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なんで私がこんな目にっ!  作者: 岸森 かなで
3/3

見解の相違

話はこういうことだった。


大口顧客の手元に届いた契約書の内容が、顧客が事前に聞いていたもののと異なる条件であったこと。


顧客が事務担当に確認したら「大丈夫だ」と言われて契約を結んだが、実際は大いに支障があり、このままでは損害が発生する、とのこと。


どうやら営業担当である金沢は詳細を確認せず、新人事務の後輩に丸投げ、後輩も確認せずに話を進めたようだ。


ところで、無関係の自分がなぜ会議室に呼ばれて、部長と直属の課長と三者面談状態で自分がそんな話を聞かされているのか、と頭に疑問符を浮かべていると。


「それでね…」

課長が口を開く。


曰く、出張中の営業課長と金沢担当にいくら電話をかけても連絡がとれないこと。



曰く、新人に確認したところ自分の指示に基づき顧客の質問に回答したとのこと。


曰く、後輩は違うのではないかと思ったが、自分が怖くて指示に従わざるを得なかったこと。


曰く、自分にまた叱られると思うと怖くて出勤できないと言っていること。


「…………は?」

自分のものとは思えない、低い声が出た。


「なのでね、一応君にも確認しておきたいと思ってね。」


向かい合っている上司二人は、案件が炎上しているにも関わらず何故かにこやかだ。


「お言葉ですが、求められて助言をしたことはありますが、当該案件については覚えはありません。」


「助言というと具体的にはどんなことをしたんだい?」


「この処理をするにはマニュアルのどこに書いてあるか、とか一般的なことです。」


「そうか、質問に答えたことはあるんだね。」

これは雲行きが怪しい。


元はと言えば後輩が、メモも取らずに同じことを何度も聞いては間違え続け、同じ課の先輩から見切りをつけられ、口も聞いてもらえなくなったせいで、隣の課の自分のところにくるようになったのだ。


担当案件でもないのに内容に踏み込む訳がない。

と考えたところで、はたと思いつく。



「一課の先輩にはお聞きになりましたか?」

途端に上司たちの貼り付けたような笑顔が固まった。

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