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10.地獄のお茶会

「……殿下とは昨日初めてお会いしました。でも私殿下の事何も知らなくて……」

「………」

殿下は何も言わず私をじっとみている。

「……そ…その…私は恋愛結婚が夢なのです…。友人からだんだん気になって…好きになって…恋人に……そんな小説みたいな結婚が夢なんです……」

「……私達は貴族だぞ?」

「はい。分かっております。ですが、まだ夢を捨て切れるほど大人にもなりきれておりません……」


何せ私達は12歳だ。叶わぬ夢を抱いても咎められる事はないだろう。恋愛結婚もしたいのは事実。

(ただし、殿下以外の男性と恋愛結婚する事ですが……)


殿下が私の手を解き、少し離れる。

「………」

目を瞑り少し考え込んでいる様だ。

チラリと私の方を見て

「………ちなみに……シルは婚約者候補を嫌がっているわけではない……?」


(嫌に決まってるいるだろぉーーーー!!)

思わず叫びそうなのをグッと抑える。

ここで選択を間違えると詰む…

殿下は自分に興味がない令嬢を婚約者候補にって仰っていらっしゃた…ある程度興味はあるふりをしないと本格的に囲い込まれる予感がする……


「婚約者候補が嫌というより荷が重いとは思っております。」

「うん。さっきもそんな事言ってたね。」

「殿下の婚約者候補になってしまうと、私の夢である恋愛結婚ができない気がして……」

「……どうしてかな?僕じゃあ不満かな……?」

離れたはずの殿下との距離がまたグッと縮められる。

目はドロリとひかり、不気味な笑顔が顔に張り付いている。殿下の手が私の顎を掴み無理矢理視線を合わせられる。


(顎クイ!!!まってまって!!顔が近いって!!!)

「き、昨日初対面の男性といきなり婚約者候補だなんて!!!き、気持ちが追いつかないんです!!」

私は必死に言葉を紡ぐ。

「相談できる友人だって1人もいないんです!恋愛なんてできるほどの友人さえもいません!!」

「………気になる男性がいる……訳ではないのかな?」

「いたら……ここまで拗らせてません……」

(ソーシャルディスタンス保てや。このクソ野郎……びっくりするくらいいい香りがするけど……さっきからずっと距離がおかしい……)


「……とにかく!!殿下にはまずお友達から始めたいと思います!!婚約者候補になるのは、まだ少し時間が欲しいです!!」


(そう。だから友達同士ならこの距離感はおかしい…だから離れて!!お願い!!)


殿下はしばらく私の顔をじっと見つめる。

(伝われ!私は本気よ!!ここで婚約者候補を受け入れてしまえば、婚約者まっしぐらよ!!)


殿下が離れ、私の正面に座った。

もう冷めてしまった紅茶を一口ふくみ。ふぅーと一息つく。 

(つ、伝わったかしら……)


「ねぇ、シル。君の後ろにいる侍女は君の専属かい?」

「………?いえ……私も分からなくて……リリー私に専属はいるの…?」

急に話が変わってびっくりする。

あれ?伝わったのかしら……?


「お嬢様に専属侍女はおりません。メイドが日替わりでお世話させていただいております。」

あ!そうだったんだ。だから昨日と今日でメイドが違ったのね……

じゃあ、明日リリーの珈琲は飲めないのかしら……美味しかったのに……



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