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「ですが、今日お嬢様が私に我儘をおっしゃっていただいたので明日から私が専属になれる可能性が高いかと思います。」
「……我儘とか今朝のお腹痛いとかいうあれか……?」
「はい。それだけでなく今朝は気分を変えたいと珍しい紅茶を用意するようご注文いただきました。」
なんだか、リリーかキラキラしている。…嬉しそう…?
っていうか私が我儘を言ったら専属とか……どゆこと……?
未知の会話が繰り広げられていく。
「……君家族はいるか?」
「母と小さな弟がおります。」
「そうか。では君に彼女の侍女は無理だ。下がりなさい。他のメイドを呼ぶように?」
「………っ!!なんでですか!?」
リリーが叫ぶ。
「もし、金が目的ならシリの侍女は諦めてもらいたい。もしお母さんや弟さんが人質として捉えられたら裏切りかねない。侍女は身寄りがない方が信用できる。」
なんて事ないように残酷な事を告げる
(いやいや!!なんであんたが私の侍女事情まで口出ししてんだよ!!!)
失礼な物言いに少し私も怒る。
「お言葉ですが、殿下!!侍女は自分で選べます。リリーが朝出してくれた珈琲は格別でした。仕事も早く私には勿体無いくらいの人材です!!私はリリーに侍女になってもらいたいと考えています!!」
慌てて口を挟む。私はリリーと仲良くなりたいと思ってるのだ。殿下には関係ない事だ。
殿下はすました顔で、優しく微笑む。
(あぁ………顔はいいのよ……顔は……)
「じゃあ、君の友達はそこのメイドだ。よかったじゃないか。」
「……?」
さっきからこのヤンデレ野郎がなにがしたいのかわからない。急に侍女の話になったかと思ったら、次は友人の話だ。
(一体何を考えているの……?)
「侍女と友人はそこのメイドにお願いしよう。あとは空いてる枠は恋人だ。」
………雲行きが怪しい気がする……
「僕が恋人になればシルの夢は叶ってこの話は終わりだ。」