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夕暮れの坂道  作者: kagari
6/15

タイトル未定2025/12/21 05:57

 博人と別れてから、一週間が過ぎた。

午前中は勉強と掃除をやり、午後はのんびり過ごしていた。

 ある日の午後。

 由美子は、ますみと畑仕事をしていた。

 由美子と同じくらいの年の男の子が、ますみを尋ねてきたのは、そんな時だった。

「おばさ~ん!」

「あら、たけぼう!」

 たけぼうと言われた子は、由美子や博人より背が高く体も大きかった。

「ば~さんに頼まれて、これ届けに来た」

そう言って、包みをますみに手渡した。

「わざわざ、悪いわね。ありがとう」

「それ、なんなの?ば~さんに聞いても、教えてくれないんだ」

「ひ・み・つ。今にわかるわよ」

 ますみは、いたずらっぽい顔をして答えた。

「あ、夏休みの間預かっているって子って、その子なの?」

 由美子を見ながら、男の子は言った。

「そうよ。私の姉さんの娘で、青葉由美子。たけぼう、よろしくね」

 ますみは、由美子を紹介した。

「俺、今井武士いまいたけし!よろしく!」

 武士は、元気に言った。それとは対照的に、由美子は小さな声で一言、言った 。

「よろしく」

「由美、もういいわ。たけぼうと、遊んできな」

 由美子はとまどいながら軍手をはずし、ますみに渡した。

「サンキューおばさん。じゃ、行こうぜ」

 武士が言うと。由美子は、慌てて言った。

「行ってきます」

「行ってらっしゃい」

 武士は由美子の手を引っ張って、走り出した。


 由美子と武士は山道を歩き、下で流れている川の方に行った。

 武士は川の中に、入って行った。由美子は、木陰で涼んでいた。

「……今井武士君」

 由美子は、小さくつぶやいた。

「えっ、なんか言った?」

 武士は振り返り、川から出てきて、由美子の隣に座った。

「どっかで、聞いた名前だと思ったら、博人君が言っていた名前だ」

「なに?もう、博人に会ったの?」

「病院で、会ったわ。あなたのこと話していた」

「武士で、良いよ。俺も、これから由美子って言うから。いいだろ?」

「いいけど。武士君は、小さい頃からずっと、この村に住んでいるの?」

「うん。父ちゃん、母ちゃん、姉ちゃん。それに、ばあちゃんの五人暮らしだよ」

「大家族で、暮らしているのね」

「大げさな!これくらい、普通だよ。由美子んとこは、何人家族?」

「両親と、三人家族」

「じゃ、博人んとこと、同じだな」

「そう」

「今度、俺んちに来いよ」

「えっ?」

「いろんな場所に、連れてってやるよ」

 由美子は、うつむいたまま聞いていた。


 武士と別れた由美子は夕飯の時、武士の家に行くのを誘われたことをますみに話した。

「たけぼうの家に?」

「うん」

「いいじゃないの。行っておいで!」

 ますみは、嬉しそうに言った。

「でも、ますみ叔母さんの手伝いが」

「そんなこと、気にしなくてもいいんだよ。せっかく、友達が出来たんだから。夏休みなんだし、思いっきり遊びなさい」

 ますみは由美子にやさしく言ったが、由美子はうつむいたままだった。

 村の生活が今一つ馴染めなかった。都会の暮らしが、恋しかった。

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