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1.永久にしては短いプロローグ

 生きるのは辛いが、死ぬことの方が怖いから生きている、というやつはきっと山ほどいる。西暦二〇二五年現在には、曲の歌詞にも組み込まれている。

 しかしそれは、寿命のあるものに対しての話であるはずだ。例えば、不死身、体の時間が進まない場合など、とにかくありとあらゆる死から遠ざける要因によって死ねない人間はどうなのだろう。それは私も例外ではない。それは、死ねないことの方がよっぽど怖いことだよ。

 普段よりも明るい夜景の見える部屋で、白いシーツの上に乗りゴロゴロと動き回る、木森林檎きもりりんごにぽつりと話す。すると、林檎はいつもの明るい顔を崩すことなく答えるのだ。


「そうだね。それよりも、突然、みかんが倫理的な話をするなんて珍しいね。」


 話の意図を汲み取ってはくれてはいないようである。


「倫理的な話なら説得力の強い会話になるだろうね。」


「死ねないことが怖いだっけ。みかんが昔から感じていることなのは知っているけど、今のみかんが死にたいようには見えない。」


「それは今。遠い先のいつかの話。」

 枕を頭の上に置く。


「いつか、そのままでいいと思える日が来るよ。」


 いつかを、塗り替えられた私は本来言いたかったことを強く心の中で握る。


「まあ。それはそれとして、話していただこうかな。あの日から。」


「どこから?場合によっては朝が来るよ。」


「うーん。出会った日から。みかん目線が知りたい。」


「……」


 彼女は私を見つめている。改めて見る、その顔は整っている。見つめ続ける彼女の瞳は平均と比べると茶色っぽく見える。地毛である髪も同色であるため、あまり気にならない。見た目が明るいように、性格も明るい。


「夜景には似合わない話になるかもよ。」


「私が出てくる話なのに暗い話だって?そんな…」


 相も変わらず下手な演技である。


「少しは面白い話になるよう善処しよう。」


「珍しくノリノリだね。」


「深夜テンションだよきっと。」


「それは面白くなりそうだね。」


「うん……」


 私は一度、昼間に買ったレモンティーをコップに注ぎ足す。それを見た林檎はアップルティーを汲む。

 さて。深く息を吸って、吐く。



 ―――あの日はそうだね……


学生です。テスト期間以外は毎日更新していきます。応援はやる気の燃料になります。今日からよろしくお願いいたします(o_ _)o)

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