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夕暮れの坂道  作者: kagari
9/15

タイトル未定2025/12/21 06:17

 土曜日当日。

 由美子は、朝から車に荷物を運んでいた。

「これで、全部か?」

 一緒に荷物を運んでいた、叔父の守雄が聞いた。

「はい」

「じゃ、行こうか」

 由美子と守雄は車に乗り込み、武士の家へ向かった。

 この日も、良く晴れていた。

 武士の家に着くと、博人も美鈴の彼氏拓也も、来ていた。

 武士の母親が出てきて、守雄に挨拶をしている。

 一通りの挨拶を終え、それぞれ持ち寄った荷物を車の中に入れた。

 車に全員は乗れないので、先に美鈴と拓也が乗ることになった。

「じゃ、先に行くわね!」

 美鈴が言い、由美子と武士と博人の三人は見送った。


 美鈴と拓也を先に川に送った守雄が戻ってきた。

 由美子たち三人は車に乗り、車は動き出した。


 川に着くと、既にテーブルセットが用意されてあり美鈴は、カレー作りのしたくをしていて、拓也はかまどを作っていた。

 由美子達は、車にのせていた残りの荷物をおろした。

「じゃ、おじさんは、いったん帰るよ。一時頃迎えに行くからね」

「ありがとうございます!」

 みんなは、口々に言った。

 守雄が車で行ってしまうと、由美子は美鈴とカレー作り。

 武士と博人は拓也とかまど作りを始めた。

「へ~うまいじゃん!」

 野菜を切る由美子に、美鈴は言った。

「お母さんと一緒に料理をするから」

「お母さん、喜ぶわね」

「拓也さん初めて見たけど、やさしそうな人ですね」

「まあね。それだけが、取り柄」

「つきあい、長いんですか?」

「私が、中学一年の頃からのつきあいだよ」

「すご~い!」

「ずっと、学校が同じだったから。ねぇ、由美ちゃんは好きな人とか、付き合ってる人とかいないの?」

「私まだ、小学生ですよ。そんな人いません」

「そうお?由美ちゃん可愛いし、好きな人の一人や、二人いると思った!」

 その頃かまどが出来上がり、火おこしをしていた。

 火おこしをしながら武士は、拓也に聞いた。

「いつも思っていたんだけど、姉ちゃんのどこが良くて付き合ってるの?」

「一緒にいて、楽しいから。美鈴のこと嫌い?」

「そうじゃないけど、口悪いしすぐ暴力を振るうし」

「きょうだいだからだよ。でも、確かに口悪いよね」

 それまで黙って聞いていた博人が、ふきだした。

 火起こしが終わり、米を炊き出し、由美子と美鈴は交代で野菜を炒め、カレー作りをした。

 火おこしを終えた武士と博人は、服を脱いで川の中に入って行った。

 カレー作りを終え、美鈴は由美子を日陰に誘った。

「由美ちゃん!こっちに座ろう」

 由美子は、美鈴の隣に座った。時折吹いてくる山の風が、心地よい。

「こんなこと、初めて」

「そっか、由美ちゃんが住む都会じゃ、こんな体験できないもんね」

「美鈴さんは、まだ都会に憧れてる?」

「ずっと、この村で生まれ育ったからね。そりゃ、憧れるわよ」

 二人はしばらく、川の流れの音を聞いていた。 

 美鈴が、突然つぶやくように言った。

「拓也、来年卒業なんだ」

「そっか。今、高校三年生だもんね。卒業したら、どうするの?」

「前はさ、拓也も都会に憧れてて。この村出て、大学行くって言ってたんだ。だから、私も拓也の後追うつもりだったのに」

「どうなったの?」

「拓也、最近何も言わなくなった」

「この村に、残るの?」

「かもしれない」

「美鈴さんは、どうするの?」

「わかんない」

 それきり、美鈴はなにもしゃべらなかった。

 やっとご飯が炊けて、皆は、イスに座ってカレーを食べだした。

 外で食べるカレーは格別で、あっというまにカレーはなくなった。

「ふ~食いすぎた!」

 早くも武士はイスから降り、石の上に寝転んだ。

「大盛りによそったカレー、三杯も食べるからだよ!」

 美鈴が、あきれて言った。

 武士はそのまま寝転び、美鈴は拓也と日陰の方に行き並んで座り込んだ。

 由美子と博人は、イスに座ったままでいた。

「さっき、美鈴さんと何話していたの?」

 博人が、由美子に聞いてきた。

「美鈴さんと、拓也さんの将来のこと」

「ふ~ん。由美ちゃんは、夢とかあるの?」

「さぁ。考えたことないな。博人くんは?」

「わかんない。と言うか、まだ迷ってる」

 そう言ったきり、博人は黙ってしまった。

 それから、みんなで後片付けをした。

 片付けが終わった頃、守雄が車で向かえにきた。

 帰りは、由美子・武士・博人の三人が先に車に乗った。

 由美子は、窓からそっと美鈴と拓也を見た。

 川に残された、美鈴と拓也が気がかりだった。


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