第三戦~初日、戦闘・中編~
二編だけじゃ終わらなかったんで、三編に分けることにしました。
今回は颯雲VS伊達さんです。
そして、鍛練場に着き…。
「中々な設備だな。壊れる事は無さそうだ」
鍛練場には、中々壊れなさそうな鉄でできたサンドバックにバカみたいにデカイ剣道場、何か良く分からん四角い部屋みたいなのがあった。
「ってか、何だよ?あの四角い部屋みたいなの?」
「あぁ、アレか。アレは重力値を変えられる部屋だな」
え?なにそのオーバーテクノロジー?
けど、修行にかなり使えそうだな……。
「上限値はどんなもんだ?」
「確かじ……学園長が50Gとかほざ……言ってたぞ」
おい、教師。
お前、失言ばっかだな。うっかり、爺とかほざいてたとか言いそうになんなよ。
50Gか…。今じゃあ、まだ出来ねぇレベルだな。
「まぁ、良い。今から模擬戦すっからさっさと相手見付けて、俺に報告しに来いや!」
(さて、行くとしますかね?)
そう思い、前に出ようとしたら、何故か囲まれた。
「えーと、響夜と織田さんと武田さんか。どうしたんだ?」
「「「私/ワシと戦ろう!」」」
なんだ?何でこんなに群がるんだ?
アレか?あの雑魚を一撃で倒したからか?
まぁ、もう決まってるから無理だが……。
「スマンな。俺はもう相手決まってるんだよ」
そう言って、前に出る。
伊達さんの方も同じくらいのタイミングで前に出てきた。
向こうは、龍二と零那と明智さんに捕まっていたみたいだが。
「決まったみたいだな?」
「あぁ、俺と伊達さんで模擬戦を行う」
(フフフ……。久し振りに血ぃ沸き、肉踊る戦いが出来そうだな)
そんな戦闘狂じみた事を考えてる間に、戦闘が組み終わったみたいだ。
まず、俺VS伊達さん。
龍二VS明智さん。
響夜VS上杉さん。
慶治VS本田さん。
零那VS武田さん。
で、また何か知らんが、俺VS織田さん。
……ちょい待て。
俺だけ何で二回なんだよ?
アレですか?新手のイジメですか?
「何で俺だけ二回なんだ?」
「は?別に良いだろ?」
教師テメェハッ倒すぞ。
いつかタコ殴りにしてやる…。
「ほら、三戦ずつ行うからな。黒鉄、伊達、浅井、明智、上杉、島津。出てきて、向かい合って並べ。ついでに言っておくが、武器の使用は有りだ。首を跳ねるとかじゃ無い限りどうしようと構わない」
「「「はい!/おう!」」」
とりあえず、後の事は考えず、暴れるとしよう。
ってか、武器有りって言っても、俺の武器…鉄甲しか無いんだけどな…。
「伊達さん。一つ聞きたいことがあるんだが、良いか?」
「なんだ?」
コレについては、聞かなきゃなんねぇだろ。
「眼帯をしてるのは見えないからか?…それとも、手加減のためか?」
昔に一度戦った事があったヤツにも眼帯してるやつがいたが、ソイツは『ハンデの為』と言ってたからな。
「勿論手加減の為だ。片目でやっても話にならんヤツばかりだったからな」
「そうか。ならば、その眼帯、取らせてやろう」
ハンデ有りでやられると癪に来るからな。
「フッ…。面白い。ならば、行くぞ!」
そう言って、何処から出したのか剣を出してくる。
しかも、その刀はかなり有名な刀……童子切安綱だった。
(え……?マジかよ?何で天下五剣の一つを持ってんだよ?)
