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8.地獄のお茶会

私にとっては地獄の様な時間がスタートしたのである。

目の前にはイケメンの推しが優雅に紅茶を飲んでいる。

私は珍しいと言われる紅茶を飲んでいるがまるで味が分からない。


(朝の珈琲飲むところまでは幸せだったのに、なんでこんなことに……)


思わず頭を抱えたくなる。

「あの……殿下……今日はどうして……」

「ん?あぁ、実は君を婚約者候補にしようかと思っていてね。その最終確認かな。」

「……ひぇっ……」

思わず声にならない声が漏れる。


「………んーこの感じなら、君は婚約者候補に決定かな。おめでとう。婚約者候補の子には毎月デートが義務になるのと妃教育が始められるから。」


「なっ!!!なんでですか!?!?」

思わず立ち上がって大きな声が出てしまう。

なんてこったい!!どの辺がよかったのだろうか。


「なんでって……君僕に興味ないだろう??」


(ちょっとこのヤンデレ野郎が何言ってるのか分からない……)


「僕はさ。僕の肩書きに興味がない令嬢をお嫁さんに欲しいんだよね。僕だけを見てくれるお嫁さんが欲しいんだ。だから、今回のお茶会で欠席した令嬢やお茶会で一度も会わなかった令嬢を婚約者候補に入れようと思ってたんだよね。まさか途中で逃げる令嬢がいるのは予想外だったから、こうやって様子を見にきたんだけだ……」


とっても爽やかな笑顔で紅茶をすする姿は絵になる。ゲーム画面ならスクショを撮っていただろう。それくらい素敵であるが、私にとっては余命宣告の様なものだ。


(う、嘘でしょ……まさか途中で抜け出したがばっかりに婚約者候補に入ってしまうなんて……)


なんとかして他の婚約者候補にこのヤンデレ野郎を押し付けなければ……あぁ、でも婚約者候補にも気を回さないと死んでしまう……


頭をフル回転させろ。シルリア。冷静になるのよ……


「殿下…他に何人婚約者候補はいらっしゃるのでしょうか?」

「そうだね……君を入れて5人……かな?」


(クソ少ないじゃないかぁーーーー!!なんてこったい!!そりゃそーだよね!!こんなイケメンで優しそうな優良物件!!みんな狙うもんね!!私みたいなタイプの方が、少ないか!!)


(いや、気を回す人数が減ったと考えよう……大丈夫…私以外の4人に殿下を押し付けつつ……その4人に嫌われない様にすればいいんだもの……そう考えたら、なんだか大丈夫な気がしてきたわ…)


(殿下は欠席した令嬢もって言ってたわ。もしかしたら本当にご病気かもしれないし、それなら、ヤンデレ野郎を引き取ってくれるかもしれないわ)


意外と詰んでないかもしれないと思うとさっきまで荒れていた心が落ち着いた。


「ねぇ、シルリア……何を考えているのかな……?」

気づけばさっきまで正面にいた殿下が隣りに腰掛けている。


「……っ…ちっ…近いです。殿下……」

「…ん?シルリアが綺麗だから吸い寄せられてしまったんだよ。ほらもっとよく顔を見せてごらん。」

「……っ…でっ…殿下…ちょ……むりむり……」

どんどんソファーの端に追いやられていく。


「いやぁ……シルは可愛いね……その反応たまらないよ……」

なんだか呼び方もどんどん馴れ馴れしくなっていく。


(まずいまずい!!ロックオンされちゃう!!)


「あっ!あのっ!!殿下!!ちょっと離れて///」

「ん?なぁーに…?聞こえないから耳元で言ってごらん?」


(ぜってぇー聞こえてるだろぉ!!このクソ野郎!!)


「………婚約者候補を辞退したいのですが……」

「……………」

ニコニコしている殿下の目の奥がドロリと光った気がした。


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