タイトル未定2025/12/21 06:37
八月も半ばを過ぎた、ある午後のことだった。
ますみは、珍しく早めに畑仕事を切り上げた。
リビングで洗濯物をたたんでいた由美子は、驚き顔で言った。
「ますみ叔母さんどうしたの?いつもより早いじゃん」
「由美ちゃん!出来上がったわ。見て!」
ますみは、後ろに隠していた物を広げて見せた。
「じゃ~ん!」
「凄い!これ、ますみ叔母さんが、作ったの?」
「そうよ!」
ますみが、由美子に見せたもの。それは、白い生地で作ったゆかただった。
「たけぼうの、おばあさんから生地をもらって、作ったのよ」
由美子は武士と初めて会った時のことを、思い出した。
あの時、武士が何かをますみに渡していた。
「武士君がますみ叔母さんに渡したものって、このゆかたの生地だったの?」
「そうよ。由美ちゃんがこの村に来ると知った、たけぼうのおばあさんが、可愛い生地があるからゆかたを作ってあげたらって、言ってくれたの。で、たけぼうが生地を届けてくれたのよ」
「そうだったんだ。ますみ叔母さん、ゆかたを作っていたのね。それで、このところ寝るのが遅かったんだね」
「そうなのよ。ゆかたを身体にあててみて」
由美子はゆかたを、身体にあてた。
ゆかたは、白地に金魚の絵が描かれて涼しげなゆかただった。
「これで、明日の夏祭り行けるわね」
「夏祭り?」
由美子は、不思議そうな顔をした。
「たけぼうから聞いて、とっくに知っていると思ったわ。明日、たけぼうの家の近くの神社で、毎年行われる夏祭りがあるのよ」
「そうなんだ。このゆかたを着て、お祭りに行っても良いの?」
「もちろん!その為に作ったんだから。夏祭りが終わったら、由美ちゃん帰る準備しなくちゃね」
由美子は、黙ったままうなづいた。




