「・・・っ!・・・ってーの!」
ゴンッ!
ものすごく痛そうな音がした。
って言うか痛い。すっごく痛い!
「~~~~~っ!!!」
男の子が頭を抱えて蹲っている
「えっ!?嘘!?そ、そんなに強く叩いたっけ!?」
そばに居た女の子が慌てている
・・・なんだリア充か(´Д` )
男&女「違う!!」
・・・ハイ。スイマセン(´;ω;`)怒らなくてもいいじゃないか。。。
午後2時頃を具体的に表現できないが、
ポカポカしてて昼寝したら気持ちいいだろうなぁって時間帯の
とある公園
男の子は、相変わらず頭を抑えている
「ホントに痛いんだけど・・・スッゴイ音鳴ったよね?」
「でっ、でもでも!タル君が悪いんだからね!起きないんだもん!www」
「え!?殴られたのって俺のせいなの?www」
「殴ってないよ!叩いたんだしww」
・・・やはりリアじゅ
男&女「違う!!」
・・・ハイ。ゴメンナサイ睨まないでください。゜(゜´Д`゜)゜。
「寝ててイイって言ったのはウルアじゃないか!」
「こんなにグッスリ寝ていいなんて言ってないもん!」
「無茶言うなよww」
「ふぇwww!?」
「寝たら誰だってグッスリでしょうよwww」
丁度良く二人の名前が出たところで、紹介しておこう
頭を抱えて「イタイイタイ」のポーズをとっているのが、
『足迫 樽』
通称タル 高校1年生
思いっきり殴ったくせに、「叩いた」と言い張る女の子は
『霜月 潤曖』
通称ウルア 高校1年生
潤「むぅー(15分位のつもりで言ったのに・・・)1時間も寝るからだよ!」
ハムスターの様に頬を膨らませる潤曖
樽「まだ眠いんですけど・・・」
頭を抑えつつも、眠たそうにしている
二人が着ている制服は『疾風学院』の物だ
疾風学院は、何か1つ秀でたものがアリ
尚且つ学力が基準を満たせる子であれば
学歴・年齢は問わないという方針らしい
制服の形状は、男子はブレザーにスラックス
女子はブレザーにスカートorスラックス
どちらも稲妻の様なデザインがスラックス&スカートに施されている
ブレザーには竜巻の様な校章が左胸のに刺繍されている
ちなみに、最寄りの駅からは自転車で15分
学生に優しい距離である
潤「ねぇ?さっき貰ったコレさどぅすればいいかナ?」
潤曖はブレザーのポケットから何かを取り出した
樽「あぁwwさっきのヤツ?捨てる?」
樽もスラックスのポケットから何かを取り出した
どちらも形状は違うものの、くすんだ黄金色である
お世辞にも綺麗とは言えない
樽「まさかwww犬が喋るなんてなぁw」
欠伸をしつつ樽は笑った
潤「でも可愛かったなぁ~♪もふもふしてたし・・・」
明後日の方向を見つめたまま、何かを思い出したように言う
なぜ彼等が、昼間に公園に居るのか
持っている物は何なのか
それを説明するためには、時間を遡らなくてはならない
彼等の日常を、「非」日常に変えるきっかけは
「彼」が生み出した
‥‥‥材料がない
そう言ったのは部長兼店長だった
疾風学園には、一風変わった部活が多く存在しており
樽&潤曖が所属する部活もその中の1つであった
『雑談喫茶』
文字通り楽しくお喋り出来る喫茶である
最低限のルールを守れば、騒いだってお構いなし
校内外で人気のある喫茶として有名である
樽「何の材料がないのさ?」
皿を片付けていた樽が振り向いて言う
「ハヤシライス」
店長は肩を落としたまま答える
樽「あれ?昨日、材料買ったんじゃなかったの?
副店長と買い出し行ったでしょ」
「行った。けどココにあった野菜が一つもない」
樽「そんな馬鹿なw」
店長の目の前には冷蔵庫がある。それも野菜用の冷蔵庫
樽は冷蔵庫を調べたが、何一つ入ってはいなかった
「ハヤシライスの素だけあっても何も作れんわ」
結構な量があったと思われるが一晩で無くなるものだろうか?
樽は考えた。誰が食べてしまったのだろうか・・・と
潤「ねぇ~コップ何処だっけ?あの、花柄のやつ」
両腕に収まっているのが不思議な量の食器類を抱えた潤曖がフラフラしながら
樽と店長の方に歩いてくる
今にも倒れそうだ・・・あ!
潤「ふぁッ!?」ガッ
キッチンと床の段差に躓いた 酷い事が起きそうな予感
樽「うおっ!」
がっちゃーん
「はぁ。。。片付けたら2人で買い出し行ってきて・・・
俺は、うん。何か考えとくからメニュー的な何かを」
樽「・・・ふぁい」
食器類の下敷きになった樽が、苦しそうに答えた
潤「いったーい・・・」
ドジっ子にも程がある。ベタな展開である。
少しして、昼下がり
学生が2人で街中を歩けば、ちょっと注目される
良い注目なのか悪い注目なのかは、目撃者次第
これでカラオケか映画に行ったならば
翌日は校内に噂が広まること間違いなし
冷やかされて、ドンマイな状況に・・・
そんな事はさておき
スーパーに向かう2人に一匹の犬が近づいて行く
真っ白い犬 昔洗濯洗剤のCMに出ていたような
もふもふした大型犬
潤「!!」
潤曖が興奮している。尻尾があればブンブン振っている事だろう
樽「ん?どした?・・・あー犬か。犬・・・デカっ!!」
犬は二人の前まで来ると、お座りした。それにしてもデカい
「突然犬が話して驚くだろうが、まぁ驚かないで聞いて欲しい」
樽「いや無理があるwwwww」
「そこを何とか耐えてくれ。君達は選ばれた」
潤「わ~もふもふだぁ♪触っていい!?撫でていい!?」
「撫でる前に聞いてくれると嬉しいんだが・・・」
ヤッター!と叫ぶのとほぼ同時に、犬の横に陣取る
電光石火のごとく・・・
「今からだと約1週間後、王を決める戦いが始まる。君達は王に仕える『闘鍵士』として
4種族のうちの1つ『風』の陣営で戦ってもらいたい」
樽「話が見えないんですがwwww」
声は笑っているが、少し緊張したようにも受け取れる
樽「戦うって言われても、俺喧嘩とか無理なんだけど・・・」
「戦うのは君達であり、君達ではない」
はぁ?少しイラつきながらも、努めて冷静になろうとする樽
犬を撫でていた潤曖が横から口を挟む
潤「じゃあ、貴方が戦うの?」
「私ではない。だが、姿の参考にはなるかも知れないな」
樽「どういうこと?」
「フム。・・・もう来たか」犬は周囲を気にしている
樽「ん?」樽も見回すが、誰も居ない
「これを渡しておく。」犬は体を震わせた
ヒュッ
何かが飛んだ
潤「なにこれ?鍵?」
くすんだ黄金色の鍵の様な物は二人の手元に渡ると、輝いた
樽「うおっ!?」
「それは風の『闘証』だ」
潤「闘・・・証??」
「詳しいことは後日説明する!クッ、予想以上のスピードだ」
犬は猛スピードで駆け出した、
樽「おい!まだ返事してねぇぞ!」樽の声も届いてないようだ
潤曖は闘証をブレザーのポケットに仕舞った
潤「あぁー、行っちゃったねぇ。(もうちょっと触りたかったなぁ」
樽「ったく~なんだったんだよ・・・てかどうすんだよコレ」
闘証を握ったまま、犬の駆けて行った方向を見つめていた