そんな事を考えてる内に、伊達さんが目の前に来ていた。
「考え事とは随分余裕そうだな!」
俺は咄嗟に、肉体強化を使い、童子切安綱を片手でガードする。
「なっ!?」
「らあぁぁぁ!!」
片手でガードされた事に驚き、多少隙を見せた伊達さんに回し蹴りを放つ。
勿論、片手で童子切安綱は押さえたままだ。
「ちぃッ!?」
咄嗟にダメージを軽減するように体を逸らしていたが、やはり直撃は免れず伊達さんは壁の方に飛ばされていった。
しかし、伊達さんは飛ばされていく最中で体制を建て直し、壁に足を着け踏み込み、攻撃を仕掛けてきた。
「ハァァァァ!!」
「クッ…!」
俺は、伊達さんの攻撃を後ろにバク転して避けつつ、着いた手を軸に回転蹴りをする。
「チッ…!面妖な…!」
「褒め言葉と取っておくよ!」
そう言いながら体制を直し、三段蹴りを放つ。
「クッ…。早いな…!」
「まだまだまだぁぁぁぁ!!」
俺はそのまま変幻自在に流れるように連撃を繰り出す。
「クッ…!」
伊達さんは一度引き、ハンデとして付けていた眼帯を取る。
「此処からは全力で行くぞ!!」
「望むところだ!」
伊達さんがさっきまでのスピードよりも更に早く、切りかかってくる。
「クッ…!さっきよりも早い!」
俺は片手で受け止めるが、その瞬間伊達さんが俺に向かい蹴りを放ってきた。
「ガッ…!?」
咄嗟に体を捻り、避けようとしたが伊達さんの一撃はかなりの威力で、避けきれずモロに一撃をくらう。
「グッ…!肉体強化をしてもこの威力か…。参るね全く……血が疼くよ!」
俺は、外的付与と武器強化も使い伊達さんに突っ込む。
「らあぁぁぁ!!」
俺は蹴りを放つが、伊達さんはそれを避ける。
俺は咄嗟に放った蹴りの足下に気を集中させ足場を作り、そのままその足を軸とし蹴りを放つ。
「なっ!?」
伊達さんはそれを避けきれず、両手で其れをガードしようとするが、外的付与に肉体強化に武器強化(足)の追加された一撃を防御仕切れず、地面に叩き付けられる。
「ウッ!?」
「伊達さん。まだ何か隠しているね。出し惜しみせず、この一瞬に全てを出し合おうじゃないか。俺も最早…出し惜しみはせん」
伊達さんにそう告げると、伊達さんは笑い出した。
「フッ…ハハハハハハ!!まさか隠しているのがバレるとは思わなかったよ!分かった。私も全身全霊で挑むとするよ。「五門」発動…!」
「ならば、俺も行くとしよう!」
俺は、流見を使い、伊達さんの体内の気の流れを読む。
(成る程。体内に大量の気を流れさせることで、人間の眠っている力を引き出す…か。素晴らしい力だな)
伊達さんが今までとは比べ物にならないスピードで攻撃を仕掛けてくるが、攻撃を全て読み避ける。
「面白い力だね。体内に大量の気を流れさせることで、眠ってる力を引き出し、爆発的な力を得る…か」
「お前もだ。その力はなんだ?」
フム…。戦ってる相手に力を聞くか…。まぁ、教えるとしよう。
「この力は「流見」と言ってね。空気中の微弱な気や、体内に流れる微弱な気を読むことで、敵の攻撃を読み切ったり、体の異常を見極めたりする力だよ」
「デタラメな力だな」
それは俺も自負しているさ。
それにしても、体内に気を流して、力を呼び起こす…か。
やってみる価値はあるな。
「俺も思うぜ。さて……行くぜ!!」
俺は、そのまま蹴りを入れるが、軽く避けられ蹴りをカウンターで放ってきた。
俺は流れを読み、その気の流れに合わせて、体を捻りかわす。
「さて、詰めと行くぜ!」
俺は、見よう見まねで体内に大量の気を循環させる。
失敗したら、危険な事になるのだが、流した失敗したら瞬間爆発的な力を感じたので、成功したのだろうと仮定した。
俺はそのまま回し蹴りを全力で放つ。
(さっきとは比べ物にならん速さだな…)
「なにッ…!?」
伊達さんは急に速くなった一撃に対応しきれず、地面に叩き付けられる。
俺はそのまま伊達さんの首筋に手刀を突き付ける。
「さて、俺の勝ちだね?伊達さん」
「……私の敗けだ…。最後の一撃…急に速くなったが何故だ?」
そりゃあ、急に速くなったら手加減されていたのかと思うだろうな。伊達さん何か睨んでるし。
「なに…伊達さんの「五門」の力を真似ただけさ。まぁ、咄嗟だったから一瞬しか出来なかったがね」
「まさか一瞬見ただけで真似をしてくるとは…」
伊達さんは驚きで唖然としていた。
「伊達さん、立てるか?」
俺は伊達さんに手を差し伸べる。
「美鈴で良い」
「は?あ、あぁ。美鈴、よろしく。俺の事は、颯雲と呼んでくれ」
一瞬呆気にとられてしまったが持ち直し、言い返す。
「分かった颯雲。これからよろしく頼む」
「勿論だ。此方こそよろしく頼むぞ、美鈴」
「……あのしきたりを守らなければいけないか…。しかし、この男ならば良いかも知れぬな…」
美鈴が何かいっていたが、俺には聞こえなかった。
ふと回りを見ると、三戦とも終わっていた。
結果的に言うと、
俺VS美鈴=俺の勝ち
龍二VS明智さん=龍二の勝ち
響夜VS上杉さん=上杉さんの勝ち
(おい、響夜。お前負けたのかよ…)
そう思いながら響夜を見ると、何故か上杉さんに頭をかじられていた。
「パイナップル~」
うん、上杉さんの目が怖いし、響夜の事をパイナップルと認識してる。
響夜…かじられてるけどお前…。
「まだ出荷前なんだ!!まだ甘くないんだぁぁぁぁ!!」
なにその言い訳……。
「あれ?そうなの?残念…、いつになったら食べられるの?」
なんて恐ろしい事を聞くんだろう、上杉さん……。
「うーん、きっとアレやわー。食い時になったら分かるんやない?」
適当な言い訳だけど、その言い訳だといつかお前食われるぞ?
「そうなのか!楽しみだー!」
(ほら。言わんこっちゃない)
響夜はこの言葉を聞き、ガチガチと震えていた。
「ほら、さっさと二戦目行くぞー」
そして、そのまま二戦目が始まりを告げようとしていた…。