9.不死身な私の違和感
「四組ってのはいいんだけどさ、どうやら様子がおかしいみたいなんだよね。」
「知っていたの?」
「うーん。さっき待っている間に聞いた話なんだけどさ……」
林檎はお茶を一口。
「四組の対戦相手だった子たちがね、色々変だったっていっていたの、特に威力?が変だって。」
「それは運動部の中でも球技系をやっている子が多いからって訳でもなく?」
「うーん。それなら流石であるって意味合いの雰囲気でもよかったのにちょっと疑心感の拭えないような言い方だったから気になって。
強い子だけが投げている状況ならばそれ相応の言い方があるはずである。
「対戦してみるしか…分からないかなあ。」
「今から情報収集を始めても時間が足りないし、その場で軽く作戦会議するしかないかもね。」
「まあ、審判は別コートで負けたチームがやるから八百長の線は考えにくいし、実際に対戦してみないとね。」
林檎は既に呑気に
「ただただ強いってだけの可能性もある!」
私は弁当箱を整理し始める。
ただただチームに力の差があるのならば、私たちのチームがとるべき行動を考える。
無駄か。
「ここまで楽しんだのだから、優勝できなくても最後まで楽しんでいこう!」
負けることが前提とはひどい話だ!
何とかして攻略法を見つけてやる。
午後の一番の試合である、この試合に勝つことができれば表彰台確定だ。どうせならそこまで行きたい。
私たちはコートとボールの選択権を奪われるも、相手がボールを選択したことによりコート権が貰える。
しかし、無風。太陽もほぼ真上。コートの優劣は無いように思える。
「異常ありそう?」
「わたしは、今のところ何も……」
「だよねーー私も。」
林檎も特に何も感じていないのか。ただ強いのだろうか。しかし、何だろうこの相手の違和感。
試合のスタート。
相手は、不思議なフォームで構え、ボールを放る。
ボールは上に向かって外野側に飛ばしたように見えた。
どういえばいいのだろう。ボールというのは普通ならば、放物線を描くのだ。
そのボールは、想定していた距離より短い地点。即ち、頭上に落ちてきた。
私と林檎の上。その位置は取れない。
頭はセーフである。仕方なく受け入れようか。頭以外に当たらないようにしなければならないか。などと私はもたもたと考えているうちに、林檎に軽く押され、林檎はボールを頭で弾いた。
林檎の目の前にボールは転がる。
「ナイス!」
誰かが林檎に声を掛ける。
沈黙したままの彼女の焦点があっていないように見える。
「……林檎?」
急いで近寄り声を掛ける。
―――最悪だ……
彼女は不自然に腰に手を当てて突っ立ったままなのだから。




